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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
180/265

P180

「ーー『爪龍燕そうりゅうえん』っ!」


倒れたアリスの方向に向けて、振りかぶられるゲイボルグ。

そこから放たれた巨大な三日月状の白い刃が疾空し、アリスの身体のすぐ上を通過する。

敢えて外したその一撃は真っ直ぐにその先の内壁へと飛来し、轟音と共に壁を破壊して瓦礫の山をその場に築く。

壁に刻まれた数メートルにも及ぶ巨大な爪痕。

ジャンヌの人間離れした技の威力を物語っていた。


身体を切り刻まれ、至るところから出血しているアリス。

だがそのあまりの破壊力に、痛みすら忘れたように呆然とその爪痕を眺めていた。


「ーー少しは分かったか?

我が『気功術』の威力を」


ジャンヌがアリスの方に一歩踏み出す。

傷の深さに未だ起き上がれないアリスは、倒れたまま白く輝く『軍神』を見る。


「『咆龍衝ほうりゅうしょう』が余程効いたようだが・・・もうまともに立つことも出来ないとは、口ほどにもないな」


また一歩、ゆっくりと踏むジャンヌ。

見下しながら放たれた言葉に、アリスは地に両手を付き必死に起き上がらせようとする。


「アリス・ジェーン・カナリー。

ジェーンの血を引く者、として期待したがーー見込み違いか」


更に一歩。

この段階でアリスはようやく立ち上がる。

だがその地面には彼女が流した血に染まっている。

傷を癒すというティアマトー。

その不思議な力を以てしても、傷が深すぎるため、回復が追い付いていないのか。


「これではあの伝説のカラミティ・ジェーンとやらも大したことはなかったのかもしれんな。

だとするなら・・・興ざめも甚だしいというものだ」


一歩、踏み出しながら言い放たれたその言葉に、アリスは一気に闘志を爆発させた。

伝説のカラミティ・ジェーン、すなわち祖母マーサを貶めるような言い方をされて怒りに心を奮わせたか。


未だ癒えない身体で強く地を蹴り、果敢にジャンヌへと立ち向かう。


前に出ながら、銃形態のティアマトーのトリガーを連続して引き、

三発の弾丸がジャンヌを撃ち貫こうとするが、

鉄壁の盾、ガ・ジャルグがそれらをことごとく弾き飛ばしてしまう。


「ーーうぅああああああああぁっ!!」


普段冷静なアリスが吠えた。

ティアマトーを短剣形態へ戻すと、その刃でガ・ジャルグを相手取り、真っ向から斬りかかる。

阻む白銀の装甲。

しかしアリスは力で振り切ろうとするようにティアマトーの刃をガ・ジャルグに押し付ける。

猛るアリスに対し、ジャンヌは涼しい顔でその様を見ていた。

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