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「(あんなところに潜んでるっての・・・?)」
アリスが聞いた話では町が炎に包まれたのは一週間以上前の話。
それから今日まで、あの鉱山、洞窟のような場所を根城に潜んでいたというのか。
もしそうだとするなら、一体、中で何をしているというのか。
アリスは訝しむように眉を寄せる。
「(まぁ・・・でも、今までで一番確からしい情報であるのは間違いないし・・・あたしも追わないとーー)」
そう思い直したアリスはふと入り口の周囲を見る。
見張りの数は四人。
銃を始めとしていくつかの武器を携帯しているようであり、また兵隊であるからにはそれなりの格闘術の心得もあるだろう。
さて、どうしたものかーー。
アリスは小さくそう呟きながらも覚悟を決めた。
まずアリスは少し間を置く。
ジャンヌとの距離を保つためである。
そうしておいてからアリスは行動を開始。
彼女の得意技が発動する。
ーー鉱山の入り口を見張っていた四人。
その内の一人が突然太ももの激痛を訴え、地面に身を転がせた。
駆け寄る残りの三人。
外傷はまるで見受けられないのに、苦痛に悶える仲間。
すると助けに入った者の一人が地面に転がるあるものに気がついた。
「金貨・・・?」
不思議そうに座り込んでそれを拾うその兵隊。
これは何だろう?
仲間にそう意見を求めようとしたその時ーー。
助けに入った他の二人が急に崩れるように倒れた。
するとどこから現れたというのか、拳銃を手にした帽子とマントに身を包んだ何者か。
「き、貴様ーーっ」
何かを言いかけながら立ち上がろうとするその兵隊。
しかし頭部に強烈な衝撃を浴び、同時に意識が飛ぶ。
拳銃の持ち手の部分で強く殴られた兵隊。
がくんと膝を地に付き、そのまま突っ伏してしまう。
他の倒れた二人も同様に背後からその強烈な一撃を浴びたのだった。
「ぐぐ・・・っ、き、貴様、な、何者・・・っ!」
残るは最初に倒れた者。
彼はアリスが弾いた金貨が太ももに命中し、激痛を訴えたのだ。
アリスの得意とする必殺技、金貨弾き。
その威力は凄まじく、膝や脛、太ももなどに直撃すればまず立っていることは出来ない。
あまりの痛みに、その兵隊も息絶え絶えである。
「ごめんなさい、痛い思いさせちゃって。
まぁ、くじ運が悪かったと諦めてね・・・っと」
苦笑いしながらアリスはその不幸な兵隊も、同じ方法で眠ってもらった。