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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
一章 カラミティ・ジェーン
53/265

P53

だが名を変えても迫り来る賞金稼バウンティ・ハンターぎから逃げるべく、二人でいくつもの町を転々としながらも、3、4年前にようやくこの町に落ち着いたのだという。

今では町の人々とゆったりとした生活を送ることに幸せを覚え、『アシュフォード』として暮らしているのだそうだ。

アシュフォードの話に、アリスは酒も口につけず、真剣に耳を傾けていた。


「『俺』をどうやって知ったんだい?」


俺、とはアシュフォードではなくゼニス・ドマ・センチピードとしての『俺』であろう。


「いくつもの町を探して、消息を辿りました。

最終的にはそこのランディさんに」


「あの姉ちゃんか・・・。

ったく、いきなり人を背中から撃とうとしやがってよ。

ま、その時は何とかなったんだが・・・こわい姉ちゃんだぜ」


心底怖かったというアシュフォードにアリスは思わず吹き出した。

この時、アシュフォードはまた逃げなければ、と考えたそうだが、

和解したランディがアシュフォードの素性を黙っていてくれると約束したので、逃げずに済んだのだ、と付け加えた。


同じく町に住む事になったランディとのその約束は今日、アリスに教えることで破られてしまったわけだが、

そのアリスが元相棒の孫娘、ということでその範疇には入らないようである。

ランディの人を見る目が確かだったとも言える。


「それにしても『俺』を探してた、っていつから?」


「ゼニスさんを探すと決めて旅に出て・・・八年、ですね」


「そんなに探してくれてたってのか・・・。

そりゃ悪い事をしちまったな。

相棒の孫娘が会いに探してくれてたってのに、

俺は逃げてばかりだったからな。

『平原の女王』の相棒が聞いて呆れるな」


自分が生きるのに必死だったとはいえ、か弱い娘一人に八年も探させたーーそれはつまり貴重な時間を奪ったという事にもなり、アシュフォードは悪いという思いから項垂れた。

アリスはそんなアシュフォードを見て、首を横に振る。


「そんな・・・あたしが勝手に探してただけです。

それにーー、

『アシュフォード』さんの今の幸せを壊すつもりもありません。

ただーー」


「分かってる。

『預かりもの』を引き取りに来たんだな?」


アシュフォードの言葉にアリスは頷いた。


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