現実世界編 1
「努力に勝る天才なし」という言葉がある。
君も一度は耳にしたことがあるはずだ。
努力さえすれば天才じゃなくとも天才に勝つことができる。
とてもいい言葉である。
ここで少しの疑問がある。
凡人が努力をすれば天才に勝てるのならば、天才が努力したらどうなるのだろう。
「またやってしまった、、、。」
満点の解答用紙5枚を片手に呟く。
俺の名前は三島秀俊。公立の高校に通うごく普通の貧乏人だ。今の所持金300円。
貧乏で道具を買うお金もないので部活にも入っていない。クラスのポジションも2軍、3軍の間ぐらい。顔も普通だし彼女もいない。全てを総合すると中の上ってところだ。
ここまで悪く言っといてなぜ中の上か。それはこの解答用紙を見てもらえればわかる。
「なんで全部満点なんだよぉぉぉぉ!!」
いつもそうなのだ。授業中話を聞かなくても家で勉強しなくともなぜか全部満点。自意識過剰とか自信家とかそんなのではなく頭がいい。全くどうにかならないものか。
「なーに騒いでんの(笑)」
こいつは幼馴染の西条凛。運動神経のいいバカだ。陸上部のエースで時々他の部にも助っ人に出ているらしい。さらにツインテ。そんなやつフィクションにしかいないと思ってたのだが、、。全てを総合すると中の上ってところだ。なぜ中の上か?そのうちわかるから待っててくれ。しかしそんなやつが一体俺に何の用だ。
「テスト何点だった?」
聞くなバカ。
「満点」
「あんたいくら私がバカだってそんな嘘には、、、」
テストを見せる。
「うそ、、、なにこれ、、。」
これでよし。これであとは騒がれる前に帰るだけ。
と思い、帰ろうとした瞬間制服の裾が思いっきり引っ張られた。
「、、、、えて、、、、い。」
「なに?」
凛に引っ張られている。声も小さいしどうしたのだろう。
「べんき、、、、、、さい。」
「は?便器くさい?」
なにを言ってるのだこいつは。とりあえず掃除の仕方を教えようとしたその時。
「ゔぇんぎょうおじえでぐだざいぃぃぃぃ」
え、まじか、泣いてるよこいつ。お前高校生にもなって勉強わかんなくて泣くなよ。こっちの身にもなってくれ。ここから家までどれだけあると思ってる。3キロだぞ。3キロの道のりをいくら女とはいえ人間一人引っ張るとなるとかなりの重労働だぞ。おいやめろ。涙を浮かべながらこっちを見るな。ちょっとかわいいじゃないか。
「はぁ、、、。何がわかんないんだ?」
「教えてくれるの!?」
「教えてやるからとりあえず離せ。離してくれたら逃げるから。」
「わかった!」パッ「ん?今なんて言った?」
こいつがバカで良かった。あとは家まで逃げてバイトに行くだけ、、、、、、、。
いや、うん。わかってるよ。ごめんって。
「つっかまえた!」
「、、、、、、、、。嘘だろ、、、。」
女子相手に学校の敷地内からも出ないうちに捕まるとは、、、。
「私の事情も考えてよーこんなこと頼めるのヒデしかいないんだからー」
「事情ってなに?」
「全教科0点で追試になっちったww」
これである。こいつが中の上の理由は。とてつもなくバカなのだ。
てゆーか、え?なに?そんなやついるの?フィクションにしかいないと思ってた。もう学校の先生が可哀想なんだけど。とりあえず俺はならないようにしよう。
「とゆーわけなので、勉強教えて?」
「いいけど、追試っていつなの?」
「明後日」
「アホかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
いやこいつもこいつだが学校側もすげーな!全教科0点のやつに明後日追試とかマジでシャレにならんだろ!そりゃ泣くわ!
「わかった。教える。でもお前寝たら許さんからな。」
「え、なに言ってんの?保健のテストはないよ。てゆーかマジでキモい。」
あれ?俺なんかおかしいこと言った?徹夜ってことを言いたかったんだけど、、、?
「いやお前なに勘違いしてんの?徹夜で勉強するから寝かせないよってことなんだけど。」
言った途端、凛の顔が真っ赤になった。
「い、いいい、いや、かか、かんちがいとか、し、してないよ?」
少しは動揺を隠したらどうだ。
「今日はバイトも休んでやるからうちきて勉強しろ。」
「うん、わかった!」
なんだ?突然元気になったな。まあいい。とにかく一刻も早く帰って教えなければ。
初めて書く物語です。
読んでくださりありがとうございます。
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