#2 偽りの喝采と真の疑惑
連載作品「終わりの始まり」の加筆・修正について
いつも拙作「終わりの始まり」をお読みいただき、誠にありがとうございます。作者の[Noir]です。
この度、以前投稿した一部、文章について、表現の調整や誤字脱字の修正、および若干の加筆を行いました。
物語の大きな流れや結末に変更はございませんが、セリフ回しや小説の展開をより細かに、そして丁寧にすることで、より読みやすくなるよう手直ししております。
すでにお読みいただいた方も、これからの方も、楽しんでいただければ幸いです。
今後とも、応援よろしくお願いいたします。
[Noir]
「一端、ここから出よう」
横たわる芝崎先生の写真を撮り終えた晴紀が言った。
「うん」
僕は小さく頷き、いまにも崩れそうな剛と一緒に教室に戻った。
教室に戻ると、みんなが剛の様子を心配そうに見ている。
その空気を切るように、晴紀がふいに教壇に立った。
「落ち着いて聞いてほしい」
前置きの声は静かだが、どこか厳しさがあった。
晴紀は、芝崎先生が死んでいることを淡々とみんなに伝えた。
教壇を降りた瞬間、黒板上部のプロジェクターが下り、電源がつく。
映し出された画面に、芝崎先生が映っていた。
「みなさん、お久しぶりですね」
変わらぬ笑顔で、先生は話し始める。
だが、画面の言葉は僕らの胸に鋭く突き刺さった。
「この動画が流れているということは、先生は殺されたということでしょう」
先生はそれだけ言うと、小さく笑って、「楽しんでください」
そう付け加えた。
画面は暗くなり、プロジェクターが上がった。
そのとき、教室中のスマホが一斉に鳴り響いた。
「ピロン!」
破裂するような電子音に、心臓が跳ねる。
僕のスマホにも、文字が表示されていた。
『矛盾だらけの空間が映すものは?』
周りを見ると、皆も画面に目を落としている。
「余興の一種で、先生は僕らをからかってるんだな」
無意識に僕はそう思った。
雄吾が声を上げる。
「俺んとこにきたメール、『スマホ持ってきてないやついる?』なんだけど。先生考案の余興だな、こりゃ」
雄吾が鼻で笑った。
それを聞いて、僕はふと気づいた。
学校のメアドを捨てていたら、全員に無事に届く保証はない。ましてや、スマホを持ってきていない人は余興に参加すらできない。
晴紀が突然、僕の腕を掴んだ。
そのまま廊下に連れ出された僕の心臓がさらに早鐘を打つ。
「彰、おまえしか信頼できない」
そう前置きした晴紀はスマホの画面を僕に見せた。
『先生を殺した犯人はこのクラスにいます。必ず見つけ出してください。 芝崎 誠』
僕は言った。
「余興だと思うけど、人狼みたいなもんでしょ?」
晴紀は首を横に振った。
「だいたい余興にしてはおかしい。芝崎先生は本当に死んでいた」
倒れていた先生を思い出して、僕は息をのむ。
「それに、俺のスマホに届いた質問文は……余興向きじゃなく、依頼に近い」
彼は文字を指さし、強調する。
「しかも署名は『芝崎 誠』。一人称は『先生』だ。普通、文の一人称は私とか僕とか俺だろ?」
僕は少し声を荒げた。
「先生っていう人もいるかもしれないだろ」
晴紀が同窓会を得体のしれないものに変えてしまいそうで、恐ろしかった。
晴紀は構わず続ける。
「それにさ、『必ず見つけ出してください』って書いた本人が言うのもおかしい。なにより『この』って書いてあるだろ?それは、この場にいる人を知らないと書けない」
「でも……」
言いかける僕を遮るように、晴紀は言葉を重ねる。
「だいたい先生はいたずらなんかしない。中高6年間、一回も冗談を言わなかった。それに動画の中で『殺された』って言ってるんだ。冗談一つ言わなかった先生が!」
晴紀はそこまで言うと、考え込んでしまった。




