表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/35

エンドNO.9 二度あることは三度ある

さて、突然なんだけど、僕もアエリュちゃんと遊んで自分を鍛えてということばかりしているわけでもない。

将来のためにできることは何でもしようと思っているし、それと同時にゲームの進行に支障が出ないようにもしていこうと思っている。

だからこそ、


「またね!エサカ!」

「エサカ~!アエリュ~!また来るからな!」

「俺、絶対すげぇ商人になってエサカに見たことないような凄い物見せてやるからな!待ってろよ!」


「うん!またね!!」

「ばいば~い!」


僕は、アエリュちゃんと共に子供達に手を振る。

その子供たちは商人の子供達で、その近くにはその親である様々な品物を扱うような人たちが。だいぶ僕に懐いてくれたようで、また会いに来ると皆言ってくれているね。悲しいことは、アエリュちゃんの名前を言っている子が少ない事かな。


こうして商人の子供達と仲良くなったことで、当然親の商人の方ともつながりができる。

僕が狙ったのはそこで、ゲームで必要になるかもしれないつながりをできるだけ逃さないようにしてるんだよ。もしゲームの中で知り合いの商人さんを頼る、みたいな展開があったらこれをしておかないとシナリオ通りに進まない可能性があるからね。

もちろん狙うのは商人だけではなく、旅人の人達なんかにも話は聞いている。旅の冒険者になると難しいところがあるけど、それ以外は基本的に全員と会話はできていると思うかな。

ここまでできればもう逃がすことはないでしょ。


後ついでに、


「お土産一杯貰ったね~」

「うん!いっぱい!」


商人の子供たちは、仲よくすると親の商人さんから色々とお土産をもらったりできるんだよね。これも美味しいポイント。

僕はアエリュちゃんと一緒に両手いっぱいのお土産を抱えつつ今日も帰宅することになる。

そして両親と、おみやげは先生のところにも分けた方が良いかななんて話をしていたところで、


《イベント『すべては売り物に』及びエンディング『貿易王』が消滅しました》


「え?」


「え?」

「どうした?」


「い、いや。何でもない。ちょっとお土産の中に見覚えのない物があった気がしただけ」


僕はごまかしたけど、その内心は困惑しっぱなし。

そんなの当たり前だよね。


何で突然イベントとエンディングがまた消えたの!?人生2回目のエンディング消滅がこのタイミングってどういうこと!?

エンディング名も貿易王って何をどうしたらそんなことになるのか分かんらい物だし、本当にわけが分からないよ。僕が貿易王になるとか、どんな裏技を使えばいいっていうのさ。


「そ、それじゃあ、僕は部屋に戻るね~」


「ああ。夕飯の時間にあったら呼ぶからな」


「は~い!」


とりあえず部屋に戻って整理しよう。

まず考える必要があることは、このイベントとエンディングがなくなったことは良い事なのか悪い事なのか。必ずしもエンディングが消えることが悪いことだとも言えないからね。


まずイベントの『すべては売り物に』だけど、自分の持っている物をすべて売っぱらってお金にするとかそういうものではに気がするんだよね?どちらかと言えば名前の感じからして、田舎だからまだ目を付けられてないけど意外と売れるようなものはあるんだよっていうタイプのイベントだと思う。これが消えたということは僕が商売のチャンスを逃してしまったことにもなるわけだけど、どうしてこうなったのかを考えてみよう。


「僕が商人の子供と仲良くしたから、僕が気づく前に商人の誰かが売り物になることに気がついた?」


これは十分あり得ると思う。僕の人と仲良くなるという作戦が裏目に出てしまった可能性はあるね。

将来的な収入が減ることになるとできることの幅も減ってしまうし、悪い事ではあるかもしれない。


ただそれ以外にも考えられる可能性はある。

逆に仲良くなったことによって来ない人が生まれたという可能性も考えられるんだよね。例えば、商人が寄り付かなくなった村にもの好きの人が現れ、商売のタネになりそうなものを次々と見つけていく、とか。


「それはつまり重要なキャラを逃したってことになるよね。うわぁ~。失敗したかな」


ただ、イベントやエンディングにその相手の事が関わっていそうな要素はない。前回聞いたイベント名は『剣聖の弟子』だったし、重要なキャラがかかわるイベントとかなら人命がイベント名に入る気もするんだよね。

ということで、この可能性は考えないことにする。


ということで、次。

エンディングの『貿易王』だね。

これがまたわけわかんない。たとえこの村の中で売れそうなものを見つけたとして、それで貿易王まで行けるものかな?もちろんとんでもない商才があるならできなくはないのかもしれないけど、とてもそんな才能まで主人公に付与されてるとは思えないんだよね。

貿易王に俺はなる!って言ってなれるようなものでもないしさ~。


「本当にわけがわからない。貿易王っていったい何なのさ…………何をすれば正解だったのかな」


どうすればよかったのか。そしてこれからどうすればいいのか分からなくなる僕。

再度頭を抱えることになるわけだけど、そうしていると、


《イベント『守れなかったもの』が消滅しました》


「また?」


また来た。

今度はエンディングは消えなかったらしいけど、イベントが消えたらしい。


僕が一体何をしたというのやら。特に大胆なことはしてないから大きな悲劇は産まないと思ったんだけどなぁ。

いや、逆に何もしなかったからこんなことが起きてるのかな?もっと積極的に動いて、イベントに関われるようにするべきだった?

でも、原作を知らないからそれも難しいんだよね。


「うぅん。どうしたものかな」


取り返しがつく状況なのかどうか。

色々と考えながら消えたイベントやエンディングの事をまた考えていく。

そしてそのままそれなりの時間が経ち、日も傾いてきたころ、商人さん達から貰ったお土産を先生に届けて軽くお話をしたところ、


「へぇ?そんなに強いモンスターがいたんですか?」


「ああ。あれは、おそらく何年、何十年と潜伏し続けて絶対的な力を手に入れるまで悟らせなかったようなタイプだろう。見た目も低級のモンスターに近いから、普通の冒険者では気づけないだろうな」


「へぇ~」


なんとなく、1つのイベントが消えた理由は分かった気がした。

今日2回目に聞こえたアナウンスの『守れなかったもの』ってイベント、間違いなく先生が倒したモンスター関連だよね。何年も潜伏してとか言ってるし、もしかすると主人公が村を出た後に村を襲撃して故郷が滅んじゃうとかいうイベントだったのかも。

そう考えれば、消えてくれてよかったかな。

先生、いい仕事してくれるね。今度商人さんからお土産をもらった時は、ちょっと多めに持ってくることにしようかな。

食べきれるかどうかは分からないけど。


「でも、その戦い方は面白そうですね。何年も潜伏できるような隠れる力、僕も使えるようになりたいです!」


「ふむ。なるほど。冒険者だけでなくモンスターからも学ぼうというわけか。面白いな。では、少しそのモンスターの特徴について語ってやろう」


「おお!お願いします!!」


後は、モンスターがどれだけすごいのか語ってもらった後に、それを倒せるなんてやっぱり先生はすごいとかほめておけばいいかな?

きっとそれだけでもいい気分になれるでしょ。

冒険者の人達と関わるうちに前世の頃に憶えたリップサービスもだいぶ取り戻せて来てるし、全力でヨイショしてあげることにしようかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ