「暗い夢」サイトシリーズ① 「CM」 - 1
最初に、この作品はフィクションです。
創作です。
実在する個人・企業・団体とは一切関係ありません。
読者の皆さんは影響を受けて犯罪行為などに走ることなく、
正義と平和を愛する一国民として行動してください。
新聞記者の竹中が、某高校のいじめ自殺事件について所属生徒にインタビューしていた時のことだ。
ある女子生徒からいじめ自殺事件と関係があり、同業他社がまだどこにも公開していない情報を得たのだ。
「君は、自殺した伊藤さんがあのグループにいじめ受けてたのを知ってたの?」
「ええ。最初は軽いいじめだったんだけどエスカレートしていって。」
「どんな?」
「悪いのはあの娘だし。あの娘が美紀の彼氏とったりするからですよ。美紀が仲良しグループに話していじめが始まったんです。そしたらクラスのみんなも参加して。全員であの娘無視したり、物隠したり。裏サイトで口裏合わせたり。そしたら、あの娘がいじめられてること親に話して、親が学校に乗り込んで来たんです。」
「そうなんだね。」
「そこで一旦いじめが収まりかけたんですけど、あの娘が美紀挑発して、彼氏とラブラブの画像自慢したりしたから悪いんですよ。だから美紀があのサイトに投稿して・・・」
「学校の裏サイトのこと?」
「いや、そんな生易しいもんじゃないんですよ。」
「へぇ~。どこなの?」
「絶対私が言ったって言わないでくださいよ。本当にヤバイから。次私が同じ目にあっちゃう。」
「じゃあ絶対君が言ったって言わない。どっかから情報入手したことにするから。」
「『暗い夢』っていう怖い会員制サイトがあるんですよ。美紀がどこからそのサイトのこと知ったか知りませんけど。美紀は私と仲良しグループの数人にしか話してないって言ってました。」
「『暗い夢』って書くの?」
「はい、そこの中の「依頼受けます」ってところに美紀が・・・・あの娘襲ってくれたら謝礼出すとか書いて、あの娘の画像とか住所とか晒したんです。そしたら本当にあの娘襲われて・・・。十人くらいのグループにレイプされたって・・・」
「でも最近そうゆうサイトって犯罪幇助ってことで摘発されていってるでしょ?」
「何か、よくある検索サイトとかからじゃ絶対にひっかからないから、警察でも絶対見つけられないらしいんです。だから美紀は絶対バレないって。それにそこのサイトにあの娘レイプした連中がその時の動画をアップしたとか・・・」
「そうなんだ。URLとか、どっかからリンク張られてたりとかわからない?」
「あっ!美紀から着信!すいません、この話やっぱり聞かなかったことにしてください。」
その女子生徒はスマートフォンを耳に当てながら足早に駆けていった。
ICレコーダーの電源を切り、竹中は考えを巡らせた。
「『暗い夢』ねぇ・・・。とにかくネタと一緒にメモしておくか。」
竹中は、半信半疑であった。
インターネットが日常の一部になるようなこのご時勢だし、犯罪を幇助するような内容のサイトが存在しているのは実際竹中自身も目にしたことがある。だが、警察の捜査によって次々に犯罪に関与した者が逮捕され、そういったサイトは封鎖されていっている。インターネットの詳しいことは分からないが、警察に全く見つからないような闇のサイトが本当に存在しているのだろうか?と、竹中は思った。
竹中は缶コーヒーを片手に高校近くのコインパーキングに戻り、停めてあった愛車の中で煙草に火をつけた。缶コーヒーを飲みつつ、一服する。スマートフォンで時刻を確認すると、もう夕方だった。
その時、竹中のスマートフォンに新聞社の編集長から着信が入った。
すぐに煙草を灰皿に押し当て、着信を取る。
「はい。竹中です。」
「おう、竹中どうだ?何かネタは手に入ったか?」
「はい。いじめに関するネタが入りましたが、それと面白そうなネタも一つ入りました。」
「そうか。で?面白そうなネタって何だ?」
「ちょっと俺自身も半信半疑なんですが、警察に絶対見つからないような会員制の闇サイトがあるらしいんです。」
「ソースは?」
「今回のいじめのことを知ってる女生徒からです。」
「うーん、女生徒じゃなぁ・・・。よし分かった。じゃあ、いじめのネタは俺にメールしろ。お前はその会員制の闇サイトについて一応調べて来い。社に戻ったらまず、いじめの件を打ち合わせするぞ。」
「わかりました。」
スマートフォンを切り、缶コーヒーを飲み干した後愛車のエンジンをかける。
(そうだな・・・まずは・・知り合いのつてを辿ってみるか)
竹中は愛車を走らせた。
・・・・・
竹中が知り合いのつてをいくつも辿り、加藤という男が『暗い夢』という会員制サイトのことを知っているらしいという情報を得た。
都内の少し高級な飲み屋に予約を取り、個室で待ち合わせる。
有効なネタが入れば経費が下りるのだが、もし外れた場合は全て自腹になってしまう。竹中は先週スロットで負けて懐がなかなか寂しい状態であったため、加藤という男が有効なネタを持っていることを祈った。
1時間ほどして、加藤が現れた。
20代後半でIT関係の仕事をやっているということだったが、髪は金髪で耳と鼻にはピアスをしており、服装は見るからにホストのような格好で強い香水の匂いをさせている。竹中は、見たままチャラそうだと感じた。だが、紹介者からはインターネットについての知識と技術は国内でもトップクラスで、裏でハッキングやクラッキングをしてヤバいバイトをしているプロフェッショナルと聞いている。
「どうも。」
「ああ、初めまして。○○社の竹中です。」
竹中が名刺を渡そうとするが、加藤は名刺を受け取らずにスルーして竹中の向かいに座る。
「何の用すか?」
「ああ、青田さんから聞いてない?『暗い夢』ってサイトの件なんだけど。」
『暗い夢』という単語を聞いた途端に加藤の顔が険しくなった。
「竹中さん?でしたっけ?そのサイトの名前は軽々しく人前で出さない方がいい。誰が聞いているか分からない。」
「場所変えた方がいいかな?」
「車の中とかの方がいいっすね。後、そのサイトのこと知るのはお勧めしません。」
「よし、じゃあ出ようか。俺の車の中で話そう。」
竹中は加藤が必ず何かを知っていることを確信した。
そして、二人は店を後にした。
竹中は自販機で購入した缶コーヒーを加藤に渡して、愛車の中で話を始めた。
「さっきの反応だと、かなりヤバいサイトなのか?」
「そんなに知りたいなら教えます。『暗い夢』って名前から分かりませんか?英語の『Crime』の当て字ですよ。会員制サイトだけど、コンテンツがヤバいっす。人間の黒い欲望が全部曝け出されてて、普通の人間なら見た瞬間吐き気を催すと思いますよ。」
「本当なのか!?」
「サイトのセキュリティがかなり凄いって、俺たちの仲間内でも話題になってたんで、1年前ハッキングしたんですよ。ハッキングは時間かかったけど成功して、サイトにログインしたんですけど、コンテンツの気持ち悪さに耐え切れずにすぐログアウトしました。痕跡を残さないようにしてね。」
「それで?」
「ハッキングしたのが間違いでした。痕跡を残さないようにしたはずなのに、その二日後にはハッキングがバレたみたいで、おかしな連中が俺の部屋に出入りしてたんす。それは隠してあった自室の監視カメラで分かったんすけど。そいつらが俺のPCに何回もログインしようとしてて。部屋の中に何かを設置しようとしたみたいだし。スマホから自室のカメラにつないだらそれが分かったんで、そのマンションにはもう戻ってません。多分経路をトレースされたんだと思います。」
「コンテンツは?」
「掲示板と動画、チャットと後何かのランキングみたいなのがあったと思います。」
「なるほど。」
「暗号化されたデータベースの中身もその時少し解析できたんですけど、
後で知り合い使ってユーザー情報から色々調べたら、俺が見ただけでも会員の中に大物議員の名前と芸能人、大企業の取締役から国家公務員も混じってました。」
「すげーじゃん。スクープどころじゃないぞ。」
「あっ!」
加藤が急に何かに気づいて身をかがめた。
「竹中さん、早く、早く車出して!」
竹中が言われるままに、愛車のエンジンをかけて店の駐車場を出ようとした時、数人の黒服の男たちが前を横切った。
「そのまま店から離れてください!早く!」
「ああ、分かった。」
「このまま高速に乗って、どっかのパーキングエリアまでいってください。」
竹中は車を走らせた。
高速道路に入り、あるパーキングエリアで停車するまで、その間中加藤は助手席で身体をかがめたまま尾行してくる車がないかをしきりに気にかけ、竹中に確認していた。
車が人気の少ないパーキングに入り、停車する。
「まわりに黒服の連中いないすか?」
「ああ、もういないよ。」
「ふー。」
加藤がため息をついて身体を戻した。
「黒服の連中に何かされたのか?」
「あの連中が俺のマンションに出入りしてた奴らです。俺がマンションに戻らないのが分かったのか、あいつら俺のマンションの部屋に何かを撒いて、火を付けたんです。」
「こりゃ、かなりヤバそうだな。今日はとりあえず、どっかこの近くのビジネスホテルにでも泊まるか。」
「はい。」
竹中は、『暗い夢』というサイトがかなりの特ダネであるが、非常に危険なネタであることを感じてゾッとした。
(編集長に連絡を取って、用心しながら進めないと・・・)
シリーズ①の「CM」の頭と尻はできてますが、間の流れとかが完全にできてません。なので、連載形式にしてます。
シリーズ②の「MH」のネタは既にかなりできてます。
次は
「暗い夢」サイトシリーズ① 「CM」 - 2
になります。
文章力などまだまだ勉強が必要ですが、
よろしければ応援よろしくお願いいたします。