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爺ちゃんはG世代

作者: 外天ハク
掲載日:2026/02/06

爺ちゃんは、苦労人だ。


小学生の時に両親に病死され幼い妹3人と


親戚宅に預けられた。


でも親戚もけして裕福な方では無かった


ので小学校を卒業して直ぐに働き始め


親戚宅の家計を助けた。


15歳で地元の劇団に入団。10年努力


してモノにならなかったら真っ当な職に


就く事を条件に。そう爺ちゃんは、役者


になりたかった。


そして勉強する事10年目、テレビ番組


の小さな役に着く事が出来た。温厚な性


格、誰にでも優しかった爺ちゃんは、そ


の役をきっかけに小さいながらも芸能事


務所への所属が決まった。担当してくれ


たマネージャーも良い人で言葉通り二人


三脚で日々努力を欠かさなかった。稽古


漬けになってた爺ちゃんはポツポツと小


さな役をGETし続けいつからか映画への


出演も増えていく。


それから50年経ち爺ちゃんは、75


歳になった。そろそろ引退という文字


が脳裏を駆け巡り始めた頃にご褒美が


待っていた。初めての主演映画だ。脇


を固めるのは日本を代表する渡辺謙、


役所広司という豪華振りだ。その中で


爺ちゃんは、認知症老人を演じる事に


なった。クランクインから半年経ち、


もはやクランクアップという時に事件


が起きた。認知症役の爺ちゃんが本当


の認知症になってしまったのだ。


しかしその行動は、認知症っぽくない。


昼の決まった時間に外出し町内をグル


グル歩き最終的にはきちんと家に戻っ


てくる姿は、徘徊というより体力が


落ちる事を警戒した運動に見えたし。


毎回ご飯を食べた事を確認する言葉も


「まだ食べてない」では無く


「もう食べたっけ」だし。それでも


医者に言わせれば爺ちゃんは立派な


認知症らしい。


多くの方に助けられ無事大仕事を務


めた爺ちゃんは、緊張が解けたのか間


もなく体調を崩し入院した。


食は、細くなる一方だったが肉体的


には健康だった。


ある日お見舞いに行った時の事だった。


入室した僕を見るなり来い来いと手招き


する爺ちゃん。耳を傾けてみる。


「どうだった、ワシの認知症老人?」悪


戯な笑みを浮かべる爺ちゃんに僕は驚い


た。でも冷静に考えて見ればそれももし


かしたら認知症の影響を受けた言葉だっ


たのかも知れない。それでもそんな事を


話す爺ちゃんがとてもお茶目で、愛らし


く思った。


1年後無事退院した爺ちゃんは、家に


帰った日の夜に亡くなった。最期は家


でという希望が叶った瞬間だった。


爺ちゃんは、Ganだった。余命僅かと


告知はしなかったが家族の判断で家へ


帰ったのだ。


Ganになり


ある日人生のGoalのテープを切った大


好きな爺ちゃん。


真新しい仏壇に手を合わせた時に僕は


心から言葉を贈る


爺ちゃんGokurousamaでしたと。

苦労は必ずしも報われないと知っていても、苦労し生きてく人生には価値があると思います。

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