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「暗い夢」サイトシリーズ① 「CM」 - 2

最初に、この作品はフィクションです。

創作です。

実在する個人・企業・団体とは一切関係ありません。

読者の皆さんは影響を受けて犯罪行為などに走ることなく、

正義と平和を愛する一国民として行動してください。

その日は雨が降っていた。

ザァッという雨の音、時折雷鳴と轟音が響く。

県立飯田橋高等学校の昼休みのチャイムが鳴り、生徒たちは食堂へ移動したり

家族の作った弁当箱を用意し始めた。

クラス3-Aの生徒、佐多武蔵さたむさしはコンビニで買った菓子パンとパックコーヒーが入った

バッグを持ち、いつものように姿を消した。


「おい、また『さなだむし』が便所で飯食ってるぜ」

「ほっとけ、ほっとけ、くせーのがうつるからよぅ」

「あいつ、きしょいよね~ きゃははは」


武蔵は他のクラスメートたちの嘲笑が聞こえたが、無視して目的の場所に向かった。


今日は雨だから、屋上は使えない。

そんなとき、決まって体育倉庫の裏の屋根がある部分に移動して一人で食事をしていた。

以前は今の場所でなく、だれも大便を済ませていないことを確認した男子トイレの個室を探して、隠れて一人食事を取っていた。

そのことと名前から「さなだむし」と呼ばれるようになってしまったのは彼自身、一生の不覚だった。

そしてクラスメートたちからいじめを受けていた。


幸い、かつあげに至るようないじめでは無く、常に聞いていることを知った上での陰口や無視、

学校の裏サイトへ盗撮画像を投稿され、バカにされる程度であったが、佐多本人はそもそも学生時代に友達など必要ないという

考えを持っていた。

どうせまたいじめで転校することになるのだから。


昔は父親の仕事の関係で酷いときには数ヶ月、そうでなければ2年程度で日本全国の学校を転校して回った。

連絡先を交換し、「またいつか会おう」という約束をしたクラスメートも過去にはいたが、

特にそれ以降連絡を取り合うこともなく、自然消滅していった。

そこで、どうせまた転校するのだから誰かと仲良くなっても意味がないという考えを持ち、

クラスメートとのコミュニケーションをカットするようになったため、いつからか

目をつけられいじめの対象となってしまった。

それ以降はいじめを理由に転校だ。

学業の成績は中の上、運動神経も学年の中ほどであった。

父親は昔のことがあったため、武蔵のわがままを聞いてご機嫌とりをしており、

高性能スマートフォンや携帯ゲーム機を武蔵が若いうちから買い与えていた。

小遣いも全国の高校生の平均よりもかなり多い。


武蔵は学校に来ること自体に何の意味があるのかを常に自分自身に問うており、

学校のいじめもあって、陰鬱な気分で毎日を過ごしていた。

そんなとき、あのサイトを知ってしまった。


あのサイトなら、自分を評価してくれる。

皆が自分の一挙手一投足を見て応援してくれる。

佐多はある会員制サイトの上位ランカーであった。

今のランクはサイト内23位。

最初はランキングにエントリーしてみたものの、自分の投稿した内容が大した内容ではなかったため、

評価ポイントも少なく、ランキングは637位止まりだった。


武蔵が食事を取りながらスマートフォンを開き、あるサイトを表示して決まったログイン方法を用いてログインする。

平日の昼休みだが、他のランキング上位者たちはまたも評価ポイントを増やしており、

それを見るとやはり武蔵は焦ってしまう。

自分の居場所が他人に蹂躙されてしまっているようで。


だが何をすればいい?

このサイトの評価ポイントで高得点を叩き出すには、生半可なことではダメだ。

最初はちょっとしたことだった。

公園で群がってくるハトたちをスリングショットで撃退した。

そのうち数羽は、その時の怪我のせいで空を飛ぶ機能を失ってしまった。

そもそもハトは害獣だ、何の問題もないと自分に言い聞かせた。

その内容を投稿して、証拠動画をサイトにアップロードしてもポイントは5Pしかもらえなかった。

上位ランカーが自慢げに投稿しているような内容は、真実かどうかを疑うようなものがあるが

確かにアップロードされた写真や動画と現実がリンクし、

テレビやネットのニュースでもその内容が取り扱われるほどだ。


そこから、万引き、盗撮などを行いその証拠とともにサイトに投稿しても1Pや2Pといった

評価ポイントしかもらえなかった。

他のランカーと一度チャットをしてみたところ、ある程度の評価基準を教えてもらえたが、

高得点の内容はとてもすぐに自分でできないことが多い。

上位ランカーの中に逮捕者が出たこともあるみたいだが、どうしたものか。


このサイトが他人に知られてもまずい。

こつこつと細かいポイントをもらっていき、やっと実を結んで今のランクになったのだから。





「クライムマイレージ」





それはあるサイトで始まった犯罪ゲームの名称だ。

略称は「CM」

投稿者がサイトに投稿した犯罪行為の内容を他の会員が評価し、

よりインパクトのあるものや、残虐性のあるものほど高く評価された。

最初は、ある半グレや暴走族たちがネットで自分の武勇伝として過去の犯罪行為の自慢をやっていたところを

見ていた一般人たちが面白がって真似していたらしい。

そこにポイントという考え方が始まり、今の形態になったとのことだ。

犯罪行為を証拠付きで自慢しあい、評価されたポイントが付与されて

その合計ポイントでランキングを競うという悪のゲーム。

もちろん、やっていることはただの犯罪行為であるので発覚すれば大事などでは済まない。

だが過去に犯罪行為が発覚し、逮捕者が出てもサイトのことだけは明るみに出たことなど一度もなかった。


武蔵はそのゲームの上位ランカーの中で、こつこつと数ポイントずつを蓄積し、

ここまで到達できた。

上位ランカーたちは、明らかに度を越えた犯罪行為をやっているものもおり、

一つ上のランカーとも数万ポイント差を付けられているほどだ。


武蔵はスマートフォンを操作しながら、時折周囲の気配に気を配る。

このスマートフォンを他人に見せてはいけない。

そうすれば、全てが破滅してしまう。

自分が今までやってきたどんなテレビゲームやスポーツよりも自分を夢中にさせる中毒性のある麻薬のようなもの。

一旦始めたら、もう前の自分には戻れない。


武蔵はパックコーヒーを飲み干し、左手の親指でスマートフォンに隠し設定を入れてそっと学生服の内ポケットに入れた。

シリーズ①の「CM」の頭と尻はできてますが、間の流れとかが完全にできてません。なので、連載形式にしてます。

シリーズ②の「MH」のネタは既にかなりできてます。


次は

「暗い無」サイトシリーズ① 「CM」 - 3

になります。


文章力などまだまだ勉強が必要ですが、

よろしければ応援よろしくお願いいたします。

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