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「その事だが、実は今回、皆を召集した理由と絡んでくる」
「ほぅ・・・我々を集めた理由と?」
フラムベルグが相槌を打つ。
「『白銀の銃剣』と『漆黒の銃剣』。
この二つを手に入れる事を最重要課目としたのは元老院の方々の指示。それは皆も知っての通りだ。
だが我々に課せられた任務はもう一つある」
「・・・『災厄の血』の根絶ーー」
ランディが言うとアーサーが頷いた。
「・・・残念ながら『漆黒の銃剣』を持つ方は神出鬼没な上に、あのアークダイン少将が倒されてしまう程の手練れだ。
彼女に対するならセット・エトワールの総力を上げるよりない。
ならば先ず彼女を我々の土俵におびきだす必要があるだろう」
「・・・お兄様、まだ終わらないのかしら」
「もう少し待て、グラッセ。
これが終わればお前のためにゆっくり時間を取ってやれる」
アーサーが説明している中、グラッセリカは退屈そうにしながらグラウスに甘えるような声を出す。
本当に聞いているのか疑わしい事と、場を弁えないその態度にランディが舌打ちする。
「そこで・・・その二本の武器の特性を利用する。
離れた位置にあってもお互いに引き合う特性をな」
「どういうことだい?」
「今回、『災厄の血』を継ぐ者の一人、アリス・ジェーン・カナリーは『白銀の銃剣』を手にした。
そこで我々は敢えて彼女を泳がせる」
ここまで語ってランディとフラムベルグは合点がいったように頷く。
「なるほど・・・『災厄の血』を引く者同士で争わせようということか」
フラムベルグの言葉にアーサーが大きく頷いた。
「首尾良く事が運び、二人の『災厄の血』と二つの武器が揃ったそのとき、セット・エトワールの総力を上げてそれを抹殺せよ。
それが我々に与えられた任務だ」
聞かされた特殊任務の内容。
その内容は聞かされる前から予想できた一同だが、特にランディとフラムベルグの二人はその内容について疑問を持ったように怪訝な表情を見せている。
「えらく回りくどい感じがするのもそうだけど、今一つ納得いかないところがあるねぇ」
「へぇ、どんなところが納得いかないんですか?」
ランディが喉元に込み上げていたものを吐き出すようにそう口にすると、フラムベルグも同意するように頷く。
するとクリークが変わらぬ笑顔を見せながらランディに聞いた。