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エンドNO.11 偏ったパーティ

ダキエちゃんが加わったことによって連携は難しくなったけど、僕としては得るものが非常に多い。

特に、僕たちが習っている剣術以外の戦い方を実際に使っているところを見るなんて言うのは初めての事だからね。

普段の冒険者の人達から盗んでる技術も、実戦で見ているわけではないし。

結局僕が見ているところでは一度も喧嘩とか起きてないからね。


もちろん、その戦い方のほとんどは牛の獣人の特徴に合ったものみたいだから僕が使うことができる技。僕が使って効果的な技術というのはそこまで多くない。

それでも、多くないだけで確実に参考にできる要素はあるんだよ。特にダキエちゃんの戦い方は僕たちとはかなり違って、


「やっぱり、慣れてくると盾役がいることのありがたみを感じられるよね」

「そうだね!ダキエ凄い!」


「え、えへへ。そうピョン?」


褒められて少し恥ずかしそうで、そしてかなり嬉しそうな表情をするダキエちゃんが持っているのは、盾。それも、大盾って手呼ばれるタイプの盾だね。

僕たちが枝を持っているのが恥ずかしいくらいしっかりした練習用の木製の盾で、ダキエちゃんの方から腰くらいまであるかなり大型な物。重そうだけどそれをガッチリとつかんで構えて、先生に圧をかけていくって戦い方をしている。

もちろん、まだまだ始めたばかりだから先生にはいいようにしてやられてるけどね。それでも、それだけ大きな盾を特に筋トレなどせずに持ち続けられるんだから、牛の獣人にとってこの戦い方は最適なのかもしれないね。


こうして盾役が出てきてくれたことで。僕たちの連携も進化してかなり進歩した気がする。

…………となればよかったんだけど、


「うぅん。先生が攻撃してこないから盾を十分に生かしきれてない気がするよね」


「私もそう思うピョン。頑張って盾で視界をふさいだり盾で叩いたりもしようとしてるけど、そっちに気を取られると2人とぶつかりそうになったりこけちゃったりするピョン」


盾が活躍するのは、やっぱり敵が攻撃してくるときだと思うんだよね。もっと使い方が上手くなれば変わってくるのかもしれないけど、今のところダキエちゃんの盾というのは先生に対しては上手く効果を発揮できていないような気がする。

先生に攻撃を当てられるようになって向こうも手を出してくるようになればまた変わってくるんだろうけどねぇ。


なんて思っていたところ、


「やはり、牛の獣人だと模擬戦では力を発揮できんか」


「ん?模擬戦だとだめなんですか?」


先生が変なことを言い始めた。

詳しく話をきいてみたところ、どうやら先生はダキエちゃんと同じ村に出身ではないものの同じ牛の獣人の人が王都で冒険者をしているところを見かけたことがあるらしく、


「あれは、実戦で初めて真価を発揮するタイプの力だ。私も実戦では戦いたくはないと思ったほどに実戦でのあいつは強かったぞ」


「そうなんですか?どういう違いが?」


「うん。まあ、その、なんだ…………少し勢いが出るといったところか」


「?」


思い出している時にはなんだか懐かしくて笑顔が浮かんでいたのに、詳しく聞いたとたん急に歯切れが悪くなった。何かあるんだろうけど、謎だね。

そこでもう少し話を聞いたら何かわかるかなと思ったんだけど、さきに先生に話題を変えられてしまって、


「しかし、3人での連携もかなりマシになってきたな。将来はパーティでも組むのか?」


「みんなで冒険者やるのも楽しそうですね~…………あっ、その頃には僕たちがもっと強くなって先生も仲間に入れてあげますね」


「ふふふっ。なかなか生意気を言うようになったじゃないか。楽しみにしているとしよう」


僕とアエリュちゃんとダキエちゃんの3人でパーティを組むという話に。

そこに先生も入れるみたいん魔話をしているわけだけど、よくよく考えなくてもものすごくバランス悪いね。前衛3人なわけだし。

ダキエちゃんは兎も角幼馴染のアエリュちゃんは高確率でゲーム本編開始から仲間になってると思うし、将来的なことを考えると今仲良くなって将来のパーティメンバー候補にするのは後衛職ができる子が良いんじゃないかな?もちろんもうここまで連携できるようになたつぃ必要な役割でもあるからダキエちゃんをパーティメンバーにしないなんてことはないけどね。


ただやっぱり、現状のままだと遠距離への攻撃手段がない。

ということで、先生にそこを相談してみるんだけど、


「む?それならば、斬撃を飛ばせるようになればいい。私のようにな。ちゃんとそういう技も教えるぞ」


「ソウデスカ。ソレナラ安心ダナー」


いや、なにも安心できないよ?

斬撃が飛ぶとか、もうそれは相当極めないとできないヤツじゃん。一体何年後、というか、何十年後の話をしているんだろうね?とてもではないけど、冒険者になる前にそれができるようになるとは思えないんだけど?


あと、斬撃が飛ばせたとしても本職の後衛の人達と比べるとさすがに能力的に劣るのでは?

前衛職だけで後衛職の役割も十分こなせるんだったら、後衛職の人みんな泣いちゃうよ?


「さすがに自分の剣の腕が上達するのを待ってはいられないよね。できる子を仲間にするか、もしくは僕が他の攻撃方法を覚えるかしないとだめじゃない?」


アエリュちゃんやダキエちゃんに比べれば、遠距離攻撃の適性が高いのは僕のはず。なんといったって、いろんな人の技術を盗むような強く成り方をしているからね。2人と違って1つの技術一辺倒じゃないぶん、僕の方が遠距離攻撃への技術の応用もうまくできるはず。


とは思うけど、さすがに弓を始めたりすることは難しいよね。まず作ることが難しいし、そこまで手を出し始めると逆に他の部分に手が回らなくなりそう。

ということで、


「石、投げるかぁ」


身近な物で始められる遠距離攻撃手段、投石を身につけてみることにした。

素手で投げることはもちろん簡易的なスリングショットを作ったりしてみて、まずは中距離程度を対応可能にしていく。

今まで学んだ技術だと足腰を安定させるとかいうものを流用する事しかできず直接的な活用ができるものは少なかったんだけど、


「そこでは私はこう針を投げてやったんだ。こうだぞ!こう!」


「おお!凄~い」


「でも投げるって言えば、煙玉投げて逃げる時の方が多いわよね?」

「う、うるさい!確かに煙玉を投げるときだってあるが、それは別にいいだろう!ちゃんと仕事をしてから逃げているんだから!」


「煙玉?煙玉もおんなじ感じで使んですか?」


「ああ。まったく同じではないが、こんな風に手首のスナップを効かせて投げればポーンと遠くに飛んでいくぞ!」


別に冒険者ギルドに、そういうことをできる人がいないわけではない。

今まで関係がないと思ってたからあまり引き出さなかっただけで、聞き出そうと思えばある程度そういう話だって聞くことはできる。


これで投石技術を磨いて、少しでもパーティのバランスをとれるようにするんだ!将来冒険者になった時に、相手から一歩的に遠距離攻撃をされて負けるなんてことになったら目も当てられないからね!

本当は本職の人がいることが1番なんだけど、どっかに居ないかな~。遠距離攻撃職の原石。弓使いとか魔法使いとか、とにかく1人で良いからそういう人が欲しいよ。


「エサカ~!模擬戦しよ~!」


「はいはい。アエリュ。ちょっと待って。枝拾ってくるから」


頑張りはするけど、さすがに一緒に高めあえる練習相手と先生がいる分剣術の方が伸びが良いだろうからねぇ。それに追いつけるだけの投石技術を独学で身につけるのは難しい気がしちゃうんだよなぁ。

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