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11.サウスウェストと村長

 あの後、急ピッチで帰りの支度を進めて街を去った。

 エリに別れを告げ、お別れパーティーを開こうとするセリィ様を宥めた。

 エリは少し気まずそうだったけど、私たちはエリがマル君に告ったことを知らないことになってるから笑顔で見送ってくれた。

 ちなみにジンとアイはもう知ってる。

 彼ら曰く「あれだけ気まずオーラ全開にしてたら誰でもわかるだろ」とのこと。

 その察しの良さを分けて欲しい。

 ちなみに急な出発でもジンとアイは快く了承してくれた。

 まじ優しい。

 あとはライロイ姉弟とロイラ爺を連れて行くことになった。

 バタバタしてて完全に忘れてたけど、この街に来た理由ってライロイ姉弟の建築道具を取り戻すためだったんだよね。

 だから連れ帰って村のインフラ整備をしてもらおうと思っててね。

 まあ人が少ないところだからこっちにいてもらうよりも街にいてもらった方が役に立つとは思うけど。

 そういえばセリィ様がこの街だと呼びにくいし、スラム街でもなくなったからこの街の正式名称で呼んで欲しいって言われたんだった!

 その名も「サウスウェスト」!

 なんて単純な……って感じだけど昔はノースイーストとかで揃えてたらしい。

 今では風化して特徴で呼ぶようになってるけど。

 街改めてサウスウェストに別れを告げ、村に帰ってきた。


「ようやくだよ!脱線が多すぎたよ!」

「俺たちの目的を果たすべき場所ッス!」

「ただいまー!遠出が多すぎて帰ってくる度に久しぶりな感じするー!」

「アイは俺たちよりも先に一回帰ってきてるんだけどな。」

「あれは帰ったとは言わないよー、荷物置いてロイラ爺とエリと占い婆さん回収しただけだからねー」

「あ、占い婆さんで思い出したけど運勢占ってもらうの忘れてた!」

「無料なのに勿体無いにゃ」

「しゃーないぜ。みんな忘れてたからな」

「ちなみに休みたいとかある?」

「私はだいじょぶだよー」

「サウスウェストはずっと休みみたいなもんだったろ?」

「ちょっと待つにゃ!」

「出発進行!」

「ちょっと待ってにゃ、旅支度くらいさせろにゃー!」


「数日後!」


「いやそうはならんにゃろ」

「ボカロパロやめろ」

「冗談冗談」

「すごい楽しそうッス」

「話についていけないよ……」


 バカな会話しながら家に入り、持ち物点検して色々会議をした結果、二日後に出発することになった。

 この村の案内と村長に村に建築物を増やすことの許可をもらいに行く。

 それが一日で済ますミッションだ。

 まあ正直なところ一日もかからないと思う。

 村はそんなに広くないし、村長さんは優しいからなんかすぐオッケーしちゃいそうな気がする。

 もう少し考えないと詐欺に遭いそうで心配だ。

 そんなこんなでその日は終わり、次の日。


「なんか時計がないから今の時間がわかんないよねー」

「わかる。体内時計が鍛えられてる気がする。」

「ライラっちは時間ってどうやってわかるのー?」

「ら、ライラっち?グラスビレッジでは九時と正午、十八時に魔法花火をあげる係がいたんッスよ。」

「あー、高く飛べないようにするためのバリアに魔法をぶつけたのか。」

「あれだったらどこにでも聞こえるもんねー」


 こんな呑気な会話を女子組でしていると、マル君がリビングに駆け込んでくる。


「キョウ!来客は村長さんだったにゃ!」

「え?」

「入れちゃっていいかにゃ?」

「いいよ!」


 まあとりあえず頷いておく。

 コイツ何も考えてないだろ、っていう目でアイに見られるけど目を逸らして黙る。

 しばらくすると、マル君に続いてオドオドとした紺髪の青年が入ってきた。

 紺色の髪に青色の目、かっちりとした白シャツと黒ベスト。

 そして大きな銀縁の丸メガネ。

 それだけならは完全に真面目で几帳面な委員長なんだけど、ハの字に下がり切った眉尻のせいで頼りない感じが半端ない。

 それさえなければしっかり者でかっこいいんだけどなー。


「あぁ、えと、突然の訪問を申し訳ありません。」

「いえいえ、そんな堅くならないでくださいにゃ」


 コソコソとアイが囁いてくる。


「ジン呼ぶ?」

「うん、後で伝えるのも面倒だしついでにロイロ君とロイラ爺もお願い」


 男子三人組は部屋で何か話してたんだけど、そこでドアがノックされてマル君が出てったってことだ。

 リビングにさえ聞こえなかったノックが部屋にいて聞こえるのはすごいなーって思った。

 聴覚強化の賜物だよね。


「その、皆様方のご活躍は風の噂で聞いております。えと西の住処で守護者を呼び戻したこと、それに南西の街……行商人がサウスウェストって言ってましたね。それを大きく変えたと聞きました。」

「そんな大袈裟な、私たちは精々手伝いしたくらいです。」

「そんなあなた方にお任せしたいことが……」

「なんでもおまかへ」


 口を手で塞がれる。

 手の主を見るとジンだった。


「もう少し考えろ」

「先にお聞かせくださいにゃ」

「…………村長を、やっていただけませんか?」

「…………?」


 多分背景が今宇宙になってる。

 ジンありがとう。

 これすぐに返事したらヤバかったやつやん。


「流石に……」

「俺たちはこの村にいないときだって多いから無理だと思うぜ」

「その人柄が村人もいいと思われてるはずだから自信もってくださいにゃ」

「無理でしたか……申し訳ございません」


 多分この人責任とか苦手なんだろうなー

 私も嫌いだからわかる。

 学校のクラスのリーダーとか、本当に無理だった。

 やりたくないからそういうのを決める時に息を潜めてたわけだし。


「えっと、では……何かお手伝いできることはありませんか?」

「?」

「例えば……サウスウェストの余った住人の引取先……とか」

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