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紅砂を駆けるスタンピード ~blood of jane~  作者: 天王寺綾香
二章・序幕 セット・エトワール
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P111

「ーーご報告致します。

星頂特殊任務実行部隊、『セット・エトワール』。

一部、任務続行中の者を除き、全員が集結致しました」


腰辺りまで伸ばした、限りなく濃いダークブルーの長髪を持つ、二十代後半から三十代といったところの精悍な男性。

彼専用の白い軍服に身を包んだ長身が、頭を深々と下げながらそう告げた。


「・・・アーサー。

お前の誇るセット・エトワール・・・。

この機に及びながら一人欠け落ちたようだな?」


右端に座る元老院の一人、緑のローブと覆面を付けた男が声を響かせる。

全体像が隠れているせいで風貌や年齢は全く分からないが、低く枯れた声から推測するにかなりの高齢であろう。


「・・・既にお耳にお入りでしたか」


「あの忌まわしき『災厄』と交戦し、敗北したと聞いておる」


頭を下げたままのアーサーに、今度は左端の青いローブと覆面に身を包んだ男が、やはり老いた声を響かせた。


「我らが命を受け、集結すべき者がその道中で散るとは嘆かわしいことよ」


「お言葉ですが、彼はあの『災厄』に一人立ち向かったのです。

我々の同胞がいた開拓民コロニストの町を守るためにーー」


「貴様に言い訳など求めはせぬ。

問題は我らの命に背き、その貴重な戦力を失ったことだ」


右から二番目の黄色のローブと覆面に身を包んだ男が言い、それに対してアーサーが顔を振り上げ言葉を返そうとするも、

今度は左から二番目、白いローブの男が覆面を震わせると、アーサーは言葉を呑み込んだ。


「・・・げに疎ましきは『災厄』の血よな。

過去の戦争においては我らに恥辱を与え、そして現代に至ってなお、その血を受け継ぐ者が我らの障害となろうとは」


「だがしかし。

その血、無くして我々の計画の遂行はあり得ぬ。

この星の未来を紡ぐため、そして我ら星頂人パイオニアの未来を磐石足るものにするために」


中央に座る両側の人間、金と銀色のローブと覆面に身を隠した男が続けて貫禄を感じさせる声を発する。

その間アーサーは頭を下げたまま、皮膚一つ震わせない直立不動の構えだった。


「ーーアーサー。

我らが総意を伝える。

お前の手足たるセット・エトワールを上手に操り、早急にその任を全うせよ」


「・・・御意に」


中央に座る赤いローブと覆面に身を包んだ男がそう告げると、アーサーは一言そう答えると、元老院の総意となる勅命が彼に下されたのだった。

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