雨宿り
この作品は「なろうラジオ大賞7」参加作品です(*^^)v
今回も1000文字以内に詰めるのに苦労しました(^-^;
花嫁の控室まで来て今更だけど、カレの顔を見たら「ホントに私でいいの?」って聞いてしまいそう。
でもいいんだよね!
やっとそう思う事にも慣れて来た。
“ふしだら”を絵に描いた様な私だったからネた男は数知れず。
そう、アイツらにとって私は肉欲を満たすだけの……風船より軽い存在だったから、すぐやりたがった。自らの薄っぺらな人間性でも私を押さえる事が出来ると思って!
確かに私はおバカさんで、“病気”を貰わなかっだけマシだったのだろう。
でも悲しい事はしてしまって……カレとの出会いはそれがきっかけだった。
“処置”をしたその日はどんより曇った空だった。
病院から出た時はまだ麻酔も効いていたから……蒟蒻みたいな下半身を頭の中のリモコンでロボットみたく動かしていたけど、歩く事に疲れたし飽きたので公園のベンチに座ってしまった。
しばらくそのままで居たら、空のどんよりも下腹部の痛みもどんどん嵩増しして来た。
と、雨がポツポツ降り出した。
でも動けない……
『これ、天罰?』
心の中に初めて生まれ出た言葉は……産む事ができず葬った者が呼び寄せたもの?
でもそのすぐ後から“私”の言葉が追い掛けて来る。
「すべてはオトコがドジったせいじゃん!ヤラせてあげたのにさ!」
私の顔に浮かんだ皮肉めいた笑みは
きっとそれだけで罪悪だったのだろう。
そして私は般若の顔をしていたのだろう。
そんな私に……カレは傘を差し掛けてくれた。
「大丈夫ですか?」
「別にどうもない」
「でも、顔色が真っ青ですよ」
それは天気のせい」
「この天気じゃ濡れます」
「しつこいなあ!今、ナンパの相手なんかしてらんない!」
「すみません。では傘を置いてきますから」
「ちょっと待って!」
傘を私の肩に置いて立ち去ろうとするカレに私は怒鳴った。
「今、動きたくないんだから『当て逃げ』みたいな事しないで!」
「当て逃げ?」
「そう! 傘の骨に髪が絡まった!」
カレにとっては災難だっただろうに……
私と来たら……
最初は私の前に立って傘を差し掛けていたカレに
私の横の濡れたベンチに座る様に言って
手を握って貰って泣いていた。
あの時の……
「治ったらお礼にヤらせてあげるよ」って私の言葉は……
まだ履行されていない。
でも、信じて欲しい!
今の私の全てはあなたなんだって!
だから、これから交わす“誓いのキス”の事を思うだけで
胸の鼓動が止まらない。
これはもう!
ファーストキスを夢見る乙女で……自分自身笑っちゃうのだけどね。
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