34.家と顛末
パーティーが終わって数日が経った。
私たちは今、エリの家にいる。
「やっばい広いにゃ……」
「まあ村長の家でもあるからねー」
他の家とツリーハウスなのは変わらないのだが、木の大きさと綺麗さが他とは違う。
躊躇いもなくドアを開けて入っていくエリについていく。
入ってからもまた驚いた。
宿屋の家具とかは手作り感が抜けないものが多かったのにここは、職人がつくりました!という艶がある。
エントランスの吹き抜け階段を登って最上階の扉の前に立つ。
メイド服のエルフさんがお辞儀をしてから扉をあける。
そこは貴族の執務室。
幾度となくファンタジー漫画を読みながら夢見た光景が広がっていた。
鼻腔に木の香りが舞い込み、耳には鳥の鳴き声が届く。
窓からさした光が椅子に座ったダンディなおじ様を照らしている。
横に白く輝く狼が丸くなっているのが余計に絵になった。
「ふむ、来たか。」
『む、久しい……といっても数日か。』
「とうさん、リフェル様、ただいま参りました。」
カーテシー?をしたエリの真似をしようとしたら村長さんに止められた。
「いつも通りの感じでよろしく。」
「えー、友達の前でくらいカッコつけさせてくださいよー」
「ダメですよ!お嬢様がカッコつけてるの見ると吐き………驚きが込み上げてきましたもん!」
「おい」
すごーくラフな感じになったエリと村長さんと乱入してきた扉前のメイドさん。
「あ、エリお嬢様の乳母です。」
「こら、主人の前に挨拶するな。」
「はいはーい、もーしわけございませーん。」
はぁとため息をつく村長さんから苦労人の匂いがした。
この乳母さんに育てられたエリってもしかして……
「?!え、勘違いしないでくださいね!私はこの人を反面教師にして育ったので!」
「ひどいですお嬢様!」
「こいつらは置いといてほしい。」
『話が進まないからな。』
唖然とする。
しっかり者のエリがこういう感じとは……
マル君も親の前だとこんな感じにな
「そういえばマルト殿、いつ婿入りしてくれるのだ?」
途中まで考えていた思考が硬直した。
一拍おいて全員が反応した。
「「「は?!」」」
「とうさん!!」
「聞いてないにゃ!」
興味なさげに欠伸をしてからもう一度丸くなったリフェルを横目に騒ぐ。
「え、いつのまにそこまで仲良く?!」
「そこまで仲良くないはずにゃ!」
「んー?デートしてなかったー?」
「デ?!」
「というかもう会ってたのか?」
「パーティーでたまたま会ったんです。」
「婚姻前の挨拶ではなかったのか?」
「違いますよ!」
「勘違いにゃ!」
「それは残念だ……いつでも大歓迎だからの。」
もう一度否定したマル君とエリに村長さんが笑った。
本当にちょっとドキッとした。
ここでマル君が結婚が理由で抜けるとか複雑というか嫌だし。
「そろそろ真面目な話に移るか」
手で合図した村長さんに向けて頷いた乳母さんが部屋から早足で出ていく。
「娘から聞いた。かあさんの依頼で来たらしいな。結果的に村全体を救ってもらう形になってしまったよ…………皮肉なものだ。」
「?無粋なことをかもしれないが、何があったか教えてもらえないか?」
「……これからもかあさんと関わっていくであろうからな。」
語り出したのは占い婆さんのこと。
昔から放浪癖があった占い婆さんだけど一週間に一度は帰ってきていた。
だけどとある日から帰ってこなくなったのだ。
まだ幼かった村長さんは困った。
村長さんを傀儡として村を好き勝手しようとしている古狸を駆逐して村をもっと良くしようと頑張った。
そこで出会った女性と恋愛結婚を成して――この部分がとてつもなく長かった――そしてエリが生まれると、エリのかあさんはこの世を去った。
その後、エリに物心がついてすぐ……
占い婆さんが帰ってきた。
占い婆さんは突然帰ってきたのちに自分がこの村にもう帰ってこないとだけ伝えた。
エリの顔を少し見た後は村長さんと目すら合わさずに去っていったのだ。
もーーーーそれはそれは苦労した村長さんはものすごーく怒って、そこから音信不通らしい。
「以上がことの顛末だ。」
「んー、占い婆さんそんなことするー?」
「ちょっと冷たい人だがそんなことするとは思えないけどな」
「何か事情があったとかにゃ?」
「まあ聞いてみないとわからないよね。」
「つまり無関心だとおもっていたおばあちゃまがなぜ急に私たちのことを気にかけてきたのかが気になったんです。」
「わからないからわからないとしか答えようがないにゃ」
「ただいま戻りましたーっと。旦那様の話長すぎですよね。しかもほとんど惚気話!」
「聞いてたのなら助けてほしかったぜ。」
戻ってきた乳母さんは、持っていた重そうな袋を床に下ろすと手を振って部屋から出ていった。
ぶっ壊れメイドさんだったなー、イメージがもうボロボロだよ。
「で、報酬なんですけど!」
「うむ、話し合った結果……」
ご、ゴクリ……
「レイズたくさんと名産植物の種。そして……」
え、野菜?!そしてお金まで!
やば大収穫!
「私の娘、そして選りすぐりの職人を渡そう」
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