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11-1(P114)

数々の模索ののちにインフィニティさんの姿形は確定した。銀髪に赤い目。どこか人形を思わせる整った顔をした美少女になった彼女は自らの姿を鏡で確認すると満足したようだった。


「なるほど、これがマスターの好みの姿なんですね。シェーラ姫より巨乳ではないですが、よろしかったのですか」

「よろしかったってなにがだよ」

「必要とあれば水着で縄跳びする時にぶるぶる跳ねるように調整しますが」


こいつはいきなり何を言い出すのだ。間の悪いことに丁度シェーラが通りかかり、顔を真っ赤にしているのに気付いた俺は慌ててポンコツさんの口を塞いだ。


「ふぐっ…!?」

「あはは、シェーラ。こいつの言ったことは気にしないでくれ」

「何の相談ですか。ところでその方はどなたなんですか」

「聞いたら驚くよ。実体化したインフィニティさ」

「ポンコ…インフィニティさん!?」


この子、今、ポンコツと言いかけなかったか。普段の行いって怖いよな。考えてみれば千手観音事件や他の騒動でもシェーラは酷い目に遭っている。インフィニティをポンコツさんと影で呼んでいてもおかしくはあるまい。ふとシェーラが手元を指さしていることに気づいた俺は差された所を見てみた。息ができないインフィニティが顔を真っ赤にさせていた。慌てて手を外すとインフィニティは慌てて息をし始めた。


「ぜーはー、ぜーはー、マスター、いきなり殺す気ですか」

「悪い。全然気づいてなかった」

「全く、ご自分の性癖を暴露されただけで殺されたら堪らないですよ。で、縄跳びはシェーラ姫にやらせるという事で本当によろしいんですね」

「もう一回その口を塞ごうか」

「ク、クロックアップ!!」


瞬間、周囲の時間がスローモーションに変化する。俺は仰天した。なんでこいつがクロックアップを使えるんだ。


「ふふん、私の身体は分身体。すなわちマスターが扱えるスキルを扱えるという事です。高速でうごける私を捕まえることはたとえマスターといえども…」

「…クロックアップ」


瞬間、俺は【クロックアップ】のスキルを使って再びインフィニティを捕獲した。スキルを解除して元の時間に戻ったところで違和感を覚えた。

まるで時間が止まったかのようにシェーラの動きそのものが止まっているのだ。クロックアップの影響で風になびいた衣服がそのままの形で固まっている。周囲の様子がおかしいことに気づいたのは俺だけではなかった。


「マスター、何らかの能力者による攻撃を受けています」

「そのようだな。場所の特定はできるか」

「外です!」

「分かった!」


インフィニティのアドバイスを受けて俺たちは外に出た。アパートの外には見慣れない黒服が二人立っていた。一体何者だ。


「藤堂晴彦だな」

「デモンズスライムを渡してもらおう」


こいつら、いったい何者だ。なんでデモンズスライムの事を知っている。身の危険を覚えた俺は一刻も早くこの場から逃げようと考えた。


「逃げようと考えているな」

「逃げようとしても無駄なことだ」

「どうしてもというならば我らに勝ってから行くがいい」

「できるものならな」


全く同じ声で黒服たちが言い放つ様子は奇怪なものだった。楽に行かせてはもらえないらしい。そう思った俺は【魔剣召喚】でティルヴィングを呼び出して二階から飛び降りた。

そんな俺にインフィニティさんが徒歩で追いつく。こいつ、二階から飛び降りるくらいできるだろう。俺の視線に気づいたのかインフィニティさんは大きく胸を張って宣言した。


「飛び降りるなんて無理ですよ。だって私は飛べませんから」

「胸を張って言う事かよ」

「ですが、こういうことはできます」


インフィニティはそう言うなり地面に両手を突っ込んだ。俺は勿論、黒服たちもインフィニティの不可解な動きに一瞬戸惑う。だが、すぐに何をしようとしたのか理解した。黒服たちの足を地中から伸びたインフィニティの両手が掴んだのである。地中の様子がどうなっているのかは知らないが、掴んだ腕はきっちり二人分あった。あっという暇もなく男たちの足を掴んだインフィニティは容赦なく男たちを地面に引きずりこんだ。首だけの状態で身動きができなくなって焦る男たちに対してインフィニティは残忍な笑みを浮かべた。


「マスターに歯向かうものに平等なる死を」


そう叫ぶなり彼女は大きく開いた口と目から七色の怪光線を放った。同時に大爆発が起こった。その威力は凄まじく付近の地盤を大きく抉るものであった。その威力を見ながら俺はあかん人を世の中に放ってしまったかもしれないことに恐怖した。




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