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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
序章 アリス・ジェーン・カナリー
3/265

P3

デックは備え付けのベルトで肩にかけていた左右二連式・中折れ型の散弾銃。

バイスは腰のベルトに、

布袋とは別に括り付けていたホルスターから、銃身の長い回転式拳銃リボルバー

当然おもちゃであるはずがなく、

人に向けて撃つようなことがあれば間違いなく危害を加え、あるいは死をもたらす武器である。


「この決闘で生き残ったやつが『ブツ』を総取り・・・それで文句はねぇな?」


「念を押すまでもねぇさ。

 俺たち三人は知り合いでも親友ダチでもねぇ。

 ただこの『ブツ』を得るために集まっただけの組み合わせだからよ」


デックが確認すると、バイスはけたけたと笑い声を上げた。


――彼ら三人は実はお互いに名も知らぬ三人。

ただ『ブツ』を得るという目的のために一時協力という形で集ったのだ。

そして目的を果たした暁には、

三人の中の一人が『ブツ』を独り占めすという取り決め。

その一人を決める方法が――『決闘』。

すなわち三人が対決し、勝った者がその一人になるということである。

しかもこの決闘に一人の勝者がいたとしても、

残る二人はその命すら持って帰ることはできない。


それがこの世界における『決闘』の作法ルールである。


「お前さんの得物はどうした?」


「まさか今になって持ってないなんて笑えねぇこと言わねぇだろうな?」


『決闘』の時に向けて、

それぞれの得物を手に持ちながら心なしか意気が揚々とさせている二人の男だが、

三人目はそれでも変わらず沈黙を守ったままだ。

そんな三人目にまずデックが訊き、バイスはそんなことを言いながら下卑た高笑いを上げている。


するとそれに応えたのか、

そっとマントの中から右手に握られた回転式拳銃リボルバーが顔を見せた。

銃は銃であるものの、

他の二人と比べれば大人しそうな雰囲気を与える小さな拳銃である。


「へへ・・・、そんなおもちゃみてぇな銃ってことは、

 やっぱりマントの中身はか弱い嬢ちゃんってとこか?」


「今時そんな銃じゃあ犬もまともにれねぇぜ?

 やっぱ決闘と来たら俺のような銃が映えるってもんだぜ」


デック・バイスが続けざまに蔑むようにものを言うと、

二人は自分の得物を見せびらかすように、

いかにもわざとらしい銃の構えを何パターンか取って見せる。

一種の挑発とも取れるが、三人目はまるで意に介していないかのように無反応を貫く。


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