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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
192/265

P192

大それた、というべき方法でアリスの『弾丸』を回避したヴァージニスは得意気に笑みを浮かべながら前を見るが、その方向にアリスはいない。


「ーーはぁあああああっ!!」


ヴァージニスが驚く表情を見せたのも束の間、上空から響いた声にその方向を見上げると、アリスが刃を振り上げながら迫っていた。

その刃は白い刀身に紅い刃が接合するように伸び、大剣のような姿へと変貌を遂げている。

それを両手で強く握って頭の後ろに大きく振り上げ、上空から落ちる勢いに合わせてそれを降り下ろしたーー。


「ーー『超高速移動ハイパー・アクセル』っ!」


だがその刃がヴァージニスの目前まで迫りながら、不敵な笑みを残してその姿は瞬時に消え去ってしまう。

空を切った刃は代わりに大地へと突き刺さり、刃の向きに合わせて地に巨大な亀裂を生み出した。

ーー凄まじい破壊力。

もし当たっていたなら、跡形もなかっただろう。

しかし現実はヴァージニスの姿は瞬間的にいずこかへ消え去った。


「ーーくす」


地に着地したのと同時、不気味にほくそ笑むような声、そして身を震わせるほどの寒気、殺気ーー。

アリスの類い希に優れた反射神経が即座に反応し、身を屈めて地を転がる。

するとアリスの身体があった場所に黒い刃が真っ直ぐ突き出された。

アリスの背後に回っていたヴァージニス。

もしアリスが回避しなければ、そのまま背中を貫かれていただろうーー。

地を転がったアリスはそうしながらティアマトーの形態を銃に戻し、身体を止めるのと同時にヴァージニスに銃口を向ける。


「ーーヴァージニスっ!!」


トリガーを引くと共に再び放たれる巨大な紅い弾丸。

転がりながらも、ヴァージニスの位置をしっかり捉えたその一発は標的を飲み込もうとする。

ーーが、ヴァージニスの姿はその場から瞬時に消えてしまい、またしてもアリスの渾身の一撃は空を切ってしまう。

巨大な弾丸は高速で天井へと突き進み、轟音と共に岩壁を破壊した。

崩れた巨大な岩が炎の中に落下し、崩れずに残っていた高台を破壊、燃え盛る木材が地を転がる。


二度に渡る鉱洞への衝撃により採掘場はただならぬ震動を始め、火炎も益々広がりを見せる。

刻、一刻と状況が悪くなりながらも、アリスの眼は構わずヴァージニスを追っていた。

立ち上がったアリスの眼は、大地から壁、壁から壁、壁から大地、と凄まじい速さで移動する黒い影を何とか視認する。

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