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エンドNO.2 住人を増やせ

剣士っぽいお姉さんを案内する中、聞いていると面白い話がいろいろと出てくる。

今まで戦ってきたモンスターや強かった人、そして倒したモンスターの調理法やその中でもおいしかったものまで。こういう話は新鮮だし、やっぱり異世界に転生したんだなって実感できるね。


「へぇ。なら、隠居生活ってことですか?」


「隠居とまではいわないが、一旦落ち着いた場所見つめ直したいと言ったところだな。王都は色々と煩わしいことも多いし、あまり近くで問題も起きないようなところで過ごしたいと思っている」


「ほへ~。王都って楽しいだけじゃないんですね」


この剣士さん、若いくせにもう隠居っぽいことをしようとしているみたい。これが所謂(いわゆる)Fireってやつなのかな?口ぶりから判断するとそれなりに王都、つまりこの国の首都で活躍もしてたっぽいから稼いではいそうなんだよね。

正直言って、見た目だけだと全然そんな風には見えないけど。


「長期の生活をするのに、荷物はそんなに少なくていいんですか?」


「ん?あまり重い物を運ぶのも面倒だからな。必要な物は現地調達すればいいかと思って」


「えぇ?でも、あんまり田舎だと現地での購入とか難しいと思いますよ」


「あっ…………言われてみると確かに」


しかもこの剣士さん、ちょっとポンコツみたい。

お金があるからと余裕ぶっこいてて、田舎だとお金を持っていたところでほしい物を買えないという事実に思い至らなったみたいだね。

もしかしたらこの人、面白い人かもしれない。


そういうことなら、ちょっと誘ってみようかな。


「もしよかったら、この村に住んでみませんか?実は近所の家が空いてるんですよね」


「おや?そうなのか」


「もちろん、しばらく過ごしてみて肌に合うのか確かめてからでいいと思いますけど。この村なら田舎ではありますけど、それなりに行商人も来ますし、色々と買ってそろえるには便利な場所だと思いますよ?」


「ふむ。なるほど。良い考えかもしれない。考えておこう」


考えておく、なんて前世の感覚からすると断りの文句にも思えてしまうけど、表情などの反応から考えるにそこまで悪い感触ではない。

ここに住むなんて考えてくれる可能異性も十分ある。期待してもいいかもしれない。

もうちょっとアピールポイントを探してみるのも良いかもね。面白い人なんて、何人増えたっていいんだから。


この村がゲームで来る3番目くらいの村で良かった~。

始まりの村みたいな寂れたところだったら、きっと条件に合わなくて住もうとは思わなったはずだよ。もしかしたら、始まりの村の場合買い物ができないから誰かの家に泊めてもらって過ごすなんていうことにした可能性もなくないのかもしれないけど。


「…………さて、とりあえずここが宿屋ですよ」


「ああ。ありがとう。わざわざ送って貰って助かった。あそこからだと1人ではたどり着くのにも相当時間がかかっただろう」


宿屋までの案内終了。

ただ、ここまでで終わるような僕ではなく、


「良ければ、村の案内とかもしましょうか?住むことを考えるなら色々と見たいでしょうし」


「そこまでしてもらうのは悪い気がするが…………いいのか?」


「良いですよ~」


村の案内までこぎつけた。これでうまくやれば、この剣士さんは村に住み着いてくれるはず!

ということで、剣士さんが宿屋で受付をして部屋に荷物などを置いた後、僕たちはまた一緒に並んで歩いて、


「お仕事から考えて、冒険者ギルドの位置は知っておきたいですよね。ちょっと中心地からは外れてしまうんですけど、あの辺に冒険者用の一角があって冒険者ギルドがあるんです」


「ほう。この規模の村に冒険者ギルドがあるのか。意外と悪くない条件なのか?」


案内をしている時に1番反応が良かったのが、冒険者ギルドが村の中にあるということ。やっぱり剣士さんは冒険者ってことなのかな?

お仕事を受けられる場所が村の中にあるのは良い条件だよね。

僕ももしかすると、将来はここの冒険者ギルドを使ってお仕事したりとか…………。


もちろんそこ以外にも色々と紹介したけど、反応は薄いものからそこそのものでバラバラ。

行商人の集まっているところや農地などには興味がありそうだったけど、逆に冒険者が好みそうな酒場とかは反応が薄かったかな。

冒険者って皆一様にお酒が好きなイメージだったけど、もしかするとそんなこともないのかもしれない。

なんてことも考えつつ案内を終わらせると、


「ふむ。良いな。ここに住むか」


「へ?」


宿に戻った剣士さんはもうすでに移住を決めていた。

そこからはかなりとんとん拍子に事が進んで、まず土地の管理者である村長のところに案内して、次に物件を見せて、条件などの話をしてから購入。

購入の際それなりに色を付けて払ってたから村長の方もかなり条件面など良くしたみたいだけど、それは兎も角として、


「ご近所さんですね~」

「うむ。そうだな」


剣士さんがお隣に引っ越してきた。

お金を大量に払った影響で村長が村の人たちをかなり頑張って集めて、家の掃除やらリフォームやら増築やらは1日で終わったよ。さすがはファンタジー世界だったね。

これにはちょっと剣士さんも動揺してて面白かったかな。頑張って満足そうにうなずいているように見せようとしてたけど明らかに目が泳いでたし頬もプルプルしてて困惑してそうだった。


そうしていた剣士さんこと、フェスキ・リスエツエさんはお隣さんになったわけだけど、田舎の村なので近所付き合いを僕たちも頑張らせてもらってる。

まだまだこの村での生活に慣れてないみたいだから迷惑がられてはいないみたいで、


「フェスキちゃん、洗濯物はちゃんと伸ばしてから干さないとしわになるわよ~」


「む。そうだったのか」


特にお母さんには家事を色々と教わっているみたい。

冒険者らしく今までは宿屋暮らしが基本だったみたいで、宿の人にそういうことは全部担当してもらってたみたいだね。

そうしていろいろと教わっているからか、お返しのようなつもりなのかは分からないけど僕のことを割とかまってくれて、


「何かやりたいことはあるか?遊び相手となろう」


「本当?…………あっ、じゃあ、剣を教えてくれませんか!」


「剣を?」


丁度良い機会だから剣を教えてくれないか頼んでみた。

商売道具だからそう簡単いは推し終えてくれないかもしれないけど、子供相手だからきっと許してはくれると思うんだよね。頼むなら今の内だし、頼むだけならタダなんだよ。


なんて思ってたら、


「ふむ。剣をか。それも面白いかもしれないな。簡単なことで良ければ教えよう」


「本当ですか?わ~い!やったぜ!!」


あっさり承諾。

どうやらフェスキさんにも剣を教えるということに考える部分があったみたい。タイミングが奇跡的にかみ合ったのかもね。


なんて、喜んでいた時だった。

当然頭に、


《イベント『剣聖の一番弟子』及びエンディング『師弟決戦』が消滅しました》


こんな声が聞こえてきた。

一度しか掛けられなかった言葉。しかし、それは何故かしっかりと頭に残っている。

僕はそれを聞いて、ただ呆然とするしかなかった。


「どうしたんだ?」

「大丈夫?」

「何かしてしまったか?」


フェスキさんだけでなく、両親からも心配そうな心配そうな声がかけられる。しかし、僕はそれにこたえることができない。

聞こえて来た声による動揺があまりにも大きすぎたから。

それによる僕の認識の変化が、あまりにも大きすぎたから。



だって、エンディングやイベントが用意されているってことは、ここはゲームの世界。


そして、僕は主人公ってことでしょ!?

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