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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
182/265

P182

「あなたを倒すには単純じゃ駄目だからね。

二重、三重に策を打たないとその鉄壁の守りは崩せない」


「私の挑発に乗ったように見せたのも・・・全て小芝居、ということか」


「ううん、あれは本気でムキになりましたよ。

でも、だからこそあなたを騙せたのかもね」


「ふふ・・・強かな奴め。

だが、この程度で私に勝ったつもりかーーっ


互いに笑みを浮かべた後、ジャンヌは立ち上がった。

脇腹の銃創は明らかに深手。

その証拠に傷口からは大量の血が今も流れ出ている。


「・・・もう止めませんか?

お互いに、これ以上やっても不毛に血を流すだけですよ」


「これしきの傷で私は退いたりはしない。

さぁ、白銀の銃剣を拾え。

私を倒さぬ限りお前は先にも進めず、後にも退けぬと知れ」


「もう・・・融通きかない人だなぁ」


アリスはこれ以上の戦いは御免、と持ちかけるもジャンヌは拒否。

しかも投げ落ちた武器を拾って仕切り直し、というジャンヌの意志は、彼女の性格・性根なのだろうか。

アリスは呆れたように頭をかく。


ジャンヌは既に一度は下ろしたガ・ジャルグを拾い、臨戦態勢に入っている。

白く輝く『気』も健在である。

後はアリスがティアマトーを拾えば再開ーーだが。


ーーどうしても生死を分かつ決着をジャンヌは望むというのか。

アリスも軽くない傷を負っているとはいえ、ジャンヌほどではない。

勝敗は分からないにしても、アリスが有利に戦えるのは間違いない。

だがアリスはこれ以上戦う気にはなれなかった。


「どうした、アリス・ジェーン・カナリー!

さっさと白銀の銃剣を拾えっ!」


急かしてくるジャンヌ。


このまま自分がティアマトーを拾わなければ戦いを避けられるーーはずもない。

機転のきくアリスもこれには困っていた。


ーーしかしそんな悩みも唐突に打ち切られる。

アリスとジャンヌは同時に『寒気』を覚えた。

突如襲ってきた『黒い殺気』に彼女たちの研ぎ澄まされた危機を察知する能力が、寒気となって本能に訴えてきたのである。


「(な、なに・・・っ、この嫌な気配はっ?!)」


「(馬鹿な、私がここまでこんな強い気配の接近を許してしまうとはーーっ)」


アリスとジャンヌは同時にその方角を見た。

その方角とは、ジャンヌの隊の副官、グレッグスがいる方向。


ーーそしてそうするのと同時。

グレッグスの身体は爆破炎上し吹き飛んだ。

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