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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
172/265

P172

そうしてジャンヌとの距離を縮めながら放たれる弾丸。

独特な発砲音と共に合計三発の『弾丸』が撃ち放たれた。


脇を晒していたジャンヌであるが、アリスが駆け出すのと同時にその方向に身体の方向を変えつつ盾を構え直し、その三発の弾丸を受ける。

受けた盾は頑丈なだけでなく、銃弾による衝撃を完全に吸収し、ジャンヌはまるでものともしていない。

だが始めからそのつもりの助走だったか、身軽な身体でその頭上を軽く飛び越えたアリスがジャンヌの背後を取った。


「(ーー勝った!)」


アリスがそう思うのも無理はなかった。

巨大な盾が仇となり、視界が悪いジャンヌはアリスの行動に対して完全に態勢が遅れている。

ジャンヌが横目でこちらを見ているが、構わず無防備に晒したその背中を目掛け、アリスは瞬時に短剣へと切り替えたティアマトーの紅の刃を振りかざすーー。


ーーしかし、ジャンヌが猛獣のような猛り声を上げると同時、

アリスの身体はまるで何かに激突されたかのような強い衝撃を受け、帽子が吹き飛ばされる。

後ろに仰け反る身体を両足で必死に支えようと踏ん張るが、耐えきれずに後ろ回りにアリスの身体が転がる。

影響を受けたのはアリスのみにあらず。

リリィなど、この場にいた全員が腰が抜けたようにその場で尻餅を着いた。


地を転がりながらも器用に勢いを殺し、片膝を付いて着地するアリス。

マントのお陰で身体は無事だったが、打ち付けた左の額からは血が滴り、アリスの左目、そして頬を伝う。


「・・・な、なに、今のはーーっ?!」


左目を伝う血を拭うこともせず、ただ驚愕するアリス。

勝ちを確信した直後、吹き飛ばされた自分の身体。

ジャンヌは背を向けた状態で何も動いてはいない。

耳を裂くような猛りを上げたぐらいだーー。


「(声に吹き飛ばされたーー?

まさか、そんなーー)」


あの猛りが何らかの関係があることはアリスにも分かった。

しかし『声』に吹き飛ばされたというのは、あまりに現実離れし過ぎている。

アリスの驚きの視線を受けながら、ゆらりと身体を翻してその方向へ振り返るジャンヌ。

その鋭く研ぎ澄まされた視線を返され、アリスはまるで押されるような威圧を感じた。


ーー初めて会った時もそうだった。


ジャンヌの鋭い視線を受けた時、まるで壁に当たったかのような衝撃をアリスは鮮明に覚えている。

それを思い出した時、今の現象と結び付くものがあるようにアリスには思えた。

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