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♯「プロローグ」

神山中学校の、3階のはじっこ。

そこに、音楽室兼ぼく達の部室がある。

チョークの粉で汚れた黒板。

ぐちゃぐちゃで、ところどころ敗れてしまっている、2年前の12月のカレンダー。

ぼろぼろになってしまった、基礎メニューの表。

楽器室、通称「裏側」には、中身が残っているアップルティやお茶のペットボトル、

持ち帰っていないコンビニ弁当、ぼろぼろのパイプ椅子なんかが散乱している。


そこで、ぼく達はのんびりすぎるほど、のんびりとした毎日を送っている。




     ** **



3年生がまだいたころのぼく達の演奏は、いくらお世辞がうまいひとでも、上手とは言えないだろう。

自信もやる気もイマイチなせいか、運動場で演奏してもまったく聞こえない。

演奏会を開いても、客は10人以下。拍手はまばら。

そして、コンクールでは堂々のビリ。

まず、顧問からやる気がイマイチ。

もちろん、サボりもいる。

でもサボりは、ぼく達2年生のうちの2人だけだから、まだいいほうだとぼくは思う。

そんな3年生が10月半ばに引退し、部活・部室はぼく達2年生の天下となった。

ぼくは、3年生に姉がいて、サボることができなかった。

でも今は姉は受験勉強に一生懸命で、部屋から出てこない。

そして、サボるとやけにうるさかった部長もいない。

これはチャンスだ。

そう思ったぼくは、丸々1ヶ月、部活に行かなかった。

そして、どうやらぼくと同じ理由でサボっていたのは、あと2人いたらしい。

そこでとうとう部長がキレて、部員全員で話合い、部長が無断で持ってきている携帯に、「これからは必ず、必ず毎日部活に参加します」という誓いをなぜかぼくだけ録音させられた。

これで、逃げも隠れもできなくなり、ぼくは嫌々、部活に参加することになった。

ちなみに、ぼくと同じ理由でこなかった2人のうちの1人は、習い事多数で来るに来られなかったらしい。それで、習い事の時間をずらす、で部活に参加することになった。

あとの1人は、部活をやめることになった。


この日から、ぼく達は「吹奏楽部」として活動し始めた。



** **



さっきからぼく達と言っているけど、部員の人数は10人以下だ。

退屈かもしれないが、部員紹介に付き合ってもらいたい。

部長は、ユーフォニウム、略してユーフォ担当の川村ひかり。ちなみに美人。

副部長は、ホルン担当の埼川ななみ。見た目はチビで可愛い。だけど超毒舌。

部員は、トランペット担当のぼく、立花稔と、パーカッション、略してパーカス担当の長野潮音。

あわせて6人の、超少ない吹奏楽部。

そして、部長のひかりは、小学校までベスト3に常連だった金管バンド部に所属し、トロンボーンを担当していた。

中学校からは、引越しのせいでここ、神山中に来た。

ひかりは、かなり上手だ。楽器変わったのに。

ぼくはというと、パーカスからトランペットに移動し、それでいて丸々1ヶ月、部活に行ってないから、大体想像はつくだろう。

とりあえず、練習の流れもついでに説明しておこう。

まずは、・・・あ!

忘れてた・・・。6人目のメンバー。

6人目の部員は、チューバ担当の、風野亜樹。うっかりしたら忘れてしまう、存在感の薄い、無口なひと。

亜樹はもともと木管だったんだけど、亜樹以外はみんな3年生。

3年生が引退してから、木管ひとりはバランスが悪い、ということで、嫌々チューバに移動することになった。

最近はなんだか、チューバをにらみつけている気がする。

とりあえず、全員の紹介がすんだ所で話を戻そうかな。

練習メニューは、ロングトーン、タンギング、簡単な曲を3曲などをやる、「基礎」から始まって、個人個人で練習をする、そのまんまの個人練習。通称「個人連」。個人連が終わった後に、みんなで合奏し、直すところを直す、これもそのまんまの「合奏」。

大体、この流れかな。

そして、この時期にある最初のイベント、卒業式も、もうあと約半年。

そして、恒例の入場演奏。

ひかり曰く、今のままじゃCDを流すことにもなりかねないらしい。

ちなみに、曲も決まっていない。


このままではまずい。

ぼく達は、卒業式までに曲を完成させるべく、活動開始した。

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