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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
158/265

P158

「それに、しても・・・リリィ、あんた、どうやってここまで・・・?」


当然の疑問だった。

アリスの機転によって阻まれているとはいえ、後ろからは追手が迫っているはず。

にも関わらずリリィは何故ここに辿り着けたのか?

そもそも置いていかれたリリィが何故、アリスがここにいることを知り得たのか?


「ーー僕がご案内したんですよ」


するとリリィがいた方向からもう一人の人物の声が聞こえ、アリスが睨みを利かせる。

そして暗がりから現れたのは、小柄な体格に人の良さそうな笑顔を浮かべた少年と思しき人間。


「あ、あんた・・・、だ、誰・・・?」


「あれれ、僕の事、お忘れですか?

まぁ、僕は影も印象も薄いですからね」


頭に手を遣りながら苦笑いを見せるその少年。

言われてみればどこかで見た顔だが、アリスはとんと思い出せないようだった。


「シーブス・タウンで宝石商を営んでいたクリーク、という者です」


「・・・ああ、あの、時の・・・」


アリスは思い出した。

数週間前。

まだ白銀の銃剣を入手する前、ゼニス・ドマ・センチピードを探していた自分に、アスピーク・タウンにいるという情報を流してくれた宝石商である。

だがその人間が何故ここにいるのか。

また何故リリィをここに連れてきたのか、そしてどうやってここまで来たのか。

色々と疑問はあったが、アリスはそれを一度に口に出すことは出来ない。


するとそんなアリスをよそに、クリークはアリスの傍らを通りすぎ、倒れ付したマルガリータの側に寄る。


「それにしても、人助けのつもりがこんな結果になるなんて・・・いやぁ、マルガリータさんには悪いことしましたよ」


何度か触って反応がないことを確かめたあとで、明るい笑い声を上げるクリーク。

その表情には全く悪びれた様子は感じられない。


「あんたが・・・リリィを、ここまで・・・?」


「ええ。

表でアリスさんを探しておられたようなので、可哀想に思ってここまで案内したんですよ。

ですがまさかマルガリータさんを撃ち殺してしまうとは思いもしなかったです。

いやぁ、困りましたねぇ」


「あ、あんた、一体・・・?

そのマルガリータ、って奴の知り合い、なの?」


撃ち殺した、という言葉に反応して身体を震わせるリリィ。

アリスは痺れているはずの腕を動かし、リリィの頭に手の平を乗せると、さらにクリークに問いかける。

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