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#2 無敵の沈黙と無情の正義

「一端、ここから出よう」

横たわる芝崎先生の写真を撮りおえて、晴紀が言った。

僕は「うん」と小さく頷いて、いまにも崩れそうな剛と教室に戻った。

みんなが剛の様子を見て、少し不安になっている。

晴紀がふいに教壇に立った。

「落ち着いて聞いてほしい。」

そう前置きした晴紀は芝崎先生が死んでいることをみんなに伝えた。

晴紀が話を終えて教壇を下りた。

とその時、黒板上部のプロジェクターが降りて、電源がついた。

映し出された画面には芝崎先生が映っていた

「みなさん、久しぶりですね。」

芝崎先生はいつもと変わらない様子で、話し始めた。

「この動画が流れているということは先生は殺されたということでしょう。」

「ピロン!」

いきなり僕のスマホが鳴った。

僕のスマホだけではない。

クラスメンバー全員のスマホが一斉になった。

「矛盾だらけの空間が映すものは?」

僕のスマホにはそうかかれていた。

「なんだ、余興の一種で、先生は僕らをからかってるんだな」そう思った。

周りをうかがうと、皆、少し安心しているようだった。

「スマホもってきてないやついる?」雄吾が突然そう言った。

「あ、いや、俺のスマホに来た質問文がそれだったからさ、先生の余興ってやつだな」

「先生も悪い人だ。死体にまでなりすまして、、僕も質問に答えよう」などと思っていると

「みなさんのスマホに質問は届いたかな?それでは楽しんで!」

そう言って、先生は意味ありげに笑った。

画面が暗くなってプロジェクターが上にあがる。

「なあ」晴紀がそう言って僕に話しかけてくる。

「ちょっと、こっちきて」と晴紀が僕の腕をつかんで、僕らは廊下にでた。

「彰、おまえしか信頼できない」そう言った晴紀の顔は妙に真剣だった。

「これ、俺のとこにきた質問文」

そう言って晴紀は、僕にスマホを見せた。

「先生を殺した犯人はこのクラスメンバーの中にいます。必ず見つけ出してください。 芝崎 誠」と書いてあった。

「余興だと思うけど、、ようは人狼みたいなもんでしょ?」僕はそう言ったが晴紀は首を横に振る。

「だいたい余興にしてはおかしい。まず、芝崎先生は本当に死んでいた。」

「警察官の息子の晴紀がそう言うのだからそうなのかもしれない、でも誰が?」

戸惑う僕をよそに晴紀は続けた。

「それに余興にしては穴がありすぎる。俺らがメールアドレスを変えていたら、メールは届かない可能性があったし、スマホを持ってきてなかったらそもそも余興に参加できないだろ」

「確かにその通りだ、余興にしては杜撰すぎる」と僕も頷いた。

「それ以上におかしいのは俺のとこにきた質問文だ」晴紀はそう言うと、もう一度僕にスマホの質問文を見せた。

「俺のとこにきた質問文は雄吾みたいな余興向きの質問どころか、依頼に近い。それに最後の署名が芝崎 誠ってなってるのに一人称は先生だ。普通、文での一人称は私とか僕とか俺だろ?」

「先生っていう人もいるかもしれないだろ」と僕は少し声を荒げた。

晴紀が余興をなんだか真剣で得体の知れないものに変えようとしていることに苛立っていた。

晴紀はそんな僕の気も知らずに話を続けた。

「それにさ、『必ず見つけ出してください』って書いた本人が言うのもおかしな話だろ?なにより『この』って書いてあるだろ?それはこの場に来ている人が誰かわかってないと書けない言葉だ。」

「でも...」と言いかける僕を遮って

「だいたい先生はいたずらなんかしない、実際、中高6年間で一回もしなかった。それに動画の中で先生は『殺された』って言ってるんだ!冗談一つすら言わなかった先生が!絶対なんかあるぞ、、」

晴紀はそう言ったが最後、考え込んでしまった。


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