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2.スラム街とトンカチ

 次の日、まだ寝ているロイラおじいちゃんとそれの看病をするエリを置いて家を出た。

 装備はローブだと動きにくいかもだから西の住処に行った時と同じだ。

 イヴに乗って一日半ほど空を駆ける。

 そういえばアイはアイ竜になれば空を飛べるらしい。


「え、じゃあなんで飛ばないの?」

「んー、魔力消費が大きいのとただ単にこっちの方が楽だからねー」

「まあそれはそうにゃ。」

「俺は飛べるもんなら飛んでみたいけどな」

「意外と気持ちいいもんじゃないよー、酔うし」

「そういえば最近はなかったけどアイは三半規管が弱いんだった」


 そんな話をしながら地上に降り立つ。

 角や耳を隠すためのフードや帽子を身につけた。


「イヴ、一日半もぶっ続けでありがとうにゃ」

「ゆっくり休んでね、『クローズ』」

「それにしても、相変わらず酷いねー」

「まあこれから良くするから大丈夫だぜ」


 正門から見えるものはあまりナシさんたちがいる街と変わらない。

 まあ色は全然違うんだけど。

 明らかに成金って感じの黒の店がズラーっと並んでいて、一番奥には金で彩られた巨大な屋敷がある。

 こんな煌びやかなのは表通りだけだ。

 上空から見るとよくわかるが、裏通りは酷い。

 色のない家々。

 計画なく建てられたそれらは元の世界だったら違法建築で捕まるレベル。

 人が外にもいるんだが、大体は痩せこけていて頬は青白い。

 活気がなく閑散としている。

 それが前見たときのイメージだった。

 まあそれが短時間で変わるわけでもなく……


「とりあえず聞いてみるか。」

「情報料とかとられそうにゃ」

「絶対法外な値段だよね、確信がある。」

「裏通りから行ってみないー?」

「そうッスね、俺らが盗られたのも裏通りッス!」

「そのほうが効率的だと思うよ」


 ということで裏通りから行くことにした。

 襲われやすいように大人数すぎないようにをモットーに、ニグループにわかれる。

 私はマル君とロイロさん。

 アイはジンとライラくん。

 武器になるものを盗るらしいから、見せつけるように剣や杖、斧に槍を装備。

 そして肩の力を抜いて初心者っぽく歩く。


「いやー、それにしても酷いね。」

「昼なのに暗いにゃ、曇ってるわけでもにゃいのに……」

「前もこんな感じだったよ、生気がないよね」


 興味深く見回す。

 一見誰もいないように見えるけど、触覚強化をオンにしてみるとわかる。

 空気が震える。

 人が動いている、小動物もいる。

 マル君も何かを感じとっているのかフードが揺れている。


「人は、いるみたいだね」

「にゃ、小声でこっちの事を話してるにゃ。」

「わかるの?」

「うん、もうすぐ来るにゃ。」

「そこの小さい路地、あそこから出てくるから警戒して」


 何事もないように通り過ぎようとする。

 ほら出てきた。フードを被ってるから顔は見えないけどね。

 獲物はトンカチ。

 ロイロさんがハッという顔をしてるから多分あれで間違いないんだろう。

 ロイロさんの脳天に当てようと振り上げられたトンカチを、両手で持った剣で弾く。

 甲高い音が鳴り響き、マル君が耳を塞ぐ。

 私も触覚強化をオフにしていなかったから腕に響いて痺れるようにビリビリしている。


「腕が使えなくてもッ、足があるんだよね!!」

「ナイス野蛮人にゃ!だけど詰めが甘いんにゃ!」


 ヒラリとスカートが舞う。

 渾身で振り下ろしたであろうトンカチが防がれたことでフードがずれ落ち、間抜けズラが露わにしたスラムの(悪人)

 横っ面に踵を叩き込んでやった。


「よっし!」

「背後にご注意にゃ、『ウィンドカッター』にゃ!」


 後ろから出てきたお仲間さんにマル君がお得意の魔法を撃ち込む。

 空を舞ったトンカチと工具箱を華麗にキャッチすると、赤面するロイロさんに渡す。


「ん?戦闘に緊張しちゃった?」

「い……いや、あの、」

「………………にゃー、キョウ、スカートにゃ」

「え?」


 下を見下ろすと、足を大きく上げたせいかスカートが大きく捲れ上がってた。

 手でスパンと下ろすと笑顔で二人を見る。


「忘れてください」

「顔真っ赤だよ?」


 笑いを堪えるように言うロイロさんを見て、顔に熱が昇っていくのがわかる。

 マル君が手を差し出したのにはてなマークを飛ばしながらとりあえず取ってみる。


「あっ冷たい、」

「保冷剤代わりに使うにゃ」


 じゃあお言葉に甘えて、

 冷たくて大きな手を自分の頬に押し付ける。


「なんか二人を見てると砂糖を吐きそうだよ。」

「……なんで?」

「まあまあまあ?ずっと仲良しですからにゃ」


 謎の牽制をしたマル君にありがとうと言って手を返す。


「表通りに戻るにゃ?」

「そうだね、これで全部?」

「あとは木材とか石材とかだよ、」

「まあアイたちがどうにかしてるでしょ」


 ほーら案の定。

 私たちより早く着いてたよ。


「ぜーーーーーったいに私の方がいいからー!」

「いやいや、俺ッス!ずっと一緒の俺の方がいいッス!」

「えっと、ただいま?」

「どうかしたのにゃ?」

「いやどっちのほうがエリと仲良しか喧嘩してるんだよな」


 oh〜

 え、つまり両方ともエリのこと好きって事?

 アイはこの前のお泊まり会でわかっちゃったし。

 エリは可愛いから男子が惚れることはまあわかるし!


「ほっとこうぜ」

「まあ懸命な判断にゃ」

「キョウはあれ止めといてくれ」

「え、めんどくさい役押し付けるのやめて?」

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