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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章 『ベガルタの剣』 ~邂逅の時~
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P121

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ーー東西南北、中央都市セントラル・シティと区分けされた5つのエリアからなるこのサンドフロンティア。

東西南北のエリアにおいてはその区間に広大な砂漠が存在する。

すなわち他のエリアに行く場合はその砂漠を越えなければならないため、死と隣り合わせである紅砂の地は人々の交流の妨げとなっていた。


ーーアリスがアスピークの町を後にしてから二週間が経とうとしていた。

新たな旅の目的を見出だした彼女であるが、それは現状、雲を掴むようなあてのない旅であった。

実際、ゼニスに出会うのにも世界を旅し、実に八年の歳月を費やしている。

再び彼女は長い年月を重ね、少しずつ旅の目的に向かって歩みを進めていくのだろうかーー。


ところがアスピーク・タウンを出て十日目のこと。

たまたま立ち寄ったある町で彼女は気になる情報を掴む事となる。

そして得たその場所に当たりをつけ、彼女はそこを目指す事となった。




ーー砂上船・『アンジェリカ』。

それは宝石ブローカーでありながら、特異な機構の創作に励むボブの最高傑作を自称するものだった。

若い時から変わった機構や機械を造る事に夢中だった彼が、必死に材料をかき集めて、およそ六、七年前に完成させたのがこのアンジェリカである。

もっともその頃はまだまともに動くことは出来ず、息子のボビーと共に少しずつ改良を重ねて今に至っている。


「ーーごめんね、ボブ。

あたしのわがままのせいで」


「気にするねぇ、アリス嬢ちゃん。

アリス嬢ちゃんの頼みなら、このアンジェリカ、どこにだって飛ばしていくぜっ!」


現在、世界に唯一つとボブが豪語する砂上船・アンジェリカ。

その船内にアリスの姿があった。

アリスがボブと出会ったのはアンジェリカが完成しておよそ一年後。

アリスは唯一人、ボブ親子の集大成とも言えるアンジェリカの歴史を目にして来た人間でもある。


またボブにとってもアリスの血筋に関して全く知らないわけではないらしく、そんな事情もあって、

仕事の話以外では他者厳禁のこのアンジェリカ内に、自由に出入り出来るのもアリスだけである。


アリスはボブに頼み込み、今までいたイースト・フロンティアからノース・フロンティアに移動しようとしていた。

エリア間の広大な砂漠はそれぞれが砂地で繋がっているため、このアンジェリカならばどのフロンティアにでも移動が可能だ。

彼女が世界を旅できたのも、途中から加わったこのアンジェリカという足の力によるところが大きい。

寄せ集めとはいえ鉄で造られた装甲は、紅砂嵐ブラッド・ストームが来ようともびくともしない。

無論、中の人間は紅砂による危険から守られ、安全にフロンティア間を行き来できるのである。

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