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エンドNO.1 未亡人を狙え

文字を覚え始めて近所の子に遊ばれ、ついでに頑張って魔力を感じようとしたけど失敗したまま時は流れた。

そして僕は3歳くらい。

このくらいになるともう問題なくしゃべれるようになっていて、


「エサカ。あんまり騒いで迷惑かけないようにな」

「お手伝いとかもやるのよ~」


「は~い!分かってるよ!」


全力で3歳やらせてもらってます。

正直に言うと3歳よりもだいぶ精神年齢は高い感じになってしまっていると思うんだけど、どうにかごまかせてはいるかな?あんまり不気味にならないように、子供っぽくなるようにはしてるから(全然元から子供っぽいわけではないんだからね)


そして今、僕は両親から別の家に預けられることに。

当然その家というのが、


「こんにちは。アエリュ、タスミさん!」


ご近所さんのところ。

1歳の時からよく遊んでいた(遊ばれていた)アエリュちゃんのところだね。遊ぶことも多くてついでに周囲からもこれが普通みたいな雰囲気を感じるので口にするときには呼び捨てにしているけど、アエリュちゃんのことはいまだに心の中だとちゃん付けで呼んでるね。

あんまり子供と言えど女の子のことを呼び捨てで呼ぶのになれなくて…………名字で呼ぶなら別なんだけどなぁ。


「いらっしゃいエサカ君」

「パパ~!」


耳を疑った人もいるかもしれない。いや、目の方かな?

ただ、決してその疑っただろう言葉は幻聴でも幻覚でもないよ。本当に僕に対して向けられた言葉なんだ。


「やっほ~。アエリュ、パパだぞ~」


「キャ~!パパ~!!」


いつの間にか、アエリュちゃんの僕に対する呼び方は「パパ」になっていた。

とは言っても、これは意図したものではあるんだけどね。思ったよりすんなり定着したという意味では予想外かな。


目的は当然そう、アエリュちゃんのパパになるため!

つまり、


「ふふっ。アエリュはエサカ君の事が好きだね~」


「それは何といったって、パパだからね。でもアエリュはタスミさん、いや、ママの事も大好きだよ。ね?アエリュ?」

「うん!ママ大好き~」


「ふふっ。そっか。ママもアエリュの事大好きだよ~」


タスミさんの旦那になるためである!!


いや、待ってほしい。叩かないでくれ。僕だって、確かに幼馴染放っておいてその母親と結婚しようとするのはどうなんだという気持ちはあるよ?

でもねぇ。さすがに僕だって3歳の子に恋愛感情は抱けないんだよ!さすがに中身が大人である以上、好きになる相手も大人になってしまうというわけさ!もちろん将来的なことを考えればアエリュちゃんに恋する可能性だってあるんだけどね?


こうしてパパ枠に収まっておくと、アエリュちゃんは僕以外をあまりパパとは認めなくなる。そうなれば、タスミさんは再婚なんてできない。娘に嫌がられたらさすがに厳しいだろうからね。

赤子の頃聞いていた愚痴の中には村の男と再婚はあまりしたくないみたいな話もあったしおそらく大丈夫ではあると思うんだけど、外から来たチャラ男に盗られると脳を破壊されそうだから油断はしないよ(もちろん成長した後に僕がタスミさんに好かれるかどうかも分からないけど)。


「よぉし!じゃあ、一緒にお掃除しようか!」


「うん!」

「2人とも、いつもありがとね」


もちろん、割と最悪なことをしている自覚はある。僕がそういう関係になるまで最低でもあと10年はかかるだろうし、つまりそれはタスミさんの再婚を10年できなくしてしまうことにほかならない。

娘がある程度嫌がっても結婚したいという人がいたとしたら話は別だろうけど、今のところ様子を見る限りそれはなさそう。

となると、僕のせいでタスミさんは10年間結婚できずに様々なことで苦労する可能性があるってことだよ。もちろん結婚しないというのが個人の選択によるものならば何も問題はないんだけど、心の中ではやりたいと思ってるけど娘が反対するからという理由でやらないならばとてつもない迷惑。


ということで、それの償いをするためにもできるだけ掃除や洗濯物たたみなど、家事の手伝いとかを僕の体でできる範囲でするようにはしてるよ。

僕がやるとアエリュちゃんも一緒にやるから、効率は悪くない。アエリュちゃんが飽きないように遊んだりしながらにはなるけど、それでもかなり貢献はできてるはずだよ。妻が家事をしている間にスマホ見ながらダラダラしている夫よりは断然貢献できているはず!(なおそういう人の中には手伝おうとしても引っ込んどけと言われるタイプの人もいる)

そしてここで家事もできて貢献できるってことを示しておけば、タスミさんに将来家事も一緒にやってくれる悪くない夫の姿という物を見せることができるとも思うんだよね!(結局はこれ


「ふぅ。ピカピカだねぇ」

「うん!ピカピカ~」


基本的に、3歳になった僕はこんな感じの事をしている。

タスミさんの好感度稼ぎを狙いつつアエリュちゃんと一緒に遊び、外で走り回っているからかなり体力もある。いい具合に全力で3歳をさせてもらってるよ!


そうしているとだんだんと村の中の様子も分かり、ついでに知り合いなんかも増えてくる。

アエリュちゃんが僕を呼ぶときに不思議そうな顔をする人はまだいるけど、大人は皆アエリュちゃんの家庭環境を知っているから心配そうな顔をするだけで変には思われていない感じかな?

子供は不思議そうな顔をするけど、親がそういうこともあるっていうちょっとごまかした言い方をして納得させてたね。おかげで、たまにパパとかママとかを同い年の子の呼び方にして大人たちは困った顔をしていたけど。


「パパ~。遊ぼう!」


「良いよ。何しようか?」


こんな風に僕のスローライフな毎日はゆっくりと過ぎていく。全力は出しているけどどこかのんびりできているようにも感じられて、悪くない生活。

それが1年、2年と過ぎていくところで、


「すまない少年。この村に宿屋はあるかな?」


「ぬわっ!?」


それは5歳になった僕のいつも通りのある日の事。

しかし、それは いつも通りが少し変化する日。

僕が鼻歌なんかをちょっぴり歌っちゃいながら体づくりのためにストレッチとか瞬発力を高めるような運動をしていたところ、背後から突然聞いたことのない声が駆けられた。

これでも運動しながらもそれなりに周囲に気を配る練習もしていたから村の人が来たときには大抵気づけるんだけど、今回はそれができていない。それはつまり、話かけてきた人は意図してのものかは分からないけど多少の隠密能力を持っているということにある。


もしかしたら冒険者でシーフとかやっているタイプの人なのかもしれないと思って振り返ってみると、


「あれ?剣士?」


「ああ。驚かせてしまったか。すまないな少年」


そこに居たのは、まさしく剣士と言った風貌の女の人。まったくこそこそするタイプの人には見えない人がそこには立っていた。しかも美人!

その人は僕の疑問には特に答えず、気づかせずに近づいて驚かせってしまったことを謝罪してくる。


「いやいや。別に大丈夫ですけど…………宿屋でしたっけ?それなら口で説明するのは少し難しい位置にありますし案内しますね」


「良いのか?わざわざ悪いな」


「いえ~」


5歳になったことで少しまだ早い気もするけど、僕は敬語を解禁してみた。もちろんそこまで難しいしい尊敬語とか謙譲語とかは使わないようにしているけど、これだけでも十分楽になる。

さすがに初対面の人とかにため口で話すのは中身が大人な僕としては難しいものがあったからね!


僕はこうしてその剣士さんを案内しながら歩いて行く。

こういうゴリゴリの戦闘職って感じの人は初めて会うから色々お話来たいね。冒険者も将来の選択肢の1つだから、参考にしたいな~。

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