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完結編!

ついに書くべき時が来た。


別に誰も望んでいないが、とりあえずのアシナガバチ集合体の結果である。


掲載に合わせて読んでくださっている方はまだ良いが、続けてページをめくっておられる方には、ちょっとした精神修行になってしまっているのではないだろうか。



…なにはともあれ、約2ヶ月間もウチの玄関トビラの上に集まっていたアシナガ集団も、11月に入ると5匹くらいになってしまった。


どこかへ行ってしまった個体たち、残った5匹たち、何を考えているのかは(いま)だにサッパリ分からない。


…ただ、11月の10日くらいだったろうか。


朝、玄関を出ると「パリパリッ」という音がした。

ウチは落ち葉が多い場所にあるので、また大きめの葉を踏んだか、と思ったのだが、「はっ?」という疑念が頭をよぎり、悪い予感がした。


「オマエ…何でこんなとこにいるんだ…!」


扉のすぐ外の足元に、なぜか一匹だけ、集まりから離れて(とど)まっていたようなのだ。


いつものごとく念仏をとなえ(ふだん法華経を読んでいるのに、小動物などの死体には念仏をとなえる久賀)、その踏まれて弱ってしまった個体を、そっと脇にどかした。


時間がないのでそのまま出勤し、仕事を終えて帰宅した時には、どけておいた(コケ)の上で、ぐったりとして死んでいた。


まあ当たり前の死だが、何やら状況が大きく動いたのは感じられた。

2ヶ月にわたるアシナガバチの集い。ただの1日とて、その集団からはずれた場所に、ハチの個体がいることはなかったのである。


…翌日、アシナガの群れは集団と(やはり5匹ほど)、今度はその近くの安全な高所に、1匹だけという、またも変則的なポジションを取っていた。


…終わりが近いな…

そう感じて、朝に玄関トビラを見上げて出勤し、帰宅時にはほんとにただの1匹になっているのを見てとった。


「…女王バチか?」

他のものより大きく感じられたのは、錯覚だったのだろうか。


しかも、翌朝は完全に「何かある」という場所、玄関トビラのど真ん中の上部に、目立つように陣取っていた。

もちろんただの偶然かもしれないが、2ヶ月玄関の上部すみのアルミサッシに集っていたのである。


堂々とトビラのど真ん中に今さら移動する意味など、あるのだろうか。

さらに帰宅時には、こちらを見下ろすような身体の向きに変わっており、夢見がちな少女的(というと今はモラハラになりそうなので、夢想する中2的に)まるで意思疎通を望んでいるように感じられ、ツバメが巣立ち、旅立ちを迎えた時に一家総出で電線に勢ぞろいして家主に感謝するように、その女王バチは、家主である僕に感謝しているのではないかとすら思えた。(カッコ笑い、というところだろう)


そして消えた。

翌朝ポツリと消え、それから数日、もうアシナガバチの姿を見ることはない。


ときどき暖かい日にアマガエルが扉をよじ登っていて、「おお…まだいたのかお前達…もうすぐ12月だぞ」と、そのツヤツヤした緑色の肌をほっこりと眺め、たまに出没する灰色的なアマガエルに「変わり種だな…」と感想をもらす日々が流れている。


…結局のところ、まったく分からなかった。


巣も作らず、交尾もせず、卵も産まず、子も育てず。


人には文化の流れでそういう生き方も広がりつつあるが、アシナガバチもそうなのだろうか?と思い、ならば人と虫は、精神的に対等な部分があるのだろうかと、ふと考え込んだ日があったが、まあ何しろ確証が得られない考察である。


この世にムダというものがないのなら、その虫の行動すら、豊かさの象徴なのかもしれない。


「より本能的な行動をとる虫ですら、理解不能なことをする。人間である自分の将来を考える(心配する)ことなど、さらに意味不明なことなのだろう」


…アシナガバチの行動から、さらに将来の心配がなくなった(というより、選択肢が多すぎてほぼ無意味な心労になるだけの)久賀でありました…


やっぱり人は、過去と未来を背負わず、今だけを無理なくやるのがいいね!!


明日の自分は、明日の自分がやってくれるーー


“サー”ウィリアム=オスラー医師に乾杯!!w










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