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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
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P169

「忠告を聞いてなかったのか?

奴は私が倒すと言ったはずだ」


「悪いけど、あたしにも退けない理由があるの」


「・・・なんだ、その理由とは」


「別に話す必要なんてない」


「図に乗るなよ、娘。

お前の道はもはや袋小路。

そしてお前の命運、生殺与奪は私の手に握られてるのだからな」


ふと上げられたジャンヌの左手。

それを合図に周りの兵が一斉に撃ち方に入った音が鳴り響く。

あとはもう一つ合図を下すだけで、一斉に無数の銃が火を噴く事になる。


「あたしは構わないわよ。

ただしやるからにはあたしも簡単には死なないからね」


アリスもその右手にティアマトーを握らせ、胸の前に構える。

それを見たジャンヌの右後方にいた副官・グレッグスも反射的に懐から拳銃を抜き、アリスに向ける。

だがその副官の銃口をジャンヌが遮った。

同時に上げた左手の指で何かの合図を示しながら、その手をゆっくり下ろすと、一度は撃ち方に入った周りの兵もそれを解除した。


「ーーその白銀に輝く短剣・・・やはりお前もあの『災厄ジェーン・ブラッド』を持つ者か」


その声が響くと副官が驚くような表情を見せた。

災厄ジェーン・ブラッド』を持つ者、すなわちカラミティ・ジェーンの血を持つ者。

忌み名として伝えられるカラミティ・ジェーンの血を継ぐ者が目の前に現れたのだから、副官が驚いたのも無理はない。


「ーー娘、名はなんという?」


「・・・アリス。

アリス・ジェーン・カナリーよ」


不意に名前を尋ねられて、アリスも素直に名乗るか一瞬、考えたようだが、

かなり事情の深そうなジャンヌに対して、この期に及んで隠しても仕方ない、と素直に名乗る。

するとその名を聞いた兵たちがざわざわと声をあげ始めた。


ジェーン・カナリー。

カラミティ・ジェーンの本名であるマーサ・ジェーン・カナリーは言わば伝説的な名前だ。

任務中は無駄口を叩くなどあり得ない隊員たちが、思わずざわめくのだから、その名は星頂人パイオニアにとってはやはり畏怖の名なのである。


「ーー静まれっ!」


だがそんなざわめきもジャンヌの一喝で終息する。

言われた本人でないアリスも何か痛みを感じたかのように、構えは維持したまま表情だけを歪ませた。


「ジェーンの血を持つ者、アリス・・・か。

ーーいいだろう。

私も無為に兵の犠牲を出すことを潔しとはしない。

何よりわざわざここでお前を待ち構えた意味がない」


ジャンヌがそう言うのと同時。

槍と一体化していた盾が突然地に落ちた。

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