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エンドNO.10 ピョン

エンディングが消えた頭を抱えた僕だけど、それでもゲームで僕がかなりお金に関わることをしていたことは分かった。

ということで、今からでも何もしないよりはマシだろうという考えの基、


「ねぇねぇ。お兄さん、よくこの村に来るけど日程を決めてたりするんですか?」


「ん?そういったことは特にしていないけど…………いい商品を見つけた時に来てるだけだよ」


「そうなんだ。なんか、決まった日に来るとかにしておいてそれを伝えれば、他の村の人たちも今日はお兄さんが来るんだって分かって買い物にきたりするかなって思ったんですけど」


「ん?どういうことだ?他の村の…………ああ。何となくわかった気がするぞ。確かにそれ、悪くないかもしれないな」


この村にくる商人の人達数人に、もっとこの村での商売を上手くいかせられるようなアドバイスをしてみた。あんまりわかりやすく言うと本当に子どもの考えなのかと疑われるかもしれないから、言い方はだいぶ変な感じになっててたまに理解されない時もあるけどね。


どういうことを伝えたいのかというと、日程を公言しておけば買いたいと思う人がより気安くなるんじゃないか?ということ。

ごみの収集日が曜日で決まっているからこそ皆その日に捨てるように、商人が来る日が分かっていれば皆その日に買い物にやってくる。ごみの収集日のようにその日に何が売り出されるか分かるようにしておけばよりそれを買いたいという確実なお客さんが集まるというわけだね。

特定のモノを売るタイプの商人さんにとっては、いつ来ればその人のものが買えるというイメージがついているのはかなり強いポイントになると思うんだよね。


そういう風な考えたことを伝えると、ちゃんちと理解してくれた人たちはそれぞれ参考にしてくれて、


「そこの坊ちゃん。今日は。ちょっといいピョン?」


「ピョン?…………は、はい。良いですけど」


最近はこの辺りに知らない人も増えてきた。そして、僕がそういう人に話しかけられる機会も。

その人達は、


「今日は陶器が売られる日であってるピョン?遠くの村から来たから、日程が間違っているかもしれなくて不安なんだピョン」


「ああ。あってますよ。大丈夫です。もしよろしければ案内しますけど」


「それは助かるピョン!」


こことは違う、別の村などから来た人達。

商人さん達が決った日に来ることを公言しておくことで、他の村の人たちも呼び込めるようになってきたんだよ。通常なら何が売られてるかもわからないんだからわざわざ遠くの村にまで来ないだろうけど、欲しいものがあってそれを売る日が来分かっているならば話は別。

周辺には田舎で商人の寄り付かない村も多いから、こうして需要が一定程度ある商品が売られるときにはそこそこの人数集まってくるというわけ。


ちなみに今対応している人は「ピョン」という語尾を使うなかなか痛いおじさんなんだけど、これはどうやら方言らしい。

しかもピョンとかいう語尾でウサギっぽさを出してるのに、その実態は全く別で牛の獣人なんだとか。


「ここが売り場です。案も列に並べば変えますよ…………ピョン」


「おお!わざわざ案内ありがとうピョン!それと、なかなかいいピョンだったピョン」


2人でサムズアップし合い、僕は案内を終える。

たぶん後4人くらいは案内することになるかな?

…………それにしても、語尾にピョンを付けるのはなかなか恥ずかしいものがあるね。あのおじさんが相手だったから最後にやってみたけど、この年齢じゃなったら厳しいものがあったよ。

5歳で良かった~。

ただ、もう二度とやらないけどね。


なんて思ったんだけど、数週間後。


「ほら。エサカもやるピョン!」

「そんな無理にやらせなくてもいいピョ~ン」

「でも、皆でやった方が楽しいピョン!ね?エサカ?」


「そうだね…………ピョン」


僕は死んだ魚みたいな目をしながら語尾にピョンを付けることになっていた。

きっかけは、アエリュちゃんにお友達ができたこと。かなり仲が良くなったその子なんだけど、なんと例の語尾にピョンを付ける地方の出身の子だったんだよね。つまり、ウサギかと思わせておいて牛の獣人の子ということ。

最初に出会ったおじさんと同じように買い物に来ていた親についてきていたんだけど、そこでたまたまアエリュちゃんと遊んで仲良くなったみたい。


その結果、仲良くなったその子に影響されてアエリュちゃんも語尾にピョンを付けることにはまって僕までそれを強要されているという状況。

なかなか前世の年齢もある分精神的に辛い事ではあるけど、将来の娘であるアエリュちゃんのためなら頑張るんだよ(血反吐


「ママ~。ママもやるピョン!」


「え!?私も!?…………やってみる。ピョン?」


はっ!?タスミさんが語尾にピョンを付けている、だと!?

ちょっと恥ずかしがった感じでやっているのが、とてもかわいいです。やっぱり「ピョン」いい物なのかもしれない…………ピョン。

今度先生にもやらせてみよう。きっとあの人ならノリノリでやってくれる気がする。


そうしてアエリュちゃんにピョンブームをもたらした女の子、ダキエ・ニシオツちゃん。実家は農家らしくてたまにおみやげでチーズとかお肉とか持ってきてくれるんだけど、当然アエリュちゃんと仲良く成れば僕も接することは多い。

そして僕たちから話を聞いていると興味がわくことがあるようで、


「私も強くなりたいピョン」


「おお!やるピョン!一緒に修行するピョン!」

「そういうことなら先生に確認をしてみないとね」


僕たちがやっている剣術。それに興味を示した。よく2人がかりで襲い掛かっているのに、先生には一度も攻撃を当てられてないって愚痴を言ってるからそれが影響したのかもね。

基本的に話を今までしてきた限りはのんびりした性格っぽいから、戦うことに興味を示すのはちょっと意外かも。


ただ、一緒に剣術をする仲間が増えるのは悪いことじゃない。アエリュちゃんを見てても学べることは色々とあるし、参考にする相手が増えるのは確実に良い事だと思うんだよね。

そう考えて先生のところに行って話をしてみたんだけど、


「それはかまわないが…………ふむ。獣人か。そうなると、ご両親にそれを伝えればそっちの村で鍛えるということになるんじゃないか?」


「「「ほぇ?」」」


僕たちは仲良く首を傾げた。

先生の言っていることはよく分からなったけど、とりあえず言われた通りダキエちゃんと一緒に来たダキエちゃんのお母さんに話をしてみたところ、


「なるほどピョ~ン。戦いたいのなら、うちの村の戦い方をまずは学ぶピョ~ン」


なんていうことを言われ、結局ダキエちゃんは剣術の練習に参加できないことになった。もちろん全く参加しては駄目と言うことではないみたいなんだけど、剣術を教わるというのがダメみたいだね。模擬戦をしたり、体を鍛えるのは良いっぽい。


詳しく聞いてみると、どうやら獣人の場合は各種族によって特殊な戦い方があるんだとか。それを最低限身につけてからじゃないと、他の戦い方を身につけるのは駄目なんだってさ。

変だとは思うけど、もしかしたら獣人は人間とは体の構造が違うからちゃんと自分の種族の体の扱い方を学ばないといけないってことなのかもね。そうじゃないと、体の力を発揮しきれない、みたいな?

とりあえずそういうことで、新しい先生の弟子とはならなかったけど模擬戦相手兼先生を一緒に襲う仲間が増えて、


「あっ、こっち来たら困るんだけどぉ!?」

「わっ!?こっちこないで~」

「ご、ごめんピョン」


また連携に苦戦することになったとさ。

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