「暗い夢」サイトシリーズ① 「CM」 - 8
最初に、この作品はフィクションです。
創作です。
実在する個人・企業・団体とは一切関係ありません。
読者の皆さんは影響を受けて犯罪行為などに走ることなく、
正義と平和を愛する一国民として行動してください。
サイトからの突然のメール連絡はいつも不可解だ。
内容も良く分からないものが多い。
日本人じゃなくて、中国か韓国など海外の人間が管理している可能性も否定できない。最初はカタコトの日本語文章であったこともある。
武蔵はそもそも、最初の「暗い夢」サイトの招待メールでさえ詐欺サイトへの誘い
ではないかと怪しく思っていた。
武蔵が以前ネットで調べたところ、詐欺サイトへの勧誘メールはメールアドレスにあたる文字列を次から次にランダムに作成してメール送信するプログラムを使い、ヒットしたアドレスに無差別にメールを飛ばすタイプと、どこかから顧客情報が漏れて、個人宛にメールしてくるタイプがあるらしい。
住所や電話番号などは通販サイトや携帯会社くらいしか教えてないはずだ。
もし詐欺サイトへ飛ばされても、裁判で勝てることがあると聞いたことがあったため興味本位でリンクを押下した。
そこから選ばれた者たちだけの特殊な趣味として、「暗い夢」サイトやクライムマイレージを楽しんでいる。
この2Combo という表現、武蔵は心当たりがあったが、まさかそんなことはないと思い、思わずスマートフォンでネットニュースを探してみた。
斉藤と鈴村に関連しそうな件はどこにも出ていなかった。
そして今日の授業が終わり、武蔵は通学路にあるコンビニのゴミ箱に
ビニール袋にくるんだ血痕付きのタオルを放り込み、帰宅した。
夕方。
自室のPCで動画サイトのアニメを見ていたときのこと。
スマートフォンが振動した。
今日はあの後スマートフォンのマナーモード設定を解除していなかったのだ。
再び「クライムマイレージ管理局」からのメールが来ていた。
「黒霧半蔵 さん
いつもお疲れ様です。
クライムマイレージ管理局です。
黒霧半蔵 さんのクライムマイレージのランクが5つ上がりました。
20位です。
動画アクセス数も現時点で本日のTOP10入りしてます。
おめでとうございます。
では引き続き頑張ってください。
動画は"こちら"
」
文章の中の"こちら"という部分にリンクが張られてあり、武蔵がタップすると
「暗い夢」サイト内のエビデンス(証拠)と呼ばれる、クライムマイレージの投稿動画コーナーへ移動した。
自動的に動画プレイヤーが起動し、動画の再生が始まった。
森の中。
カメラが「ハァ、ハァ」という息を漏らす音を拾いながら揺れている。
カメラの持ち主がカメラを何かに向けながら走っているようだ。
そして、カメラの移動が止まった。
拡大される。
カメラの先に男と女が映っている。
その二人も立ち止まり、肩で息をしながら何かしゃべっている。
身体を大きく揺らしている。
その後、「タァァァァン」という音がして、女が腹部から血を噴出して倒れた。
女が肩膝をついたまま、腹部を抑えながら大声を上げる。
「うぅぅ。健!、逃げてぇ!」
「馬鹿野郎!かよを置いて、俺一人逃げれるかよ。」
男はそう言うと、女をおんぶしてゆっくり逃げる。
カメラの近くから複数の声がした。
「なぁ、ボウガンやのうて、弓持ってきてもうたんやけど、別にええよなぁ。」
「かまわないと思いますけど、(ピー)さん、弓でもいけます?」
「俺の腕信じんかい!何匹もこうやって狩ってきたんや。」
人物名は音声が置き換えられていた。
カメラが近くにいた弓を構える人間を映す。
その人物の身に着けたチェックシャツにベージュのベストと、ズボンの一部が写りこむ。
弓は和弓であろうか。
下が短い独特の形をしていた。
そして弓を構える人物の顔は映らないようにされていた。
「手負いでゆっくりや。外すわけあらへん。鹿の方がもっと速よ逃げよるわ。」
弓を持っていた男が矢を番え、弦を引き絞って構える。
「つがいのオスの方の足でええやろ?足止めしたら後は(ピー)さんがええかんじにしてくれるわ。」
ヒュッという音がして、まっすぐに矢が放たれた。
女を背負って逃げる男の左太股を矢が貫く。
「ああッ。いってぇ・・・」
男がうめき声を上げる。
「よっしゃ、これでアホでもやれるわ。(ピー)さん、後は任せた。」
女を背負った男は左足をひきずりながら、だが本当にゆっくりと歩いて逃げようとする。
カメラも男女を写しながらゆっくり移動する。
再び「タァァァァン」という音がして、弾丸が男女の胸部を貫通し二人とも地面に倒れた。
場面が変わり、倒れた男女を至近距離でアップで撮影した動画になった。
顔にはモザイクがかかっている。
二人とも大量の血を流しており、カメラを持った人間の足が二人の身体を数回軽く蹴ってみてもぴくりとも動かなかった。
最後に二人がペアで持っていたペンダントが胸元で光っているのが写されて映像が終わった。
武蔵は確信した。
あのペンダント、確か有名なジュエリーのブランドのものだ。
二ヶ月ほど前、斉藤と鈴村がクラスメートに自慢していたものと同じ。
動画を見終わった瞬間は、寒気がして一瞬呆けてしまったが時が経つに連れて笑いがこみ上げて来た。
自分を見下し、率先していじめを行っていた二人の死亡が確認できたことに。
今すぐ、クラスメートたちに教えてやりたい。
お前たちが希望した二人の幸せな姿など、もう一生見ることはないということを。
シリーズ①の「CM」の頭と尻はできてますが、間の流れとかが完全にできてません。なので、連載形式にしてます。
シリーズ②の「MH」のネタは既にかなりできてます。
次は
「暗い無」サイトシリーズ① 「CM」 - 9
になります。
文章力などまだまだ勉強が必要ですが、
よろしければ応援よろしくお願いいたします。
基本、土日で更新。