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エンドNO.31 味方じゃないの!?

アエリュちゃんを呼びに行ってもらっている間、僕はカーミエちゃんからエタノちゃんへ紹介をされることになる。カーミエちゃんもあまり事情を理解していないみたいで、僕とエタノちゃんにつながりがあることは知らない様子だね。

とは言っても、エタノちゃんもあまり僕に関して詳しくはないけど。


「彼はエサカ君。フェスキ先生の1番弟子だよ。ちなみにボクより強いよ」


「…え?」


「最近は何とか食らいつけてはいるんだけど、それでも一度も勝ったことがないんだよね。彼はなかなかの強敵だよ」


「……え?」


「他の子と一緒にエサカ君と戦うこともあるんだけど、それでもなかなか勝てることはなくてね。間違いなく1番弟子としての実力を持っているよ。彼に勝つこともボクの目標の1つさ」


「…………え?」


説明を1つ1つ追加されるごとに、エタノちゃんの表情はどんどん困惑した物へと変わっていく。カーミエちゃんの話をすんなり受け止めることができないという様子で、僕に本当なのかと問いかけるような視線が向けられているね。


もちろん、そんなカーミエちゃんの言葉が本当なわけがない。

確かに1対1の戦いでは今のところ負けたことはないけど、


「1対3の時の勝率は4割くらいじゃん。全然、なかなか勝てないなんて言うことはないと思うけど?本当に、いい加減2対2にしてくれない?」


「ハハハッ。そんなことをしたらエサカ君のいるペアが確実に勝つじゃないか。1番連携を取りやすいのもエサカ君なんだから」


僕が反論ついでに不満を言うと、カーミエちゃんには笑って流される。僕としてもみんなと連携して動くことがそれなりに得意ではあると思うけど、それは1番みんなを観察しているからだと思うんだよね。もうちょっとみんなが理解を深めあったら、そこまで連携力に差は生まれないと思うんだけどな~。


なんて思いつつ僕とカーミエちゃんがわちゃわちゃやっていると、困惑したままではあるけどやっと思考を再開させたエタノちゃんが口を開いて、


「いや、4割でも十分ではありませんこと!?あなた、本当にそんな勝率を出せているんですの!?カーミエ嬢と同じくらいとまではいわずとも、それより少し弱いくらいの人間を2人追加しても勝率4割で抑えられまして!?」


「いや、ボクより弱いと言ことはないよ。他の2人の内、1人は少なくとも僕より強いからね。多分、僕と同レベルの人間が3人だったら彼の勝率は6割くらいになるんじゃないかと思うよ」


「何ですのそれ!?下手な騎士よりもよほど強いですわよ!?」


エタノちゃんお声が響く。なかなかリアクションが大きいね。やっぱり、悪役令嬢にはリアクションの大きさも必要なのかな?悪役になることも簡単じゃないね。


ただ、エタノちゃんの言葉は驚きとリアクションによるものだけでは終わらない。

僕についても気になることがたくさんある様子で、


「だいたい、あなたがカーミエ嬢よりも強いってどういうことですの!?あなた、カーミエ嬢に勝ちたいって言ってましたわよね!?それに、カーミエ嬢が強いとも」


「ええ。言いましたね。実際そう思ってもいますよ。最近はカーミエ様の実力もかなりついてきて、勝つことが難しい時もありますから。追い抜かれないように、しっかりとカーミエ嬢にも勝てる力をつけておきたいのです」


「…………さ、詐欺ですわぁ」


僕の説明を聞いたエタノちゃんは、ものすごく複雑な表情をしている。なんだか、僕を見つめる視線の中に胡散臭いようなものを見る要素が含まれているような気もするね。

なんでだろう?嘘は一度も言っていないはずなのに。貴族に嘘をついたら後が怖いから、できるだけ変なことは言わないように気をつけtなんだけどなぁ~。

なんて僕は思っていたんだけど、エタノちゃんは僕の説明は詐欺みたいなものだという判断を何故かして、


「確かにあなたはライバルにしてやってもいいかもしれませんわね。というか、敵ですわ。絶対ぶっ倒して見せますから覚悟してくださいまし」


「えぇ~?私ではなくカーミエ様にしましょうよ。私たちは確かにライバルとは言いましたけど、協力者じゃないですか」


「ふんっ!うるさいですわ。とりあえずそれは、あなたを倒してから再検討ですわ!」


「えぇ~。せっかく見方が増えると思ったのに~。寂しいこと言わないでくださいよ」


僕は敵認定されてしまったよ。最近は僕を倒そうという人間が集まりすぎてたからやっと味方を作れたと思ったのに、まさかここで手を切られてしまうとは思わなかった。エタノちゃんカーミエちゃんを一時的に抑え込んでくれるだけでもかなり戦いやすくなるんだけどな~。


「クククッ。味方を作ることもまた修行だぞ、エサカ」


「分かってますよ~。でも、せっかく作ったはずの味方に裏切られてしまったんですが?」


「裏切った…………というか、最初から仲間ではなかったのはあなたでしょう!私の気持ちを弄ぶなんて許せませんわ」


頑張って説得しようとしたけど、エタノちゃんはかたくなに仲間になろうとはしてくれない。せっかくここまでアドバイスとかしてカーミエちゃんに食らいつけるようにしたっていうのに、ひどい話だよね。でも、エアのちゃんは悪役令嬢なわけだし主人公である僕と敵対してしまうのは仕方のない事なのかな?


ただ、僕の事を倒す相手リストに入れるのは良いんだけど、


「なら、ボクと共にエサカを倒しに行こうか。ボクたちも今の戦いで疲れているし、いいハンデだろう」


「っ!?カーミエ嬢と私が!?よ、よろしいんですの!?」


「構わないとも、それに、ボクの事は呼び捨てで構わないよ。共に肩を並べてエサカ君を倒す仲間なんだから、遠慮はいらないさ」


「そ、そういうことなら、私も呼び捨てで構いませんわ!よろしくお願いしますわね。…カ、カーミエ」


2人で手を組んで僕の事を倒そうとしてくるのはちょっと違うんじゃないかな?エタノちゃん、カーミエちゃんのことを倒そうと考えていたはずなのにどうして手を組んじゃったの?それはさすがにおかしくない


なんで僕の周りの子は、皆手を組んで僕の事を倒そう尾するんだろうね?修行にはなるけど、僕だってさすがに寂しいんだよ?

とはいえ、この2人が相手なら初めて一緒に戦うわけで連携は上手くいくわけもないし、


「えっ!?き、消えましたわ!?」


「エタノ!後ろだ!」


まずは僕の技術を良く知らないエタノちゃんを仕留めようと初見殺しに近い気配を消す技を使ってみたんだけど、それにはカーミエちゃんが対応してきた。即座に後ろを向いてエタノちゃんの背後に回り込み、僕の剣を防ごうとする。

ここでエタノちゃんをつぶせたらカーミエちゃんとの1対1にできるからだいぶ楽になったんだけどな~。そんなに甘くはないかぁ。


ただ、こうして防ぎに来たカーミエちゃんはかなり無理をしている。まだまだ先の戦いで激しい動きをしたことによる疲労が残っているようだから、


「ほらほら。先生に教わった通り、もっとちゃんと足運びは意識しないと」


「くっ!嫌な攻め方をしてくるね!さすがはエサカ君と言ったところかな」


「何それ。全然褒められている感じはしないんだけど?」


連撃を叩き込むことで、さらにその疲労を加速させるとともに動きを鈍くさせていく。このまま倒せるならばそれでいいし、無理だとしても足を重くすることくらいはできると思うんだよね。そうすれば、2人を引き離した状態で1対1の状況を長い時間作り出せるかもしれない。


ただ、それができるほどの疲労をさせる前にもう1人も動いてきて、


「はぁ!」


「おっと、危ない」


「くっ!避け方がいやらしい……カーミエ。まだやれまして?」


「もちろんだとも。このくらいでへばるボクではないよ」


僕のもう以降はいったんストップさせられる。

ただこうなったらこうなったで構わなくて、少し位置を調整しつつ今度は猛攻をエタノちゃんにかけさせてもらう。

カーミエちゃんを相手した時はそれなりに戦えていたけど、逆に考えるとある程度情報を持っている相手でなければそこまで強くは出られないということ。


「きゃっ!?」


「隙あり、ですよ」


エタノちゃんは僕の動きを読むことはできずカーミエちゃんのカバーが届く前にその体勢を崩して、


「もらったぁ!」


「っ!?アエリュ!?」


最後のとどめを刺すギリギリのところで乱入者が現れ、僕は慌ててその手を止めて回避に移ることとなる。口に出してしまったけどその相手はアエリュちゃん。

どうやら起きていたみたいで、練習に参加することにしたみたいだね。そして丁度来たところで僕たちが戦っていたから飛び入り参加してみたってところかな?

何という間の悪さ。もう少しでエタノちゃんを削れて、カーミエちゃんだけの状況にできたはずだったというのに。

1対1にするどころか1対3になるなんて予想外だよ。


「パパ~!覚悟しろ~!」


「そうだね~。結構覚悟しないとまずそうかも」

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