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7. 初めての村と占い屋

ジンさんが見つけた村はなんとなくゲームに似ていた。


「遠かったけど、ここで八人も受け入れてくれるかわからねぇな。」

「無理だったら別にいてもいい人数だけ残って他は別の街を探せばいいだけ」


ジンさんが初めて見る異世界の村にしみじみと呟くと、ナシさんがまっすぐと村を見据えながら答える。


「まあ、まずは人探しとか探索とかだな。」

「じゃあ、私はあっちを探すから、」


ナシさんとジンさんが中心となり皆が探す方向を分担していく。

全員ぶん分担が終わるとここに集合な。とジンさんが言い、全員で散らばった。

何かがあるといけないから二人一組で私はアイと組むことになった。

割り振られた方向に向かって歩いているとアイが言った。


「意外と皆ここになじんでるねー」

「そうだね。もっとうろたえたりとかすると思った。」

「私は・・・もうホームシックになりかけてるよー」


アイはいつも通りにけらけら笑っているがホームシックらしい。

友達は大事にする主義のアイだから別クラスの友達が一緒じゃないのが悲しいんだろうなぁと私が思っているとアイがもう一度声をかけてきた。


「キョウはホームシックとかならないのー?」

「一人だったらなるかもしれないけど知ってる人がいるときは一回もなったことないよ?」

「そっかー。日光で元気だったもんねー」

「そうだね。ホームシックか・・・なったことないけど、バス酔いみたいになるときはなるのかなぁ」

「そういうもんだよー。・・・キョウ、あの看板、なんかのお店かなー?」

「・・・入ってみる?」

「報告が先かなー」


アイが見つけた看板には占いする人がよく使いそうな水晶が書いてあった。


「これだけでいいよねー」

「大丈夫だと思う。」


他愛無い話をしながらアイと歩いて集合場所に向かうと、早めに集合していたみんなが

見たものを話し合っていた。


「家ばっかりだな。」

「明かりがついている家も少なかったし、廃村だったりしないよね・・・?」

「・・・アイ、言ってきてもらえる?」

「おけおけ。こういう人が集まってるところ、キョウは苦手だもんねー」


アイが人の輪に入っていくと中で話しているマル君と目が合った。

きっとアイが話してペアだった私を探したのだろう。


「お、看板?」

「他のところにはなかったわね。」

「入る前に報告した方がいいよねーってキョウとなって戻ってきたんだけど。」

「正しい判断だと思うよ。なんかあって分断されたら嫌だし。」

「ここでもたもたしてても腹が減るだけだし、ちゃっちゃと行こうぜ。」


占い屋?に行くらしい。

アイは見つけた人だからか、案内役だ。

マル君が後ろの方に来て私と並ぶ。

ここが定位置になってるようだ。

つくまでの間やることがないからマル君に話しかける。

ちなみに前の人とはまあまあな距離があいている。


「ねぇマル君」

「どかした?」

「私魔法使った後いっつも寝てるけど皆おかしいと思わないのかな。」

「大丈夫だと思うよ。戦闘の後、キョウが寝ている間にみんなも休憩とったり、少し寝たりしてるから、キョウもそのたぐいだと思われてると思うよ。多分」


すごく保険を取るから大丈夫かなぁって思い、マル君を疑いの目で見ているとマル君は、頬を掻いた。


「マル君、ぶつかるよ。」


雑談をしていると時間があっという間だ。

もうさっきの占い屋?についていた。

マル君が前の人にぶつかりそうになったからとりあえず腕を引いて止めておいた。

ジンさんがゆっくり扉を開くとカランコロンと軽快なチャイムが鳴り、緊張が緩みかける。

占い屋?に入るとデパートで売られている甘い香水のようなにおいがした。

明かりは机に置かれたランプシェードだけで暗い。

机の上には看板にあったような水晶がおいてあり、水晶を見ているのはおとぎ話の悪い魔女のようなフードをかぶった人だ。


「・・・いらっしゃい。何が用じゃ」


しわがれたおばあさんの声がフードの奥から発せられる。


「簡単な占いなら無料。それの改善案が欲しいなら500レイズじゃ」

「・・・レイズ?」


仁が謎の言葉に反応して聞き返す。


「なんじゃ、レイズも知らないのか?」

「・・・えーと、先ほど別の場所から来たばっかりでこの国のことを知らなくて、」


確かにあってる。

何日か前にこの場所に転移してきたばっかりだ。


「くっ、くかかかか」


おばあさんが笑いだす。


「この国でお金の単位を知らないっていうのはありえないんじゃ。他に国がないからのぉ」


笑いすぎてゆっくり息を整えるみたいに深呼吸したおばあさん。


「ということはおぬし等迷い人じゃな?」

「迷い人、ですか?」


ナシさんはよくわからないというように首をかしげる。


「迷い人とは別の世界から来た人間じゃ。主に原因は二つある。一つは『穴』を通ることじゃ。『穴』は時空のゆがみによりできる。」

「そんなもの、通ってないよな。」

「もう一つは魔導書の暴走と運の悪い人間の詠唱が重なってしまったときじゃ。」

「・・・」


私はとりあえずアイの陰に隠れようとした。(身長の関係で入りきらないが)

アイと私の間に微かな緊張が走る。


「どうやったら元の場所に戻れるかわかりますか?」


なんというかジンさんが敬語を使うのは違和感がある。


「前者も後者ももう一度『穴』を通ることじゃな。」

「『穴』はどこに・・・!」

「ここからは有料・・・うぬ?おかしいのぉ。水晶が反応せん。」


なにか異常が発生したようだ。

というかよかったぁ・・・もしこれでおばあさんが教えてくれていたらもっと私たちが魔法を唱えたことがバレるリスクが上がるところだった・・・


「今までこんなことはなかったんじゃがのぉ・・・長いことやっているがわしを上回る力を持つものがこれに関係しているということじゃな・・・」


おばあさんが聞いているだけで不安になりそうなことをブツブツと呟いている。


「とりあえず原因はわかるから教えてやろう。」


うわああああああああああああああああぁ!


普通に終わる流れなのにおばあさん何言ってくれてるの?!


「原因は魔導書と詠唱が重なった方でその魔導書は今、そこの小娘が持っておる。」

おばあさんが私を指で指す。

「・・・事情は後で聞くわ。」


まるで今から処刑台に乗る死刑囚の気分だ。

詠唱したのが誰だったのか言わないのはありがたい。


「そして詠唱したのはそこの小娘とあっちの小娘じゃな。」


うわああああああああああああああああぁ!(二回目)


指された私は身を縮め、アイはビクンッと震えた。


「・・・」


ナシさんに睨まれた。

ああ終わった。

糾弾されて殺されるかもしれん。

マル君も呆れた目を向ける。

お前は味方だと思っていたのに!


「・・・分からないことを知るのは楽しいことじゃ。」


今わかっていなかった犯人を知らされた私は終わった気分ですよ。


「おぬし等には分からないことが多い。答えを知るために、わしが手伝ってやろう。」

「!!ありがとうございます!」


お金を払わないと協力は期待できないと思っていたのだろう。

ジンさんが目をキラキラさせてお礼を言った。

というか目をキラキラさせるってあんな感じなんだなぁ・・・

私もしょっちゅうやってるけど。


「わしが協力できること・・・うむ、今から面白いことが起きるかもしれぬ。」


面白いこと?

このおばあさん、私たちが糾弾されるのが面白いって言ってるなら相当意地悪いよ。


「くくく、おぬしらのジョブを占ってやろう。」

「ジョブとは?」


すごく説明したいけどもう喋ると睨まれそうだから諦める。


「職業みたいなもんじゃな。剣士だったら剣を使う人じゃ。」

「ファンタジーって感じがするね。」


マル君が顔をこっちに傾けて小さい声で言う。


私はとりあえず睨んでおいた。

お前が裏切ったことを私は忘れてないぞ!

マル君は困ったように苦笑いするとまた前を向いた。


「この世の人々は神に天職を与えられておる。」

「それを占いで出せるってことですか。」

「そういうことじゃ。勘がいいのぉ。」

「ジョブチェンはおばあさんがしてくれるんですか?」

「いや、ジョブチェンは神と薄いつながりを持つ、魔導書とギルドマスターにしかできぬ。

魔導書はその小娘が持ってるじゃろ?」


私はこくっとうなずいた。


「じゃあ、少し待っておれ。」


おばあさんは目を閉じ、水晶に手をかざす。

その姿は堂に入っており、少し意地悪な人だけど凄いおばあさんなんだなぁと感心した。

水晶におばあさんが手をかざし始め、一分ほどたった時・・・


「天啓が下ったー!!」


おばあさんがカッと目を見開き、叫んだ。

ボーっとしていたみんなはビクッとしたり身構えたりしたけど奇声を上げるおばあさんを見てちょっと引いてる。

おばあさんがみんなの耳に口を近づけ、職業を教えていく。

最後に私の方に来て難しそうな顔で私に伝えた。


「おぬしは・・・」

ストックがある限りは毎週金曜日に更新予定なので、見てくれると嬉しいです。

評価などもらえると、作者の活力となりますのでお願いします。

誤字報告もしてくれたらできる限り直します!

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