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エンドNO.4 自主練をしよう

先生に教わり始めた翌日から、体調も回復したということにして実際に本格的な剣術の練習が始まった。

子供ということでまずは体から整えていかないといけないんだけど、


「あまりこの時期から筋肉をつけさせ過ぎるのも良くないしな。バランスが難しい…………人に教えるというのもなかなか奥が深い」


ということで、先生は練習メニューにかなり悩んでいる様子。

僕も前世で聞いたことがあるけど、子供のうちからあまりにも筋肉をつけていると身長にも影響が出るらしいんだよね。高身長のためにも、僕は筋肉なんて付けない!(つけないとは言ってない)

ただ、それでもやりすぎは良くないにしても基本的な訓練はやるということが確定しているみたいで、少し長めの走り込みや瞬発力を鍛える練習、あとは素振りなんかは毎日やってるね。


「えいっ!えいっ!え~いっ!」


「枝を振った時に体がぶれているな。も少し脇を閉めて、肩の力を抜くようにしながら振るんだ」


「はい!」


強いタイプでこういうポンコツな人って感覚派なイメージがあったけど、初日からずっと先生は論理的な指導が多い。とってもありがたいね。きっとこれが感覚派の人だったら、「こうだよ、こう!」とか言われて何も分からなかったと思う。数日で心が折れていたかもしれないね。

もしかすると剣聖とかいうのもそういうタイプの人だったりするのかな?それを考えれば、先生に教わることになったのは逆に良かったのでは?主に、僕の心が折れないという意味で。


そうしてしばらく基本的なトレーニングをすると、結局は先生もいい練習メニューを見つけられず、


「どこからでも好きにかかってこい」


「はい!いきます!!」


模擬戦という名のお遊びをすることになる。

さすがに僕が弱すぎて先生が攻撃すると即座に敗北するから、もう模擬戦とは言えない代物なんだよね。とりあえず防御も攻撃もせず回避に徹する先生に一撃入れないとまともに剣を交えることもできないよ。

ただ、まず体格差の関係上向こうが一歩引くのに対してこっちは二歩近づかないといけないから、その辺りの対策も考えなきゃいけないとは思う。成長すれば問題はだんだんと解決していくだろうけど、そんなの待ってられないよね。

こちとら主人公なんだから、これくらいの壁簡単に超えて見せないと!


「ふべっ!?」


「ふむ。考えて動くのは良いが、思考に動きがついてこないようで鼻」


でも、まだちょっとその時ではないっぽいね!今回はこの辺にしておいてやるぜ!

先生が言うように、まだ頭が求める動きに体がついていけてないという感覚はある。そこもどうにかできないか考えないとね。もしかすると、前世の体の感覚が微妙に残ってて激しく動くとその認識のギャップが大きく出てしまうって可能性は考えられるかな?もっとしっかり、頭に自分の体を教え込まないと駄目かも。


そんな風に反省点を見つけつつ、練習を頑張る僕。

でも、残念ながらそこまでそれに長い時間も取れない。

先生が冒険者として働くっていうことも理由としてはあるし、それと同時に僕の体的にも長時間することは不都合が多いという理由もある。

そうなると当然暇になるわけで、


「ここで一旦、ステップアップのためにできることを探さないといけないかな」


アエリュちゃんと遊んだり家の手伝いをしたりしても、さすがに時間は余る。

ということで、その時間を遊ぶことではなく自分を高めるために使えないかって思ったわけだよ。

パッと思いつくことで言えば自主練だけど、そこは体の事とか考えるとあまり長時間やるのも良くないし、


「お父さん。お母さん。冒険者ギルドに行ってきていい?」


「冒険者ギルド?」

「あそこに行きたいの?」


まず考えた案として、戦いを見学するというものが出てきた。冒険者が喧嘩しているなんて言う話をよく聞くから、見学できればかなり僕のステップアップにつながると思うんだよね。喧嘩とはいえ実戦なんだから、学べることは多いでしょ。

とはいえ、許可が下りるとは思ってない。

今までの両親の会話を聞く限り冒険者をそこまで嫌ってないとはいえ、喧嘩が頻発してるんだから危ないところっていう認識になってると思うんだよね。そんなところに子供を1人で行かせるわけないでしょ。


だから、これは交渉のための道具。

最初にあえて難しいお願いをして断らせることで、次のお願いを通しやすくするっていう技だよ!

前世の研修か何かで習った心理学を活用した技だから、きっとこっちでも通用するはずで、


「行ってみたいなら行ってみてもいいんじゃないか?併設されてる酒場ならミルクとかも出してくれるだろうし、そこで時間も潰せるだろう」

「あんまり冒険者のお兄さんやお姉さんに迷惑かけちゃだめよ~?」


「は~い」


…………あれ?あっさり許可が下りたんだけど?僕、冒険者ギルドとか行って良いわけ?危なくない?

許可が下りると思ってなかったから、全然覚悟もできてないんだけど。ちょっと怖くなってきちゃったけど、今更引けないし、実際行けたら勉強になることも間違いないし…………覚悟決めるしかないかなぁ。


ということで、やってきました冒険者ギルド。

普段このエリア自体に近づかないから、来るまででも結構新鮮だった。こんな村の割に夜のお店も何軒かあって、ここって本当に村だったのだろうかと疑問に思ったりもしたよ。

冒険者ギルドの建物は大きめで、だけど村の雰囲気に合う地味な物。壁とかに補修された跡が多く残ってて、喧嘩とかでこういうところが壊れたんだろうなって言う予想がつく見た目だよ。

近くにいるだけもう似つかわしくない子供が歩いているということで 好奇の視線を向けられて、内気な僕はビビっちゃうなぁ(棒)。


「お邪魔しま~す」


小声でそんな言葉を口にしつつ中に入ってみると、


「わぁお…………意外と普通」


そこに広がるのは、思っていたより綺麗な場所。

確かに冒険者らしい人が大量にいるし態度が悪そうな人だっているし奥の方に併設されている酒場では騒いでいる人も大勢いるんだけど、ギルドの根幹となる部分だろうそこはあまりにも普通だった。

僕の冒険者ギルドのイメージは誰かが喧嘩してて誰かが新人に絡んでて常に依頼の張ってある掲示板で争いが起きているようなものなんだけど、そんなものは一切ない。皆静かというわけではないけど、そこまで大声で騒ぐこともなく列を作って受付の前に並んだり依頼を吟味したりしている。

雰囲気としては、役所の窓口みたいなものに近いかもしれない。


「これは予想外…………って、こんなところで立ち止まっててもダメだよね」


僕がそのイメージとのギャップに驚いていたわけだけど、さすがにいつまでも入り口近くで突っ立ってるのはマズい。両親に言われた通り、酒場の方へと移動することにした。

その最中、「なんでこんなところにこんなガキがいるんだよ」とか「ギルドはいつから子供の遊び場になったんだ?」みたいなことを言われて怖いおじさん達に絡まれるかと思ってたんだけどそんなこともなく、何事もなく移動も完了。


「…………普通に来れちゃった」

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