28.再会と救世主
「翠竜に会いたい!」
「あー、な。じゃあ会いに……」
「呼びました?」
「「「「え?」」」」
ローブの腕部分がグイッと引かれる。
慌てて下を向くと翠色の目に射抜かれる。
白いモコモコも隣にいる。
「目覚めてよかったです。キョウさん」
「ご心配おかけしました、」
『反省してほしい。自分のことくらいわかっておいてくれ。』
ごめんごめんといいながら座ってリフェルの毛並みをかき混ぜる。
犬みたい。超かわいい。
翠竜は髪型や服が全体的に綺麗になっていた。
「久方ぶりに村のヒトと会話しました。お風呂とか貸していただいて……」
クルッと一回回ると裾がふわってなってかわいい。
センスにじゅうまる!
翠がかったシルクみたいな素材でできた膝上の服。
下にはダークグリーンの短パンを履いていて胸元には大きな翠色のリボンが揺れている。
髪型も首らへんまで切られていて、長くも短くもないかんじだ。
前髪も七三分け……っていうのか?
髪型についての知識が無さすぎて全然わからん。
とにかくかわいい!
「んー、かわいいっ!」
絶対髪の毛もふわふわだし……
「ぐちゃぐちゃにしたい!」
「「「???」」」
「ふぁえ、」
「あー、んー、語弊ありー」
「え?」
意味不明。
翠竜はコホンコホンと軽く咳払いをすると話を進めた。
「何か用ですか?」
「お礼言いにきたぜ」
「ああ、そういうことですか。大丈夫ですよ」
「それでも色々手伝ってもらいすぎたにゃ」
「こちらにも利があったので。」
『うむ、』
「あ、えりちゃーん」
小さい女の子が駆けてくる。
エリに何かを伝えると、こちらを向いた。
「えりちゃん、この人たちは?」
「みんなを助けてくれた『救世主様』ですよ。」
「わぁ、救世主様、ありがと!」
ちょこんとおじぎした女の子は手を振ってから帰っていく。
「エリ、いいの?救世主なんて言っちゃって」
「特に何もしてないにゃ。」
「いえ、そんなことありませんよ。」
村の方をエリが見るから私たちも一緒に見る。
子供が駆け回り、大人は復興などで忙しくしている。
生が感じられる光景。
「私を研究所に連れて行ってくれたから姿も戻れたし、火事に巻き込まれた村民を助けたのも、長いこと姿を表さなかった守護者の翠竜とフェンリルが揃って姿を現した。救世主で間違ってません。」
「……意外と頑張ってたんだねー」
「ふふ、まあ満身創痍だもんね。」
「全員救えてよかったにゃ」
「あ、さっきの女の子なんですけど今夜パーティーがあるって教えてくれたんです。いきましょう!」
「パーティー?」
「はい、守護者と救世主が揃った記念と復興労いです。」
「いいねー!楽しみだー!」
「ああ、これからのことも話し合わないとだな。」
「エリ、食べ物も出てくるかにゃ?」
「、そうですね……この村の野菜はすごく美味しいですよ!」
エリは一瞬長い耳が沸騰して赤くなったが、それを隠すように目をキラキラさせた。
ゴクリとみんな口の中を呑み込んだ。
やさい……長らく食べていなかった。
栄養失調にはならなかったけど普通に食べたかった。
というかなぜ栄養失調にならないのか……
「私たちってなんで野菜こんなに食べてないのに栄養失調になってないの?」
『それはですね』
目の前に銀色の板が現れた。
少し配線が出ているが汚れはなく、六芒星のロゴがついている。
六芒星の一角は緑色に染まっている。
板が開く。つまりはパソコン。
この前拾ったパソコンが磨かれてここに浮いているのだ。
いや磨かれてるのはわかるけど浮いてるのはおかしいでしょ?!
というかしゃべった!
『……だから、……?マスター、聞いてますか?』
「あ、えごめん……マスターってことはグリモアか。確かに電子音声だけど似てるもんね。」
「すげぇな。どこから現れたんだ?」
『翠竜の腰にずっとついてました。』
「浮いてるのはどういう仕掛けにゃ?」
『魔力です。マスターの顔の位置までは浮けます。』
「えー、さっきの話の結論はー?」
『つまり、魔力の最大量を減らす代わりに栄養の不足を勝手に補っているのです。生物の習性ですね。』
「なるほどねーすごく便利ー」
「じゃあ野菜を食べれば魔力が増えるかもしれないってこと?」
『そうですね。ちなみに魔力が枯渇していると栄養は補われません。魔力はいつでも残しておいた方がいいですよ』
ね、マスター。というグリモアに顔が引き攣る。
顔が見えないけど絶対イイ笑顔浮かべてるって!
魔力枯渇って結構やばいなー、気をつけないと。
「まー、パーティーまで時間潰すにゃ」
「マルト、手伝えることがないか探しに行こうぜ」
「エリー、洋服他にあるのー?」
「ありますよ、見に行きましょうか」
「マスターは僕ときてください。」
「ん、了解」
何手かに別れる。
翠竜はこっちについてくるようだ。
また宿の前で集合ということにして別々のところへ行った。
パソコンから出てきたグリモアは重力に従って落ちてきたパソコンを上手くキャッチする。
そしてこちらを振り向くと、私より断然小さい手を差し出した。
「じゃ、行きましょうか」




