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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
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P196

「ーーバラバラになれ・・・っ。

あはははははははっ!!」


非情に響く高笑い。

そしてヴァージニスがついにアリスに向かって爆弾を放り投げた。

同時に刃から銃に形態を変えたファフニールを向ける。

放物線を描くようにしてアリスの近くに落下しようとする爆弾。

ヴァージニスの指が引き金にかかったのが見え、アリスは諦めたように目を閉じた。

爆弾の落下に合わせるように、ヴァージニスの指に力がこもるーー。


ーー絶体絶命。

そう思われた最中、アリスを救ったのは一発の銃声だった。

それはアリスに終わりを告げるヴァージニスの非情の一発ではなく、希望を繋げる一発。

どこから飛んできたのかその弾丸は爆弾の表面を弾き、再び宙へと押し戻される。

ヴァージニスからすれば有り得ない動きを見せた爆弾に思わず引きかけた指が止まる。


それで終わりではない。

更に連続して鳴り響いた銃声と共に、爆弾は更に弾かれて宙へと舞い上がった。

しかもまるで持ち主のヴァージニスの元へと戻るようにーー。


「ーーお姉様っ!!」


「えーーっ?」


諦めていたアリスがその声に目を開いた。

するとまるで時間が逆行したのか、と錯覚しそうになる光景。

こちらに向かってきたはずの爆弾が、ヴァージニスの方へ還っていく。

そして三発目ーー。

爆弾の上側を弾いた弾丸は、まるで突き落とすかのようにそれを急落下させる。


ーー何が起きているーー?


アリスがふと横を見遣ると、そこには離れた位置で倒れ込むようにしながら二挺拳銃を構えるリリィ。


それだけでは事の整理が付けられないアリス。


「ーーお姉様っ!! 今ですっ!」


その声にリリィの何らかの意志を汲み取ったアリス。

それに従うようにアリスは再び前を見た。


ーー四発。


急落下し、地面を跳ねる爆弾に更なる弾丸が掠め、それはヴァージニスのすぐ正面へと舞い戻る。

同時にアリスの最後の反射神経が希望を紡ぐ。

一度は納めた愛用の拳銃を抜くや決める早撃クイック・ドロゥち。

それは見事に爆弾を撃ち抜き、呆然としていたヴァージニスの前で弾けたーー。


ーー轟く爆音。

すぐ後に襲う爆風と火炎がアリスの方にも広がる。


「お姉様ーーっ!!」


火炎に包まれたアリスを見て、リリィは飛び出していた。

自らも火炎の中へと飛び込み、アリスの身体を抱き締め、飛び込んだ勢いをそのままに地を転がるようにして、火の中から抜け出させる。



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