1.出発と空の旅
「あー、またしばらく空の旅か……」
「大丈夫?疲れてる?」
「いや、大丈夫だぜ。」
「たのむから無事に帰って来れますようににゃ」
「本当にそれなー、ライロイ姉弟は大丈夫ー?」
「大丈夫ッス!特に危険な旅でもないしロイロのことは俺が守るッスから!」
「自分の身くらい自分で守れるよ。姉さんこそ気をつけてほしいよ」
「俺の弟が最高に可愛いッス!!!」
騒がしい朝を迎えた。
今日は家を出てしばらく飛行する予定だ。
イヴもヌーンも大きさの調整ができるようになったからそれぞれに二人ずつ乗っていくことになった。
それの方が負担も少ないからね。
そういえばロイライ姉弟の依頼についてなんだけど、鉱山のコアを入手して欲しいらしい。
煌竜の魔力の周囲に鉱山ができる。
鉱山の一つの中に一コアあるから一つくらい入手してもかまわんでしょってことらしい。
それを持って帰ってきたらこの村にも小さな鉱山の山ができる……らしい。
竜ってすげー。
ということはフラッシュも木を生やすことできるのでは?
まあ今考えてもしょうがないか。
「おけ!最終チェックも終わった!」
「ロイラ爺、お留守番よろしくにゃ」
「爺!俺らも行ってくるッス!」
ロイラ爺はコクコクと頷いて手を振った。
行ってきまーすと声をかけて外に出る。
「よし、俺らもイヴとヌーンに乗るぞ!」
「え、だれとにゃ?」
「今から決めるぞ!ということで!グッとパーで……」
「それ長くなりそうだよね?」
「俺らは先行くッス、良い旅をッス〜」
「え、え?!いってらっしゃい!気をつけてねー」
素早く見切りをつけたロイライ姉弟が去っていく。
「というか!普通にアイと私、マル君とジンでいいじゃん!」
「そうだーそうだー」
「んー、じゃあ全員で乗る……とかにゃ?」
「折衷案ですらないんだが?」
「まあまあ落ち着けって。グッとパーでわっかれましょ!」
いきなりすぎんだろ!
「わかるかいー?!これが運命なのだよー!」
「なんなんだコイツ……」
「なんで私たちこんなことに時間かけてるんだろ」
当初の通りアイキョウ、ジンマルトで別れるとそれぞれイヴとヌーンに乗る。
魔力で手綱を創り、イヴにかけた。
「よろしくね、イヴ」
「キュイ!」
帰ってきた元気な返事の後に、短い助走をつけて羽ばたいた。
とてつもない速度で飛んでいる。
あっという間に小さな私たちの村は見えなくなった。
「はっっっやいなー」
「よく舌噛まないね」
「まあねー、アイ竜になれるようになってからドラゴンに乗っても酔わないっていう確信ができたしー全体的にパワーアップしたねー」
「わかる。大人の姿になってから色々と便利になったよね」
「特にー!舐められなくなったー!」
「まあ子どもの姿だったらセリィ様に相手にされなかった気がする。」
「そういえば最後にステータスのメニュー開いてからしばらく経った気がするねー、大人になって追加されたスキルとかあるのかなー?」
「どうだろ、『メニュー』…………あれ?」
「どうしたのー?」
「いや、開けなくて……」
「えー?『メニュー』…………確かにー」
「なんで?他の魔法は?」
「試してみるー?丁度いい実験台いるよー?」
イヴが急ブレーキをかける。
目の前に現れたのはいつかの鳥。
この前食べた鳥型の魔物だった。
「よし殺すね」
「待って待ってー、最近全然戦えてないから私がやるー」
「あ、確かに。アイが戦闘してるイメージない」
「ということで勘を取り戻すためにもー、『ダークボンド』」
アイの手から黒い液体が飛び出し、鳥に命中する。
付着した瞬間からピキピキと液体が固まり、透明に変化する。
最期にはコーティングされた鳥の模型が完成した。
「おー、なんか強くね?」
「そだねー、ボンドの量も増えてるしー」
「ある程度の大きさの魔物なら模型みたいにできそう。」
「この草原に出てくるくらいの強さならねー。拘束力が敵の強さに応じて弱くなってる気がするー」
「なるほど?」
「ほらー、マルトの足に一回かけてみたじゃんー?そのときは全然拘束力がなくてマルトは自分で解けたと思うよー」
「なるほど……あれ、あのときは私が取ってあげたような……」
そんなときにマル君の声が響いた。
「キョウー!だいじょーぶにゃー?!」
「だいじょぶ!」
「とりあえず今日は休もうぜ!」
「了解ー!」
会話を聞いたイヴが滑空しながら地面に降りる。
マル君たちとほぼ同じ位置に着地するとイヴはキュッと鳴いた。
「ありがとう、イヴ。ゆっくり休んでね『クローズ』」
「ヌーンもありがとにゃ、明日もよろしくにゃ」
ヌーンもクローズする。
魔力で作られたボンドを消して解体する。
マル君が火を出して炙り、食べる。
「あ、そういえば魔法自体は出せたね。」
「何の話にゃ?」
「メニューが出せなくなったんだよねー」
「『メニュー』…………ほんとだにゃ」
「こういうときはグリモアに聞いてみればいいだろ?」
「確かに!」
グリモアを出す。
事情を話すと頷いて答えてくれた。
「メニュー……ですか。メニューはチュートリアルみたいなものです。」
「チュートリアル?」
「そうですよ。年齢制限がついてて十二歳までしか使えないんです。」
「なる、ほど?だけど俺たちの年齢ってどういう扱いなんだ?」
「あー確かにー?見た目は十八、中身は十一みたいな感じだもんねー」




