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#1 終わらないと永遠の違い

  連載作品「終わりの始まり」の加筆・修正について

いつも拙作「終わりの始まり」をお読みいただき、誠にありがとうございます。作者の[Noir]です。

この度、以前投稿した一部、文章について、表現の調整や誤字脱字の修正、および若干の加筆を行いました。

物語の大きな流れや結末に変更はございませんが、セリフ回しや小説の展開をより細かに、そして丁寧にすることで、より読みやすくなるよう手直ししております。

すでにお読みいただいた方も、これからの方も、楽しんでいただければ幸いです。

今後とも、応援よろしくお願いいたします。

[Noir]


あれから2年が過ぎ、僕は都内の中堅国立大学、明藍大学の2年生になっていた。

明日から夏休みだが、予定はなにも入っていない。


「おい、彰、おまえ、どうすんの?」

 帰り道、剛がいきなり、声をかけてきた。


少し前を歩く剛と、少し離れて静かに並ぶ晴紀の姿が目に入る。

幼稚園から大学までずっと一緒の二人は、まるで歩き方だけでも性格がわかるようだ。

剛は横柄に見えるが根は優しい。晴紀は無口で冷静、父親が警察官だからか、いざというとき頼りになる空気を漂わせていた。


「同窓会?」と、僕が聞き返すと、剛はニヤリと笑った。


「よっ!」

 明るい声と共に由実(ゆみ)楓夏(ふうか)が駆けてくる。

「あ、髪きったの?いいじゃん~」

笑顔で僕の髪をちらりと見て、軽く手で髪を触った。

由実はいつも朗らかで細かいところに気づく。


「うちも髪きろっかなー、長くなってきたし」

楓夏は僕の目を覗き込みながら、少し腕を組んで考えるように首をかしげた。

華奢な体に似合わず、こういう小さな挑発が楓夏はうまい。


「で、どうすんだよ?桜瞭中高のクラス同窓会」 

 剛が話を戻した。


「うちの中高は編入もないし、担任・クラスが6年間持ち上がりでしょ。それにうちのクラス、たった20人しかいないし。私はみんなに会いたいから、行きたいなぁ」と由実が懐かしそうに言った。

「俺は行くぜ、みんな行くみたいだしな!」

 剛が言った。

「剛の言う『みんな』というのが何人かわからないが、剛は意外に顔が広いから案外『みんな』なのかもしれない。」などと思っていると、


楓夏が「剛と由実が行くときは彰も晴紀も行くんでしょ。だからうちも行くよ~」

「そうなのか?俺は行くことになっているのか。」

なにも言ってないのに答えを決めつける楓夏を見て少し不思議な感じがして、僕はくすっと笑った。


「じゃあ、明日、桜瞭中高の2Aの教室に8時集合な!2週間、学校に泊まるから、忘れ物すんなよ!もちろん寝坊もな!」 

 カラッと笑って剛は左の路地に入っていった。


「ピピー....ピピー....ピピー....」

目覚ましの音で目が覚める。

一人暮らしの俺には目覚ましは必須だ。

顔を洗って着替えて昨日の夜の余りをチンして食べる。

「うん、まずい」と呟きながらも「ごちそうさまでした」と箸を置く。

歯を磨きながら、リビングの時計を見る。

7:30。慌ててスマホやら財布やら着替えやら泊まりグッズ一式をリュックに詰め込んで、家を出る。


そのまま自転車を飛ばして、桜瞭中学・高等学校敷地とかかれた看板を横目に正門に到着する。

腕時計は7:50。自転車置き場に自転車を置いて、構内地図を頼りに2Aの教室に向かう。

校舎はまったくと言っていいほど、変わってなくて、なんだか拍子抜けする。

僕らの卒業とともに廃校になった校舎とはとても思えなかった。

シンボルのあの枝垂桜は、気持ち良さそうに風に揺られながら、今も、凛と立っていた。


「ガラガラ〜」 2Aのドアを開けると既にほとんど集まっていた。

由実が僕を見て「こっちこっち」と手招きする。

「ギリギリじゃん~」と楓夏が煽ってくるのを軽く無視して

「剛は?」と聞く。

「司会やるって言って、さっきから隣の教室で台本覚えてる」 

 晴紀が少し笑いながら言った。


晴紀がそう言い終わらないうちに、鋭く響く叫び声が突き刺さった。「ギャーッ!」

呼吸が一瞬止まる。


「隣の教室だ!」

晴紀の声が震えを帯びて聞こえた。晴紀が一目散にドアへ駆け出す。

僕も咄嗟に足を動かす。


廊下の床が冷たかった。汗で滑る掌に息を詰めながら、2Bの教室に向かう。


ドアを開けると、教室内は静まり返っていた。剛の肩が微かに震えているのが目に入る。

「どうした…?」

剛は僕の名前をかすかに呼ぶだけで、言葉が途切れた。


目を向けると、視界の中心に芝崎先生が倒れていた。

胸に突き刺さったナイフが、コートの左胸部分をほんのり赤く染めている。空気が凍ったように冷たく感じる。


「もう…死んでるね」

晴紀が先生の首筋に手を当て、淡々と告げた声が、逆に異様な重さを帯びて響く。


横たわる先生の前には、一枚の紙が置かれていた。

タイピングされた文字が陽の光にうっすらと浮かび上がる――


「終わらないと永遠の違いについて」

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