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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
一章 カラミティ・ジェーン
92/265

P92

ーーアスピーク・タウンから少し離れた平原にある、広大な土地を惜しみ無く使った星頂人パイオニア、パリストの豪邸。

家の周りを高い塀で囲い、正門・後門にはそれぞれ彼の配下である星頂人パイオニアが二人ずつ、武装し、見張りとして立っている。

更には正門を抜けた先の庭にも、同じ見張りが数人、日夜、目を光らせている。

どれもこれも強面であり、近づくのも躊躇するだろう。


・・・が、これまで誰かがこの敷地に無断で侵入しようとした例はなく、見張りたちにとっては楽な、そして暇な仕事であった。


ーー日も沈みかけた平原。

正門を見張っていた星頂人パイオニアの一人が、新しい煙草に火を付けようとしている。

彼の下の地面には吸い殻がたくさん落ちていた。


「お、おい・・・、何か向かってくるぞ」


「あぁん?」


するともう一人が前方の彼方を指差しながら話しかけた。

まだ煙草に火を付けてなかったからか、若干苛ついたようにその方向を見る。

しかし確かにもう一人の言う通りだった。

何かが凄まじい速さでこちらに向かってきている。


「馬・・・か?」


「誰か乗ってんぞっ!」


徐々にあらわになる全体像。

猛烈な勢いで駆ける馬に乗るのは・・・疾走する風に柔らかな金髪をなびかせている少女ーー?


何はともあれこちらに向かって来ているのは確かである。

眼前に迫りつつある馬と少女を迎え撃つべく、二人は同時に懐から拳銃を抜き、すぐさま狙いをつける。


だが少女も動いた。

手綱を一時的に離し、片方の手はポケットへ、もう片方の手で腰のホルスターから拳銃を抜くと、激しく揺れる馬上で寝かせるように銃を構えると、それは火を噴いた。


放たれた一発ーー。


門番の一人の身体を銃弾が射抜き、そしてもう一人は構えた銃が突然の『衝撃』で弾かれた。

撃たれた門番が倒れ、もう一人が持っていた銃を地面に落とすと同時に、もう一つ何かが落ちた。


「き、金貨・・・?」


強い痺れに手を押さえながら門番はそれを見た。

その金貨こそが自分の銃を弾きおとしたのだ、と考える間もなく、ふと前を見上げると馬は既に眼前に迫り、

乗っていた少女の銃を持たない方の手がこちらに向かってきた。


何かを考えるいとまもなく、襟首をその手に捕まれた男の身体がくうに持ち上げられた。

くうに浮き上がりパニックを起こしたような悲鳴を上げる男。

だがそんな男の身体は砲丸のように投げ捨てられ、鉄格子の門を突き破った。



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