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塵拾い配信 #18 



「どうも皆さんオハギリ。100オニギリこと鬼切百々です。今日も塵拾いをしていきたいと思います。」


・オハギリ!!百々ちゃ

・いつもと場所ちがう

・ホントだ。なんか、オシャレだね


「よく、気づいたね。」


 後ろに振り返り、木造建築の家々を一瞥しながら百々は呟いた。


「ここは居住区、特に商人たちが多い場所だね。」


 カオスパレイド大帝国の城下町は居住区と工業区で構成されている。

 詳細に区分すると、まず東側の一角に量産品を作る工場地帯のがある。

 王城や居住区付近には個人や少数の職人の工房─家に併設されたものも多い─がある。

 

 工房のラインナップは東側は武具、西側はアクセサリーやドレス等の娯楽品が多くなる。


 そして、西側の居住区は王都付近には工場で働く者が、城壁周辺には商業区に店舗を構える商人が多くなるのだ。


 今回、百々は西の城壁付近に来ていた。理由は簡単である。今日は「ガラパゴシーズ」のパーティメンバーが工業区に来る日だ。

 そして、このパーティメンバーには裸族のロリコン変態淑女こと「自手p-lay(ピーレイ)」さんがいる事も確認済みだ。

 変態の癖に、「自主規制」と「自分の手でplay」と「ピー音」をかけている中々に凝ったPNをしているのが癪に触る。

 私なんか「100オニギリ」とかいう、視聴者が未だに触れてくれない、明らかに滑ったPNを背負っているのに。


 まあ兎に角、工業区でばったり会うことを危惧して、百々は居住区で塵拾いをする事にしたのだ。


「綺麗だとは思うけど、今まで工業区との境目付近がメインだったからね。偶にはこっちのやっとこうかなって。」


・ちゃんと考えてて偉い

・そんな君に煙草をどうぞ


「吸い殻なら回収するよ。」


・草

・俺が吸い殻に触れた手で食べれば、実質関節キスでは? 

・さすがリスナー!おれにはとても言えない事を平然と言ってのけるッ。そこにシビれん!あこがれなァイ!


 百々はいつも通り雑談しつつ、塵を探し始めた。


──しかし、


「塵がない……。」il||li_| ̄|○ il||li


・幼女の絶望顔助かる

・表情が変わるの珍しいね、今日はもうこれでいいや

・これは煙草キメるしかねぇ!!

・↑通報すますた


 開始から15分、いつもは無表情な顔を絶望に染めながら嘆いた。


「これじゃ、ただの雑談お散歩配信だよ。」(´๐_๐) シュン...


・うん、そうだね

・いや〜、言うていつもと変わらん気が

・馬ッ鹿お前!!正論言うな


「…………何か言ったかな?」(⌒▽⌒)


・スイヤセンしたー!!!!

・ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイアリガトウゴザイマスゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ

・ねぇ、変なの混じってなかった?


「はあ、良いよ私なんかVRMMOで態々塵拾い配信してるゴミ配信者だし……。偶には配信社らしく質問に答えてあげよう。」


 拗ねてしまったのか、公園のベンチに百々は足を組んで座ってしまった。


・おお、なんかエロスを感じる

・この不貞腐れた美幼女が足組みながら座る図が俺を狂わせる

・分かる、エロくはないよね。エロスを感じる

・モフモフなくない?


「モフモフ?何それ美味しいの?」


・そうそう、白くて、フワフワしてて、甘くて、キャンプファイヤーすると食べたくなるんよね

・それはマシュマロじゃいッ!!


「モフモフだかマシュマロだか、知らないけどさ、そんなの無いよ。コメント使って。」


・では、お言葉に甘えて3サイズに加えてパンツの色を

・こいつ、やりやがった

・キレてる女性に3サイズとパンツの色を聞くのは、勇者通り越してバケモンなんよ……。


「…………」(⌒▽⌒)


 ドドドドドドドドドドッ!!!!


・百々ちゃキレた

・ほら、キレ過ぎて効果音も出ちゃってる

・奇妙だな

・奇妙ですね~


「……?この音何、だんだん近づいて──」


 音がする方向に首を回しながら百々は喋る。しかし、その先は言葉を紡げなかった。

 何故なら──




「──幼女(ロリ)の3サイズとパンツの色が聞けると聞いて推参しましたわー!!!!」


・読んでねぇよ!!

・エッ?あれ自手p-lay

・ロリコンが来やがった!!

・百々ちゃん早く逃げてぇ!!


 全身タイツの上からレオタードを着た変態淑女が土煙を上げながら向かっていたからだ。


「……推参、押しかけてる事は分かってるんだね。」


 勢いよく自手p-layの背から10本の光線──否、触腕とイカ足が射出される。


 その光景を目にし、百々は覚悟を決めた。


「……皆には見せられないよ。」


 配信を切り、百々は目を瞑る。


 眼前に足が迫り、




──シャキッ


「──十閃 朽廃」


──チャキッ


 先程までの勢いがまるで嘘かのように止まり、切り捨てられた先端部や切断部は、腐るように溶けていく。


「……トップクラスのパーティでもこんなものですか。」


 塵を素手で拾っても表情を変えない百々は完全で腐り落ちるイカ足も気に留めず、しかしピーレイにゲテモノを見るかのような視線を向けていた。


 ピーレイは目線を合わせただけで冷凍保存されたかのように固まってしまう。


「質問をしてもよろしいでしょうか?」


「よろしイ……、ですわよ。」


 引き攣った顔を無理やり動かし、ピーレイは返事を返す。


「私が出したのは工業区への立ち入り許可です。居住区(ここ)への立ち入りは許可していませんよ?何故、来たのでしょうか?」


「な……何を──」


報告:カオスパレイド大帝国の領主より、レッドネームに加えられました。


「あっ……。」


「さて、ゴミ掃除の時間です。」

 

 

 うむ、無理やり話を切ってしまった。こうなんか、しっくりこんな。

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