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「こ、こんなのあたしのせいにすればいいじゃない!
あたしがやったことにーー」
「・・・ダメですよ。
あのクリーク、って人が見てますし。
そんな嘘、通用しないです」
「でも・・・っ!」
「それともお姉様は・・・こんな私を、見捨ててしまいますか?」
すがり付くリリィにアリスは心の中で打ちひしがれた。
また自分のせいで他人を災厄に招き込んでしまった、と。
あのクリークがマルガリータの死をどう告げるか分からないにしても、リリィをこのまま放っておくわけにもいかない。
目を閉じ、歯を食いしばるアリス。
するとリリィの手を自分から離し、背を向けた。
「お姉様・・・」
不安そうにその背中を見るリリィ。
アリスはそんなリリィを置いて先へと歩み出す。
「ーー悪いけど、これから先、あんたを護りながら戦うことは出来ない」
「お姉様・・・」
「そんなあたしでいいならーー」
アリスはそう言いながら一人、前へと進んでいく。
その言葉を聞いたリリィは不安を一気に歓喜へと変換させた。
「ーーはい、お姉様に付いていきますっ!」
リリィはそんなアリスの背中を駆け足で追った。
セット・エトワール、ひいては星頂守護機関に追われる身となった二人。
その力を合わせるべく二人は、巨大な力が待つ先へ共に歩みを進めるのだった。