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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章・序幕 セット・エトワール
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P119

「ーーそれにこの件に関して、今日集まってもらった皆にすぐ動いてもらうつもりはない。

実はもう一つ、特務を元老院の方々から賜っているのだ。

ここにいる皆には、今後はそちらを中心に動いてもらうことになる」


「・・・随分、勿体つけたものだ」


グラウスが鼻を鳴らした。


「確かに前後してしまった。

だがこの特務も言うまでもなく、我々が成すべき最重要課目となる。

皆、心して聞いてもらいたい」


アーサーは再び席に腰を下ろす。


ーーそして語られる『第二の特務』。

それはクリークを除き、冷静沈着揃いの一同を一様に驚愕させる内容だった。

次の瞬間、ランディがデスクに拳を叩きつけながら立ち上がり、そして吠えた。


「ーー冗談じゃないよっ!

あたしたちはそんなことをするために組織された集団じゃないっ!」


「落ち着いてくれ、ランディ」


「理由を話しな、アーサー。

今までだって汚い仕事はあったけどねぇ、それはこの世に生きる全ての同胞のためにやったことさ。

あたしたちにだってプライドがある!

ただの駒じゃないんだよっ!」


「・・・」


ランディが見せる怒りの眼差しを一手に受け止めながら、アーサーはうつむいた。


「ーー隊長、私もランディと同意見だ。

そのような事を我々にさせるからには、納得のいく説明をしてもらおう。

でなければ到底承服できる内容ではない」


更にフラムベルグも厳しい眼差しを向ける。

グラウスやグラッセリカは黙ったままアーサーの様子を伺っているようだった。


「理由はーー昔も、そして今も同じだ。

全ては我らの同胞の命を護るため、生活を護るため、そして彼らが住むこの世界のためだ」


「具体的に話しな、アーサー。

その事がどうして世界のためになるのか、ってことをね!」


「今はーー話せぬ。

時が来れば必ず話す」


「あたしはね・・・今、聞かせろって言ってるんだよ」


遂にランディはアーサーのデスクの前まで詰め寄り、デスクを挟んで自らの顔をアーサーの目の前まで突き出し、そして眼を強く光らせる。


ーー緊迫の状況。


ランディの行為は上官であるアーサーに対して一線を越えるような態度だが、他の者はそれを止めようとはしない。

皆もアーサーの言葉を待っているのだ。

ランディの言葉に対して、アーサーが一体どう答えるのかという事に、皆の意識が集中している。

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