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嘘つき魔法具  作者: 金平糖
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 さて、そんな異世界に来た私ですが、只今自分にご褒美をあげているところです。


 この世界に来てから、今の宿を見つけるとまず始めたのは、ギルドに加入、そして短期のアルバイトです。たいした身分証明書もない私がお金を稼ぐ方法なんてこのぐらいしか思いつかなかったんです。換金できるものは持たされていましたが、いざという時の為にとって置きたかったので、すぐにアルバイトを始めました。働くことだけでなく、やはりこれからを不安に思うことも実際に暮らし始めると増えましたし、気分転換の為に私は毎週、休日にほしいと思ったかわいいものを自分に買ってあげることにしたのです!本日は三週目なので、三回目ですね。


 私は男の子に囲まれていた時期が長く、女の子として自分を意識したのは中一の時。ちょっと頑張って中学受験をしました。学校へはバスと電車で一時間ほどですね。下の町に降りてまた別の山を隔てた向こうにあるので、トンネルをくぐるときはいつもワクワクしました。


 中学に入ってからというもの、皆さん、まぁ、おしゃれさんでして、こう、なんでしょうか、本能が刺激されたといいますか。もっと可愛いもの見たい! もっと可愛いので飾りたい(他人を)!等々の欲望が湧き出てきたんです。


 ですが、村では男の子ばっかで、私もほぼ男の子と同化していた時代がありまして、堂々と可愛いものに興味を示すのは恥ずかしい。でも好きなものは好きで、いろいろ行き着いた先がコレクト、収集、そしてそれをもとに制作、フリマ、ネットで販売。親に内緒で友達に手伝ってもらいながらやってました。


 ……ええ、そうですよね。最後のとこですよね、気になるのは。実は、私は作ったもののほとんどをフリマなどで売っちゃってます☆


 というのもですね、自分を飾っても楽しくないんですよ。自分がもし、ナルシストかもうちょっと顔の造作が良ければ考えましたがねー。お世辞なら、かわいいと言われたことのある私ですが……。うーん、分かるでしょうか、男の子っぽいわけでもなく、女の子であるわけでもなく、性別は私っ!みたいな感覚。そんなのもあって、決して自分にアクセを着けることはありませんでした。

 フリマで売っぱらって、お金を集めてまた制作。これがまた、快感なんですよねぇ。お金が手に入る瞬間の何とも言えない快感、自分で作ったもので稼げるんですから嬉しいものですよ。


 まあ、可愛いものを隠さないといけなかった苦しい日々。それがこの世界に来てから、私を知る人はいないわけだから、好きにできる!しかも運命とやらは、普通に生きていたらその時が来て役割を知らずと果たすらしいので考えなくていいらしいです。

 つまり、私がこの世界に来たという時点で私があの約束のために頑張ることは終わったわけです。

ということで目標は、髪飾りとか、首飾り、指輪……いろんなアクセサリーを作ってやろうということですよ!



 ……と、まぁ、昔話はそこまでにしてご褒美の話ですね。


 勉強もかねて、いろいろ見ていているんです。どうやらこちらでは、高価な石などを使ったものとか、銀細工、金細工とかが人気のようですね。リボンや、紐のもありますが子供用やちょっとしたアクセント程度の認識が強いようです。だから、布物はリボンとして髪を縛ったり、チョーカーで使われる程度ですね。ここは開拓の余地がありますね!

 私自身はビーズや紐、布くらいでしか、今はアクセサリーを作れません。粘土が手に入れば、もっともっと出来そうなんですが、まだ良さそうなのは見つかりませんね。やはり、固形のものを扱って守備範囲を広げたいです。……っと、あっ、綺麗なトンボ玉……。


フミは、嬉しそう顔で帰路についた。きっと良い買い物ができたのだろう。

夢見る女の子特有のキラキラしたまなざし。夕焼けの赤に染まりながら、歩く姿はごく普通の少女のようであった。



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