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#23 無数の未来

由実が床に崩れ落ちた後、教室は絶対的な静寂に包まれた。


僕の論理と、先生の「終わりがない」というメッセージが、由実の築いた「冷たい永遠」を完全に打ち破ったのだ。


由実は、最早、自分の敗北に打ちひしがれた、ただのクラスメイトだった。


僕は、由実の冷酷な計画によって犠牲になった全ての命を思い浮かべた。


剛、芝崎先生、そして雄吾、迅、晴紀。彼らの死は、由実の情報隠蔽と、愛花梨の誤解という、二つの悲劇的な論理の産物だった。


この校舎で起こったことは、僕たち自身の手で断罪され、解決された。

由実の敗北は、外部の法ではなく、内なる論理と道徳による審判だった。


これが正しいのかはわからない。それでも、僕はこの選択をしたのだ。


僕は、愛花梨の部屋に戻った。

彼女は、静かに涙を流し、芝崎先生のレコーダーを握りしめていた。


「彰...私は、先生の善意を裏切った。私に『Start from scratch』はないよ、いまさら」


僕は首を振った。


「違う。先生は、君が罪を犯しても、いつでもゼロから始められると言ったんだ。君が剛の濡れ衣を晴らしたこと、それが君の最初の再出発の選択だ」


彼女の罪は消えない。

だが、先生のメッセージは、罪を犯した者にさえ、未来への選択が残されていることを教えてくれた。


由実の結末は、より厳しかった。今、残されたのは空虚な自由だけだった。

由実の未来は、愛花梨のように涙を流すことさえできない、冷たい絶望に支配されるだろう。


でも、それは由実の選択の一つだ。見方を変えれば、無数の選択肢が見える。

それを理解した由実なら、きっと、未来をまた向くだろう。


僕たちは、最後の夜を明かし、朝焼けの中、校舎を出た。


同窓会は終了した。


僕がこの一週間で証明したかったこと。

それは、この世界は一つの運命や一つの論理に支配されることはないということだ。


由実が信じたような「冷たい永遠」は存在しない。

あるのは、芝崎先生が教えてくれた、「終わらない」選択だけだ。


「選択が無数にあることを理解しろ。それが、『終わりがない』の証明だ」


僕たちは、この校舎の外に出た瞬間、再び無数の選択肢の前に立たされた。


この事件の記憶と共に生きるという選択。


そして、誰にも裁かれない由実の罪を、僕たちがどのように受け止めるかという選択。


この同窓会は、僕たちにとっての先生からの最後の授業だった。


僕は、ここで得た「終わりがないの証明」という確信を胸に、ゼロからの再出発を選び取る。


何者にでもなれるという自由と、誰かを傷つけないという責任を胸に、僕は朝日が差し込む校門をくぐった。

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