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開店
出勤して、シャッターを開ける。
ガラス越しに、可愛い小物が顔をのぞかせている。
10畳ほどの小さなお店には、所狭しと雑貨が並べられている。
荷物をバックヤードの椅子に置き、制服代わりのエプロンを着る。
そっけない緑色のシンプルなエプロン。
お店のロゴが入っていないそれは、店員とわかりやすくするために店長がすることと決めたらしい。
掃除用具を手に、店の外に出て掃き掃除をして、看板を出す。
「リサイクルショップ 縁」
店長の奥さんが作った、可愛いフォントの看板。
誰かの手に渡ったものが、役目を終えてまた必要とされる人に渡る。
ご縁だよね、と、笑う奥さんの言葉で店名を決めたらしい。
店長ののろける姿を思い出し、笑みが浮ぶ。
今日も、誰かに良い縁がありますように。