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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
一章 カラミティ・ジェーン
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P90

ならばどうする、このまま二人が殺されたのを黙殺するつもりか、と町人たちがアリスに詰め寄るが、それを町長が諌めている。

アリスの言う通りであり、星頂人パイオニアに迂闊に手を出す行為は皆のためにならない、と説得する。


「ーー大丈夫、あたしがいる。

あたしはこの町には何にも関係ない余所者。

あたし一人が独断でやった事にすれば、追われるのはあたし一人で済むから」


アリスが落ち着いた口調で淡々とそう口にした。


「アリス嬢・・・あんた、一人でやるつもりかい」


ランディが聞くとアリスは小さく頷くと、ずっと誰かを待っているかのように立ち止まっていたジェニファーに足を寄せた。


「お前・・・辛かったね。

ありがとう・・・。

マリアとアシュフォードさんをここまで運んでくれて」


その額を撫でながらそう投げ掛けると、それに応えるように一ついななく声を上げる。


「お前の主人の仇は、あたしがとってやるからーー」


その言葉を理解したのだろうか。

ジェニファーは進行方向を『その方向』へと変えた。

そしてしきりに足踏みを始め、今にも走り出すのではないか、と思わせる。


「お前・・・走ってくれるの?」


遠い距離を往復してきたはずのジェニファー。

身体に傷こそ無いものの、本来なら一度休ませてあげなければいけないはずだ。

しかしジェニファーの『その意志』を感じ取ったかアリスは一つ頷いた。

すると身軽な身体を柔らかく浮き上がらせると、アリスはジェニファーの背中に跨がった。

同時にジェニファーは大きないななきを轟かせ、暴走を始めそうなジェニファーをアリスは手綱を引き、足で腹部を押さえるようにして、落ち着かせる。


「ーーランディさん、教えて。

奴等パイオニアの場所をーー」


ジェニファーと共に行こうとするアリスを、町人たちが制止する。

いくらなんでも一人で行くのは危険過ぎる、

それこそアシュフォードやマリアの二の舞だと。


しかしそんな町人たちがアリスの顔を見て凍りつく。

アリスは・・・笑っていたのだ。

朱色に輝く瞳が不気味に輝き、町人たちを見据える。


「心配しないで。

あたしは災厄を呼ぶ者。

そして災厄をもたらす者に、災厄を授ける者。

『災厄の衝動スタンピード』を押さえられる奴なんて・・・この世にいない」


「『災厄カラミティ』・・・」


町長がふとその言葉を繰り返した。

町長もこの時代を長く生き抜いた者。

アリスの言葉を聞き、表情を見て、何かに思い当たったのかもしれない。


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