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「良かった・・・お父さん」
「だから言ったでしょ、お父さんなら大丈夫って」
「うん」
歓声が徐々に高まる中で、安堵の息を漏らしたのは娘のマリア。
そんなマリアにアリスが声をかけると笑顔を見せた。
「ーーどうする?まだやるかい?」
「じょ、冗談言うな!
と、とても敵いっこねぇ!」
前に出るアシュフォードに、星頂人は後ろに下がりながらあっさりと負けを認めた。
何しろ相手は構えていない状態から撃ち、こちらは銃を抜くことすらできなかったのだ。
正に圧巻の早撃ち。
負けを認めさせるには充分な材料であった。
「じゃあ負けを認めるんだな」
「認めるよ、認め・・・」
アシュフォードが敗北の宣言を促すと、恐怖すら感じているその星頂人は促されるままに素直に敗北を口にした。
ーーその時、一発の凶弾が放たれた。
不意に響いた火薬音。
歓声が水を打ったように静まり返る。
一体どこから、誰が放ったのか?
そんな事を考え始めるのと同時に、勝負に負けた星頂人が正面に突っ伏すように倒れ込んだ。
背中を撃たれたその者は二度と立ち上がることも指1つ動かすこともなかった。
倒れた星頂人を、眉をひそめながら見下ろしていたアシュフォードがふと顔を上げると、凶弾を放った主がそこにいた。
ーーパリスト。
馬車の中でくつろいでいたはずのボスがいつの間にか外に出ており、銀の装飾が施された拳銃を手に、その照準は部下の星頂人がいた場所に向けられている。
凶弾を放った主をアシュフォードが睨み付けるが、当のパリストは無表情のまま。
むしろ無表情で仲間をあっさりと撃ち殺したその姿勢が、彼の残忍さを物語っている。
「ーーその男は首だ。
片付けておけ」
無機質な声が一言、配下の者たちにそれだけ命じると、銃をしまい馬車の方へ戻ろうとするパリスト。
「パリストさんよ。
約束は守ってくれよ」
静まり返る中、アシュフォードの言葉が去ろうとする背を追い、1度足を止めたものの、何も答えずにすぐ馬車の中へ姿を消した。
事切れた同胞の骸を数人が歩いて運び、馬車はそれを置き去りにするように、方向を百八十度転換して走り去ってしまう。
勝利したというのにどこか後味の悪い終わりとなった今回の騒動。
アシュフォードは立ち尽くし、星頂人たちが去っていくのを見送っていた。




