雨の日のお客様
雨音が静かに窓を揺らす。猫が尻尾を振って、私の足を数度はたいた。あと少しなんだけど。苦笑して、読みかけの本を綴じる。百八十二ページ。扉を開ける。
「助けてほしいの」
手を掲げて女の子が言う。雨で女の子の顔が濡れている。
「魔女さん。鳥さん、しんじゃったの?」
草色の小さな小鳥は、目を閉じたまま動かない。小鳥の持ち主でないことを確認し、ねじを巻いて動かして。様子を見てから放すね、と小鳥を預かった。女の子が帰ってから、小鳥を壊す。
時々、悪い魔女がお城に兵器や道具を売り込む。最近は取り締まられているけれど。
私は、本の続きにかかる。何ページだっけ。
雨音が、静かに続いていた。