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俺の恋は5年振り  作者: ナタデココ入りゼリー
3/7

3



「ここ。入って?」


と、千春が指すのは、視聴覚室。


「は?なんで?え、ヤバくね?」


サボる=屋上orランチルーム、だと思っていた俺は、軽く混乱する。


「ヤバいって、何が?」


「いや、だって勝手に入っちゃダメだろ。」


しれっとした顔で聞いてくる千春にビックリしながらも、俺は考える。

特別教室に勝手に入るのはヤバいだろうし、鍵だって開いてないはずだ、と。


「そりゃ、許可なく入ったらマズいんじゃない?てか、鍵掛かってるし。」


「じゃあ、無理じゃん。」


「いや、鍵あるし。」


いつもとなんら変わらないあどけない顔で、千春はズボンのポケットから視聴覚室の鍵を出す。


「…なんで持ってんの?」


「副担任先生に、視聴覚室の鍵が欲しいって言ったら、貸してくれた。」


あの、色ボケババァめ!

50歳の癖に、高校生に色目使うとは恐ろしいっ。


「…なんで視聴覚室なわけ?」


「だってこの部屋、音漏れないからコソコソしなくていいし、カーテンあるから、外から見えないし、サボるのに打って付けじゃん。」


そう言いながら、千春は鍵を開け、俺の腕を引いて力ずくで視聴覚室の中へ引き入れると、内側か鍵を掛けた。


「…マジでサボんの?」


比較的、真面目な俺としては、なるべくサボりたくない。


「アタリマエ。…藍琉もカーテン閉めんの手伝って。」


せっせとカーテンを閉める千春には迷いが無いらしい。

お1人でおサボりください、とは言えない俺は渋々カーテンを閉めた。


全部閉め終わると、真っ暗になった。

目が慣れてない所為もあるのかもしれないが、本当に右も左もわからないレベルに真っ暗で。


「…千春?」


不安になった俺は、千春の名前を呼ぶ。

出て行ってるはずがない。頭ではわかっているが、怖い事には変わりない。


「ねぇ。千春?……千春!」


返事は無い。でも、千春はここにいる。

って事は、俺はからかわれているのだろうか。


プライド的に、この程度の暗闇でビビるのはカッコ悪いから嫌だけど、そんな事を気にして我慢出来るほどの余裕は無く、俺は何度も千春の名前を呼ぶ。


「千春!千春!ねぇ!どこ?」


もう、いくら呼んでも無駄だから、千春が飽きるまでしゃがんで待とうかな、と思った時、フワリと後ろから抱きしめられた。

ほんのり香る甘い匂いに、千春だとわかる。


「…どーしたの?藍琉?」


意地悪く、そう聞いてくる千春に、不思議とそこまで腹は立たなかった。きっと、安心感の方が強かったのだろう。


「………。」


それでも、プライドを傷つけられた事には変わらず、俺は口を聞きたく無かった。


「あは!拗ねてんの?可愛いっ!……ちょっと、待ってて。電気付けてくる。」


そう言って、千春は俺から離れた。

俺は慌てて振り返ると、千春がいるであろう所に必死で抱きついた。


「え?な、何?」




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