最近の小説は、意味があるのかないのかよくわからないが、タイトルが異常に長いようなので、どういう物だなのだろうかと思い、試しに書いてみようと思い立ったため、実際に書いてみた名状しがたい物語のような何か。
どうも、山石悠です。……何やってんだろうな、自分。と思いながらこれを書いています。宿題がまだなのですが、それでいいかなと思っております(おい!)。
今回書きたいのは、なんだったのか……自分でもわかりません。最近、自分が何を書きたいのか分からない。
と、まあ、それを念頭に入れていただければ幸いです。
「んで、書いてみた」
「……何言ってんの?」
僕の目の前には、ワードが開いたPC。そして、そこにかかれた物語。……間違いなく、小説である。
「最近の小説は、題名が長いでしょ?」
「そうだね」
「だからさ、題名が長い小説って、どんなのかなーと、気になってね」
「書いてみたの?」
「うん」
「呆れた……」と、言わんばかりにこちらを見つめる友人。なんなのだろうか? 別にいいじゃないか。
「題名が長くても短くても、内容は変わらないし」
「そうかな? ……そうかも」
「そうそう。それに、あんたの書く小説って、題名が短すぎなの」
「えー? 短い方がよくない?」
「程度の問題。お前、短すぎなんだって」
僕の書いてきた小説の題名を思い出す。『目』『羽』『血』『輪』……シンプルでいい題名だ。
「やっぱり、僕って、センスがいいよね」
「自分で言うかー。気持ち悪いわー」
「一言一言が酷いよね? 僕、すっごく傷ついてるよ」
「傷つけ。そして、そのまま飛べ」
冷静に窓の外を指差す。ここは、地上三階。怪我で済むだろうけど……場合によっては死ぬこともある。
「死ねってこと? 僕に死ねと?」
「うん」
「即答!?」
「じゃないと、気持ちが伝わらないもの」
どんだけ僕に死んでほしいんだろう? ちらっと、友人を見た。
「気持ち悪い。今すぐ、のどを掻き切れ」
「死ねってこと? 僕に死ねと?」
「くどい。睡眠薬を多量に飲め」
「死ねってこと? 僕に死ねと?」
「くどいわ。車道に飛び出して轢かれろ」
「死ねってこと? 僕に死ねと?」
「いい加減にしろ。そこらで首をくくれ」
「死ねってこと? 僕に死ねと?」
「もう、いい加減にしてよ!!」
……残念、ゲームオーバーです。得点は五点でした。
「で? 何のゲームだったの?」
「どれだけ、自殺の方法が言えるかゲーム!」
「で? どうやったら終わり?」
「言えなくなったら。それで、殿堂入りすると、僕がランダムに選ばれた方法で自殺する」
「……私への賞品は?」
ジト目でこっちを見るなよー。嬉しくなる。……って、それはいいか。考えてなかった商品は……
「殺人教唆という犯罪歴」
「殿堂入りしなくてよかった」
「そうだね。してたら、捕まってるからね」
「そうしたらあんたのせいだ」
「そうしたら、ずっと君の中に僕がいることになるね」
ハハハ……僕は、いつも君のそばにいるよ。
「ヤンデレかっ」
「最近、はまってるんだよ。『私の物にならないなら、今すぐ死んで!!』……みたいな」
「怖いね」
「ハハハハハハハハハハハハ」
「ハハハハハハハハハハハハ」
「で? いつまで笑うの?」
「死ぬまで?」
「そしたら?」
そしたら? そしたら、もちろん……
「六点になるね」
「六点になったら?」
「さあ? でも、僕が死んだんだから、殿堂入りだよね」
「死ぬな」
「え? さっきまで死ねって……」
「死ぬな」
「生きねば」
「それ、映画」
……不毛だね、不毛地帯だね。
「それ、ドラマ」
「いいじゃん、いいじゃん、すげージャン」
「それ、歌」
「僕、この小説が書き終わったら結婚するんだ」
「十七歳のくせに」
「ばれたか」
「ばれるとかの問題じゃないし」
「まあ、十八になって書き終われば、それでいいし」
「よく分かんない小説、いつまで書くの?」
「さあ、別にいいんだ。これは、そういう物だからね」
ちらっとPCを見た。……保存はクリックしてあるようだ。安心した。
「で? どんな話なの?」
「とある高校生の話さ」
「へえ、部活? 恋愛? 勉強? 何がテーマなの?」
「すべてであって、どれでもない。ただの、ある高校生の日常を怠惰に書いた話さ」
「へえ、どんな高校生なの?」
「ただの高校生さ。毎日、学校に行って、数人の友人と会話を楽しみ、授業に四苦八苦したり、部活でワイワイやったり……」
「名前は?」
「彼に名前は付けてないんだ。ただ、彼がネットで使っている名前なら、出ているんだ。それでもいい?」
「いいよ。何て名前?」
またパソコンを見た。少し、曖昧になった名前を思い出す。ああ、そうだった。
「彼の名前はね…………」
マウンテンの山に、ストーンの石、それで、ゆっくりゆったりって意味の悠久、悠々自適、なんていうのの悠って書いて……
「…………山石悠って、名乗ってるんだ」
「へえ、普通だね」
「そうなんだ。それで、この題名っていうのは、彼の思ってること。そして、その内容は僕達についてなんだ」
「小説に書かれている人が、小説に書いている人のことを書いているの?」
「そう」
「それじゃあ、どっちが現実か分からないね」
「まったくだ。でも……」
「でも? なに?」
現実って奴も、そんなものなんじゃないかな?
「……そうかもね」
「だろう? 僕らのこの会話だって、誰かに書かれているものかもしれない」
「そして、書いている人が書いていることも、誰かに書かれていることかもしれない」
「その通り」




