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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
193/265

P193

「(『超高速移動ハイパー・アクセル・・・』。

あれがおばあちゃんが言ってた漆黒ファフ銃剣ニールの力ーー。)」


アリスだからこそ何とか視認できる動き、『超高速移動ハイパー・アクセル』。

恐らくあの動きを追うことが出来るのは世界に数える程しかいないだろう。

そしてマーサが生前アリスに聞かせてくれた話によれば、『超高速移動ハイパー・アクセル』は漆黒の銃剣・ファフニールの不思議な能力のひとつであるという。

白銀の銃剣・ティアマトーがアリスの傷を今も癒してくれているように、常識では説明の出来ない奇跡の力ーー。


「(そしてもう一つーー)」


アリスは更にファフニールのもう一つの奇跡を思い出していた。

が、それが頭の中で形になろうという時に、黒い影がこちらに向かって来るのを『る』。

彼女の反射神経がすかさず発動し、左に体をかわすが、逃げ遅れた右の二の腕を刃で切り裂かれる。


「く・・・っ!」


痛みに表情を歪ませるアリス。

だが痛みに意識を介している余裕はない。

背中へと突き抜けた影を追うように背後を振り向くと、影は既に方向を変えてアリスの方へ向かっていた。

また彼女の反射神経がアリスの意志とは無関係に体をしゃがませるが、やはり回避しきれず左肩を斬られる。


「(ーー駄目・・・、速すぎて避けきれない・・・っ!)」


黒い影、すなわちヴァージニスはまるで意志を持つ弾丸である。

アリスの反射神経は銃撃すら反応できる優れたものだが、それも敵の視線・銃の向きを視覚から情報として取り入れ、ある程度先読みして初めて可能となる芸当である。

だがヴァージニスの動きは先読みがまず出来ない。

撃ったら直進するだけの弾丸ではないのだ。

つまりいかにアリスの反射神経が優れていようとも、それだけでは回避しきれない。


もっともその反射神経がなければアリスはとっくに殺されている。

あのジャンヌのようにーー。


だが、動きを視認出来ても反応しきれない以上、反撃も出来ない。


アリスの身体は見る見る刻まれていき、羽織っていたマントは細かい布片となって、あたりに散らばっていた。


「(か・・・勝てない・・・っ)」


アリスはもはやまともに回避することも敵わず、自然とその身体は地に沈んだ。

ティアマトーの回復も間に合わない。


ーー恐るべき能力・『超高速移動ハイパー・アクセル』。

これを何とかしない限り、アリスには成す術はないのだ。

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